岩井翁頌徳碑(トーア紡コーポレーション楠工場内)
頌徳碑にみる岩井勝次郎の生涯
東亜紡績(現・トーア紡コーポレーション)では昭和37年に40周年を記念して同社楠工場内に創業者の頌徳碑を建立した。岩井勝次郎が設立した長岡禅塾の老師によって整えられた文章が御影石に刻まれている。
『岩井勝次郎翁は文久3年4月21日生。夙に海外貿易の業を興し明治32年自ら諸外国を歴訪し直輸入取引を開始且つ国内産業発達の為に幾多の企画をなす 大正の始め組織を株式会社に改め又合資会社を新設し之を統轄す。次いで大日本セルロイド人造絹糸株式会社 大阪鉄板製造株式会社 徳山曹達株式会社 関西ペイント株式会社 日本橋梁株式会社 東亜紡織株式会社 徳山鉄板株式会社等を創立 経営に当り又数多くの公職に就く 昭和7年天皇陛下大阪巡幸の砌御前に於て貿易事情御下問に奉答 其後実業精励の功に因り緑綬 紺綬 瑞宝章等授与さる 昭和10年12月21日逝去 年73 従5位勲4等 法名最勝院大徹無為居士 翁は資性剛直身を持するに厳 一度事業に着手せんか如何なる困難をも克服 終始一貫堅き信念は世人の畏敬する所なり 中年御影深田池の辺りに伝芳庵を結び衆と共に参禅弁道に励む平生陰徳を積み密に京都大学に奨学資金を寄附 晩年京都府長岡に大学生収容薫陶の目的を以て長岡禅塾を建立せらる 当社の前身中央毛糸紡績株式会社も亦大正11年2月翁の創立に由り当工場を建設 幸に順調なる経過を辿り今日の隆盛を見る 茲に40周年記念に当り謹みて碑を建て其徳を伝う
昭和37年2月
東亜紡織株式会社』