タイで漁網製造
東南アジアにおける布石
東南アジアの中でも、タイは早くから外資導入に積極的で、昭和35(1960)年に投資奨励法を施行して、日本などからの企業進出を求めた。そのひとつが日綿、日本レイヨン、三重製網株式会社が現地資本と合弁で昭和37(1962)年6月に設立した漁網製造会社「タイ・ナイロン社(Thai Nylon Co.,Ltd)」である。
輸入に頼っていた漁網(河川用)を国産化する目的で、タイ当局から投資を要請されたもので、日本レイヨンのナイロン原糸を使って、タイ国内で使用するナイロン漁網を生産する事業である。
タイ政府の支援もあって、タイ最大の漁網会社として業績を伸ばし、編網機も100台にまで増設した。1980年代には、輸出市場の開拓をすすめ、これにより、輸出は日本・米国などに広がり、タイ国内向けの漁網メーカーから、輸出漁網メーカーへの転身に成功。
タイ・ナイロン社は、日綿にとって初期の東南アジア事業であり、海外戦略における重要な布石となった。