機械産業の米と呼ばれる軸受(ベアリング)を世界に供給
全世界で製造拠点・販売網を構築
現在の双日の主力事業として受け継がれているベアリングビジネスは、プラント及び製品・部品商いから出発した。
日綿のベアリングビジネスは、日本精工(NSK)株式会社の海外市場開拓の尖兵として、完成品の海外販売のみならず、プラント輸出、海外工場の買収に至るまでの複合的な取り組みを基に発展。欧州、南米、東南アジア、中国、豪州等における販路開拓と販売拠点の設立支援を通じて関係を強化し、昭和45(1970)年、ポーランド機械輸出入公団向けに日本精工製ベアリング製造プラントを受注したのを皮切りに、ブルガリア、チェコスロバキア、中国からもプラント輸出契約を連続受注した。
部品関連は、現在、日本精工(NSK)の子会社となっている天辻鋼球製作所のボールベアリング用鋼球の輸出を1950年代後半に始めたのがきっかけ。輸出先は、チェコスロバキア、ポーランド、アルゼンチン、メキシコ、南アフリカなど多岐にわたり、この輸出販売力を背景に、取扱い製品は、ボールベアリング用旋削リング、テーパーローラーベアリング用の転動体、保持器、ゴムシール、グリース等、ベアリング製造に必要なベアリング部品全般に拡大した。
中国市場では、1960年代の広州交易会を通じた機械輸出入総公司との取引が原型となり、平成4年(1992)年の鄧小平の南巡講話以降に大きく発展。日綿は、中国各地の有望な輸入ディーラーに対し、在庫配備等を通じて戦略を共有して育成するビジネスモデルを確立し、同市場における最大級の販路を構築した。
平成6(1994)年に中国浙江省に旭工業株式会社と紹興旭日綿軸承有限公司を設立し、業界内で最も早い時期に中国進出を果たした。また平成7(1995)年には、日本精工とともに中国江蘇省で昆山NSKを共同設立し、一方、ポーランドにおいては、平成10(1998)年にFLTイスクラ社(現/NSK Bearings Polska)を共同買収し、その後の発展の礎を築いた。