ブラジル、アンゴラにおける原油開発に巨額融資
カントリーリスクの高い国々への挑戦
1980年代末、ブラジルの原油生産量は日量60万バレル。一方、消費量は110万バレルと巨額の原油輸入に頼らざるをえず、工業立国化を目指すブラジルにとって石油確保は最重要課題だった。一方でブラジルはモラトリアム宣言下でハイパーインフレーションに悩まされつづけ、対外送金など厳しく規制された時期でもあり、世界の公的私的金融機関はブラジルに対して完全にドアを閉ざし、新たなプロジェクトの立ち上げは極めて困難な状況にあった。
そうしたさなかの平成3(1991)年、日商岩井は、ペトロブラス(ブラジル国営石油公社)向けに浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)の裸傭船契約を手掛け、その後も合計10億ドル以上にも及ぶファイナンススキームを提供した。当時はペトロブラスの原油生産量の半分を賄う規模の設備としてブラジルの原油生産に大きく貢献した。
このペトロブラスとの関係が、双日となってフラージ油田への参画につながり、これが本邦企業初のブラジルにおける上流権益取得となった。
同じ時期、日商岩井はアンゴラの国営石油会社(SONANGOL)に対しても原油開発のための巨額の融資契約を纏めた。アンゴラは昭和51(1976)年の独立直後からの内戦状態が続いた時期でもあった。日商岩井が同社に行った融資は、平成3(1991)年から平成15(2003)年の間に合計10億ドルにも及び、平成6(1994)年にはアンゴラ初のFPSO(浮体式原油生産貯蔵出荷設備)の事業にも参画。そしてアンゴラは原油増産による高度経済成長の道を歩むことになり、日商岩井は国内石油製品トレードに必要なインフラとしてタンクローリー、LPG貯蔵タンク、通信設備、自動車、トラック、中古ジャンボジェットの購入を支援し、内戦終結後には、商社としていち早く事務所を開設した。
アンゴラとの信頼関係は双日にも受け継がれ、平成20(2008)年には、同国最大のセメント工場建設(年間140万トン)を受注している。
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