大阪商人の最先端を行く岩井商店

近代的な本社ビルと自転車の実用化

岩井勝次郎は大阪の商人として常に最先端を走っていた。


明治35(1902)年、岩井勝次郎は大阪の北浜に新本社社屋の建築を企てる。勝次郎は海外に出張した際に、欧米人の仕事ぶりが日本人よりもはるかに能率的であるのに感心し、それは建物の構造、事務用の机や備品など執務環境の差に起因するところが大きいと感じていた。


そして他社に先駆けて斬新かつ能率的な洋風のオフィスビルを建築。明治37(1904)年に鶴原定吉大阪市長ら来賓を招き竣工披露が行われた。当時の大阪には西洋建築物が少なく、あっても官庁か学校の建物であった。こうした時代の岩井の店舗は、淀屋橋付近の一景観として世間の注目を浴びた。


また岩井商店は自転車をいち早く輸入し実用化したとされ、岩井商店社員は洋服で自転車に乗って取引先まで出掛けたという。

  • 大阪北浜の新本社ビル

  • 本社ビル竣工式(左上段:帽子を被った岩井勝次郎)