木材調達方針
「双日グループ サプライチェーンCSR行動指針」に基づき、責任ある木材の調達を行うために、2015年9月に「木材調達方針」を定めました。
また、2020年度目標としたトレーサビリティ100%は2年前倒しで2018年に達成。2021年2月に、2025年に向けた定量目標を定めています。
木材調達方針
双日グループは、企業理念の実践に向け、「双日グループ サプライチェーンCSR行動指針」に基づき、取引先と協力しながら以下の方針に沿った木材の調達を行うよう最善を尽くします。
- 合法性
違法伐採された木材の取扱いは行いません - 環境への配慮
保護価値の高い森林を毀損する方法で伐採された木材の取扱いは行わず、森林破壊のない*)サプライチェーンの構築を目指します - 社会への配慮
森林伐採が及ぼす人権への負の影響を考慮し、調達に関する負の影響の軽減に努めます
- *)「森林破壊のない」とは、自然林転換および保護価値の高い森林の毀損がないことを指す
自然林転換とは、2020年12月31日より後に、自然林が人工林や森林以外の土地利用に転換されること
<対象範囲>
双日および連結子会社が取り扱う原木、木材製品、チップ・パルプなどの製紙用原料、紙製品、木質バイオマス(以下「木材」)
実施方法
約1500社ある双日グループの木材関連の仕入先(*1)のうち、原産地のカントリーリスク(*2)の高さ、仕入金額の多さや当社方針への適合性などを考慮して、木材関連の全体仕入金額の80%以上の木材を重点調査対象(*3)として選定し、調査しています。
2023年度においては、重点調査対象の木材の約59%が輸入材、約41%が国産材であり、それぞれの業界特性を踏まえた調査・確認のアプローチを取っています。
- 調査対象範囲の詳細は、下記。
商品 | 双日 | 双日建材 | 双日九州 |
---|---|---|---|
原木 | *) | ○ | |
チップ | ○ | ||
製材品 | *) | ○ | ○ |
単板 | *) | ○ | |
合板 | ○ | ○ | |
紙・パルプ | ○ | ||
ペレット | ○ | ||
繊維板 | ○ | ○ | |
集成材 | ○ | ○ | |
建材 | ○ | ○ | |
プレカット | ○ |
- *)原木/製材品/単板(双日)は2022年度に双日建材へ移管
- 対象製品の定義
- 製材品:ラミナを含む
- 紙・パルプ:主製品として販売するもの
- 繊維板:OSB、MDF、パーティクルボード
- 集成材:LVL、CLT、フリー板を含む
- 建材(無垢):造作材、建具、床材、羽目板等の内装建材
- 建材(海外製品):海外メーカーの海外生産品
- プレカット:構造材、羽柄材
- *2:カントリーリスクには、腐敗や汚職に対して取り組む国際的な非政府組織であるトランスペアレンシー・インターナショナルが、毎年公開する公務員と政治家の腐敗度合を国際比較し、国別にランキングした腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index)を採用しています。
- *3:調査対象額はグループ会社・取引中止先等を除く仕入額の80%以上としています。
輸入材へのアプローチ
輸入材については、一部の地域において、違法伐採や地域住民への人権侵害、生物多様性への脅威等が問題視されており、双日グループでは各取引先と協力し、方針に掲げる合法性や、伐採現場の環境・社会配慮の確認・改善に取り組んでいます。
また、双日グループは多くのサプライヤーと接点があることから、優良事例を他社へ共有することで、サプライヤーへの啓発や組織的な能力の向上・構築に継続して取り組んでいます。
調査方法
特定した木材に対し、WWFジャパンの監修(*4)のもと、「①原産地までのトレーサビリティ」と、環境・社会へ配慮した「②森林管理の適切性」を確認しています。
- *4:「①原産地までのトレーサビリティ」と、環境・社会へ配慮した「②森林管理の適切性」を確認するツールとして、WWFジャパンの『林産物調達チェックリスト』を採用、双日グループとしてカスタマイズの上で活用しています。また、同リストに規定されている、生物多様性の観点を含む保護価値の高い森林の保全状況や、人権問題の特定などの確認方法につき、2015年度にWWFを講師に招き、双日の木材関連部署、及び木材関連の子会社に説明会を開催しました。現在はe-Learningを導入し、継続的に研修を実施しています。
尚、以下に記載の目標についても、WWFジャパンのアドバイスを参考にしています。
評価基準
「①原産地までのトレーサビリティ」と「②森林管理の適切性」について、下記4レベルに分けて評価しています。
レベルA:認証材(*5)
レベルB:トレーサビリティに加え、認証以外で環境・社会に配慮した森林管理の適切性が検証済の木材
レベルC:トレーサビリティが確保されている木材
レベルD:トレーサビリティの確保が不十分な木材
- *5:FSC®、PEFCなどによる認証木材。FSC®による認証材を最高得点としています。
ご参考:双日株式会社が取得しているFSC®のライセンス番号はFSC-C009917
目標と実績
2025年度目標
2025年度迄に、認証材(レベルA)、及び認証以外で環境・社会配慮が出来ている材(レベルB)の取扱いを100%にします。
トレーサビリティ100%も2020年度目標を同様に維持
2025年度目標達成のため、2021年度より3つの施策を実行中です。
- 認証材の取扱量拡大
木材・木材製品業界のサステナビリティ推進に資する森林認証の普及のため、双日グループはその流通を保証するCoC(Chain of Custody)連鎖材の取り扱いの拡大に努めています。
※CoC(Chain of Custody)連鎖材とは、加工・流通の過程で適切に管理され、非認証材と混在していないことが担保された森林認証材です。 - サプライヤーへの認証取得の奨励
サプライヤーの皆様に対し、FSCやPEFC等による森林認証及びその流通を保証するCoC認証の取得を奨励しています。年次で実施する調査の際に二次・三次仕入先にも認証取得を促して頂くと共に、調査票や対外配布用ガイダンス等の文書にもその旨を明記します。 - 需要家を巻き込んだ環境配慮材の取扱推進
国内販売先の皆様に環境配慮材採用の働きかけを行い、環境配慮材の取り扱いを促進する為の活動を行っています。
定量推移と目標
- *6:2020年度以降はレベルAを認証材のみとしております(2023年度のレベルA比率は23%)。
- 上表における調達木材の取扱いに関する比率は、WWFジャパンの「林産物調達チェックリスト」を用いて双日が実施した評価に基づいて双日が決定したレベルごとの木材(輸入材)の調達金額÷調査対象とした木材(輸入材)総調達金額で算定しています。また2023年度調査結果は、前年度の2022年度における木材調達金額を基に算出しています。
第三者保証
2025年度までの新目標に向け、集計の客観性を向上させるべく、2020年度から、以下範囲に於いてKPMGあずさサステナビリティ株式会社の第三者保証を取得しています。2023年度保証対象データには☆マークを付しています。
〔第三者保証範囲〕
当ウェブページに記載されている、木材調達(輸入材)に関する2023年度の調査結果が、すべての重要な点において、WWF「林産物調達チェックリスト」を用いて双日が実施した評価の結果に基づき、双日の定める基準に従って算定されていることの保証。
尚、KPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証において、各レベル(A~D)の妥当性は、評価の対象外です。
ご参考:過去の目標の達成状況 <2020年度までの目標と実績>
目標
2020年度までに、トレーサビリティが確認できる調達木材の取扱いを100%(=レベルD材を0%)にします。
実績
トレーサビリティ100%を2年前倒しで達成、以降、6ヶ年連続で達成しました。
実施してきた、改善の取組み
- カントリーリスクが高い国に所在するサプライヤー候補との新規取引開始前にトレーサビリティ調査を実施
- 需要家を巻き込んだ環境配慮材の取扱推進活動
- 懸念サプライヤー先への現地デューデリジェンス実施(2017年度:1件、2018年度:1件、2019年度:2件、2020/2021年度:Covid 19により実施見合わせ、2022年度:1件、2023年度:1件)
国産材へのアプローチ
<基本的な考え方>
国産材については、「伐採現場の労働安全」、及び「地域の資源循環」など、輸入材と異なる課題を認識しております。そのため、輸入材と同様に、仕入先へ環境社会配慮の意識づけを継続的に働きかけながらも、輸入材とはアプローチを切り分け、個別に取り組みを図ります。
特に、地域における資源循環を意識し、ステークホルダーとの協議を通じた「地域完結型林業の構築」を図り、これら課題へ取り組んでまいります。
事業開発における森林の伐採
鉱山開発、発電事業開発、工業団地開発等の事業開発において森林の伐採を伴う場合は、法令の順守、許認可の取得、環境影響評価、第三者による環境・社会デュー・ディリジェンス等を実施し、事業開発に環境・社会面の問題がないことを確認致します。