資源の持続可能性

方針・基本的な考え方

資源の安定的な確保・調達は商社の重要な役割のひとつです。一方で、地球上の資源は有限であり、それらを持続可能な形で開発・供給・利用することが求められています。更に昨今は限りある資源をリユース、リデュース、リサイクルなどを通じ、有効に活用するサーキュラー・エコノミーへの移行が注目されています。サーキュラー・エコノミーへの対応は、全世界の課題である気候変動防止の観点からも、製品の製造や廃棄物の焼却に係るCO2排出の削減に寄与するほか、双日の事業機会にもなることから、資源循環への取り組みは、当社にとっても非常に重要であると考えています。

その為、当社は「資源」をサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)のひとつとし、持続可能な資源(エネルギー資源、鉱物資源、食料資源、水資源、林産資源、水産資源などを含む)の開発・供給・利用を追求すること、省資源化、適切なエネルギーミックスの提案、資源の安定供給に取り組むことを掲げています。

また、双日グループ環境方針においても、エネルギー・水の節減をはじめとした省資源および廃棄物の削減・リサイクルへの取り組みや、資源の安定供給、及び適切なエネルギーミックスの実現に向けた取り組みの推進することを明確にしています。

当社は、脱炭素社会に至るロードマップの議論を行う中で、年代ごとに「技術動向・世の中の動き」を見立てた上で、「双日の対応・考え方」を決定しています。この中でも「サーキュラー・エコノミー」への貢献を双日の機会と位置づけています。

2021年4月に「金属・資源本部」を「金属・資源・リサイクル本部」に改編し、従前の資源関連ビジネスでの変革を推進するとともに、リサイクルビジネスへの取組みを強化しています。

目標

事業活動における目標

2021年4月に公表した「中期経営計画2023」において「サーキュラーエコノミー」を3つの注力領域のひとつに位置付け、以下を掲げています。

●大量消費型からのニーズの変化から生じるリサイクル等循環型社会事業を行うとともに、バイオ素材事業などにも取り組んでいきます。

中期経営計画2023の注力領域

中計2023の3つの注力領域

オフィス活動における目標

双日単体(東京本社、大阪支社)のオフィス活動に伴う廃棄物のリサイクル率の2020年度以降の目標として、「継続的にリサイクル率90%の維持を目指します」を掲げています。2016年度に既に95%を達成しました。今後、この水準を維持、向上できるように努めます。

体制

サステナビリティの視点を踏まえた経営を促進するため、CEOが委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置し、専任組織としてサステナビリティ推進室を新設しました。

サステナビリティ委員会では、資源の持続可能性を含めたサステナビリティに関する全社方針や目標の策定、それらを実践するための体制の構築・整備、及びISO14001の管理体制を活用した各種施策のモニタリングを行っています。

加えて、投融資を審議する投融資審議会では、個別案件の審議においてサステナビリティの観点からの推進意義、及び環境・社会(人権)リスクの確認を行っています。尚、サステナビリティ委員会にて策定された方針や目標、及び環境・社会(人権)リスクに関するモニタリングについては、サステナビリティ推進室が担当しています。

サステナビリティ委員会メンバー(2024年4月1日現在)

委員長
  • 社長 COO
委員
  • 代表取締役会長 CEO
  • 専務執行役員(CFO 兼 コーポレート管掌 兼 経営企画担当本部長)
  • 常務執行役員(人事担当本部長)
    執行役員(広報、IR、サステナビリティ推進担当本部長)
オブザーバー
  • 監査役
  • 法務部長
  • 経営企画部長
事務局
  • サステナビリティ推進部

サステナビリティ推進・実行体制図

また、「資源の持続可能性」については、環境マネジメントシステムの枠組みにおいてモニタリングしています。マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)毎の「リスクと機会」を踏まえ、様々な部署において、資源循環・効率利用に貢献する事業機会の創出のための目標を設定しています。

環境・社会(人権)リスクの管理

サステナビリティ委員会による管理と、監督を行う取締役会への報告

双日グループが展開する事業においてさらされるさまざまなリスクについては、「リスク管理基本規程」に則り、分類・定義され、年度毎にそれらリスクに対する「リスク管理運営方針・運営計画」を取締役会にて決議しています。(詳細については、こちらをご参照:リスクマネジメント)これらのリスクの内、気候変動に関連するリスクを含む『環境・社会リスク』については、その対応方針や施策について、サステナビリティ委員会で討議し、経営会議および取締役会に報告し、実行されています。

新規投資案件

事業投融資の審議にあたっては、事業計画に加え、環境(気候変動に関連したリスク)、社会(地域住民へ影響を与えるリスク、労働安全に関わるリスク等)の観点から分析・評価を行った上で、サステナビリティの観点からの当該案件の推進意義を確認した上で、投資の実行を決議しています。

取り組み

当社は、「資源」をサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)のひとつとし、持続可能な資源の開発・供給・利用の追求。省資源化、適切なエネルギーミックスの提案、資源の安定供給に取り組むと共に、資源の循環への取り組みを強化しています。

IT資産の再利用・再資源化事業に参画

2021年1月に、世界最大級のグローバルIT Asset Disposition事業者であるTESグループの日本支社、TES-AMM JAPAN株式会社に出資しました。
IT機器の適切なリユース・リサイクルを普及促進し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献します。TESグループが推進するリチウムイオンバッテリーのリサイクルにおいても、当社のネットワーク等を活用したビジネスの構築を推進していきます。

IT資産の再利用・再資源化事業に参画

ケミカルリサイクルの取り組みを強化

  • 化学本部では、環境問題への対応を背景に、今後十数年にわたって市場の伸長が見込める「プラスチックリサイクル」の取り組みを強化しています。とりわけ、複数種類の混合プラスチックの処理が可能であること、処理後に精製される「ナフサ」が既存の石化設備での原料として活用できること、また、従来品と同等の品質を確保することが可能であることなどに着目し、熱分解油化技術による「廃プラスチックのケミカルリサイクル」の推進を目指しています。

再生資源循環プラットフォームの実証

当社は、レコテック株式会社、日商エレクトロニクス株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社とアライアンスを組み、これまで廃棄されていたプラスチックなどの再生資源の品質や供給量を見える化し、さらに需給者間で売買する場を創出し、サーキュラーエコノミーの実現を推進する基盤「再生資源循環プラットフォーム」の実証実験を開始しました。

  • 本件は、J4CE(循環経済パートナーシップ)注目事例集(2021)に掲載されました
IT資産の再利用・再資源化事業に参画

「国連食料システムサミット」( FSS : Food Systems Summit )(*1)

全ての持続可能な開発目標の達成に向け、持続可能な食料システム(*2)への変革のための具体的な行動を推進するために開催される「国連食料システムサミット」( FSS : Food Systems Summit )への支持を表明します。

  • 国連食料システムサミットとは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成のためには持続可能な食料システムへの転換が必要不可欠だという、グテーレス国連事務総長の考えに基づき開催される国連主催のサミットです。
  • 食料システムとは、食料の生産、加工、輸送及び消費に関わる一連の活動のことを指します。

『当社は、持続的な食料システムの実現に貢献するため、食料資源の安定供給に取り組みます。』

目標

  • 適切に管理された漁業で獲られたことを証明する「MSC認証」を取得した刺身用マグロの世界で普及をリードし、天然水産資源の持続可能な利用を追求します。
  • マグロ養殖においても人工種苗認証(SCSA)の維持に努め、持続可能な水産養殖を追求します。
  • IoT・AIの活用によるマグロ養殖の工業化を推進し、水産養殖事業の効率性向上を目指します。

ご参照:

パフォーマンス

廃棄物に関するデータ

A) 双日単体の廃棄物排出量とリサイクル率

① 実績(2018年度~2022年度)

廃棄物

②集計範囲

双日単体(東京本社、関西支社)のオフィス活動に伴う廃棄物。ただし、支店オフィスは除く。

③リサイクル率の目標

2020年度以降の目標:継続的にリサイクル率90%の維持を目指します。

  • 2016年度に既に95%を達成しました。今後、この水準を維持、向上できるように努めます。

④有害廃棄物排出量

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
有害廃棄物排出量* 0.02トン 0.02トン 0.13トン 0.03トン
  • 当社単体における「特別管理産業廃棄物」排出量を集計

B) 双日グループの廃棄物排出量

①実績(2018年度~2022年度)

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
廃棄物排出量 17,902トン 60,485トン 67,711トン 62,769トン 67,103トン ★
-内、再資源化量 8,281 7,100トン 18,000トン 32,939トン
-内、処分量 52,203 60,611トン 44,768トン 34,163トン

②集計範囲

双日単体(オフィス以外の拠点を含む)、および国内外全連結子会社

  • 2019年度以降に排出量が増加しておりますが、2018年度に海外の製紙事業会社を買収したことが主な要因です。尚、買収した2018年度のデータには、当該製紙事業会社は含めておりません。
  • 一部のデータに修正があったことから、2020年度の数値をリステートしました。(修正前データ:2020年度75,395トン)

水に関するデータ

A) 双日単体の水の使用量

① 実績(2018年度~2022年度)

  • 東京本社、及び関西支社の水使用量は、在籍人数から推定して算出しています。

② 集計範囲

双日単体(東京本社、関西支社)のオフィス活動に伴う水の使用量。ただし、支店オフィスは除く。

B) 双日グループの水の使用量

双日グループ水使用量

① 実績 (2018年度~2022年度)

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
水使用量 1.26 百万 m3 4.77 百万 m3 5.03 百万 m3 4.50 百万 m3 4.97 百万 m3

② 集計範囲

双日単体(オフィス以外の拠点を含む)、および国内外全連結子会社

  • 2019年度以降に使用量が増加しておりますが、2018年度に海外の製紙事業会社を買収したことが主な要因です。尚、買収した2018年度のデータには、当該製紙事業会社は含めておりません。

水源別の水使用量

① 実績(2018年度~2022年度)

(単位:㎥)

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
    上水、工業用水 659,934 3,020,934 3,351,857 2,971,193 3,318,064
地下水 530,800 521,059 456,654 462,202 472,977
河川水 62,920 1,220,977 1,213,895 1,068,290 1,176,457
雨水 2,630 4,048 3,360 2,847 2,600
淡水合計 1,256,284 4,767,018 5,025,766 4,504,531 4,970,099
海水 180,516,900 178,401,225 151,920,000 174,576,000 175,332,600
淡水・海水合計 181,773,184 183,168,243 156,945,766 179,080,531 180,302,699

② 集計範囲

双日単体(オフィス以外の拠点を含む)、および国内外全連結子会社

  • 2019年度以降に淡水の使用量が増加しておりますが、2018年度に海外の製紙事業会社を買収したことが主な要因です。尚、2018年度のデータには、当該製紙事業会社は含めておりません。

排水先別の排水量

① 実績(2018年度~2022年度)

(単位:㎥)

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
    河川 596,454 2,741,447 2,827,894 2,679,339 2,942,748
下水道 263,974 245,527 166,796 773,007 672,474
地下浸透 6,214 6,589 5,898 5,879 15,951
その他 97,353 112,954 68,323 33,471 66,065
淡水合計 963,955 3,106,517 3,068,911 3,491,696 3,697,238
海域 179,770,418 177,677,695 151,275,080 173,784,135 174,651,748
淡水・海水合計 180,734,414 180,784,212 154,343,992 177,275,831 178,348,986

② 集計範囲

双日単体(オフィス以外の拠点を含む)、および国内外全連結子会社

  • 2019年度以降に淡水の排水量が増加しておりますが、2018年度に海外の製紙事業会社を買収したことが主な要因です。尚、2018年度のデータには、当該製紙事業会社は含めておりません。

双日グループの水リサイクル率

① 実績(2018年度~2022年度)

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
16% 9% 8% 3% 1%

(分子:リサイクルされた水の量/分母:水使用量)

② 集計範囲

双日単体(オフィス以外の拠点を含む)、および国内外全連結子会社

  • 2019年度以降に水リサイクル率が減少しておりますが、2018年度に海外の製紙事業会社を買収したことが主な要因です。尚、2018年度のデータには、当該製紙事業会社は含めておりません。

COD、BOD量

① 実績(2019年度~2022年度)

(単位:t)

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
COD 3,421 2,796 601 551
BOD 3,345 2,694 427 441

② 集計範囲

双日単体(オフィス以外の拠点を含む)、および国内外全連結子会社

紙使用量

A) 双日単体の紙の使用量

① 実績(2018年度~2022年度)

② 集計範囲

双日単体(東京本社、関西支社)