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2017年の社長就任以来、私にとって最重要課題だったのは、双日を「稼げる会社」にすることです。低かった信用格付けをはじめ、当時抱えていたさまざまな課題を解決するためには、安定的に稼ぐ力を獲得する必要がありました。その取り組みの一環として、トレーディングと事業投資の両輪で利益水準を高めていく方針を打ち出すとともに、まず着手したのが人事評価制度の見直しでした。例えば、トレーディングでは、利益率の高い事業を担当すると、毎日変化のない仕事のやり方をしていても一定期間は利益を稼ぐことができます。一方で、事業投資は、短期間では努力が実を結ばず、立ち上げに貢献した社員が担当を外れた後に、ようやく収益化することも多々あります。短期的な成果のみを評価の物差しにしてしまうと、前者の方が高い評価となるわけですが、それでは長期持続的な成長につながらないことは明白です。そのような課題点を一つひとつあぶり出し、挑戦を後押しすべく、プロセスを重視した人事評価制度へと変えていきました。このような取り組みが奏功し、社員の意識変革が進んだ結果、トレーディングと事業投資の両輪で「稼げる会社」へと着実に前進することができたと考えています。足元の稼ぐ力を強化すると同時に、中長期的な企業価値向上を確実なものとするべく進めてきたサステナビリティの取り組みも進展しています。
社長就任前の2017年3月期に408億円だった当期純利益は、2023年3月期から2期連続で1,000億円を超える利益水準を達成できるまでに引き上がりました。事業環境における追い風もありましたが、持続的に収益力を高め、安定的に1,000億円以上の水準で当期純利益を上げられる基盤が築けたと自負しています。
2025年3月期より、7年務めた社長としての経営の舵取り役を、次の世代に受け渡すこととなりました。私は会長として、国内外のパートナーとのつながりの強化や、新しいパートナーの開拓をこれまで以上に担っていきます。新社長の植村は、妥協を許さない、決断力のある人物です。特に私が評価しているのは、もともとエネルギー分野に豊富な経験を持った彼が、化学本部プロジェクト開発室長に着任以来、副本部長、本部長を歴任し、収益力向上に取り組んだ実績です。当時の化学本部には、投資マインドが不足しており、新たな取り組みに挑戦する姿勢が欠けているところがありましたが、植村自身が先頭に立って、周囲を巻き込み、仲間を作りながら、「稼げる組織」への変革を果たしました。このたびの社長交代は、大幅な若返りとなりますが、年齢そのものは重要な要素ではありません。指名委員会においても、植村の人柄、実績などを踏まえた綿密な議論を重ね、次なる成長ステージに向かう双日を任せるのに相応しい人物であると判断しました。私は引き続き代表権を持ちますが、各本部を率いる優秀な本部長陣を含めた新たな経営陣が互いに支え合いながら、双日の企業価値向上に取り組む体制が構築できた際には、CEO職を引き継ぐつもりです。
繰り返しとなりますが、ここ数年で当社は、「稼げる会社」へと確実に変化してきました。しかし、現時点では収益貢献が少ない、種まきの段階にある事業が多いのも事実です。これらを大きな収益の塊にすることは、私から新社長の植村に引き継ぐ大きな課題の一つです。従来強みとしていた機械やエネルギー分野に加え、現在力を入れているリテールや食品分野を、新たな双日の強みとして確立していくことを期待しています。
また、2024年6月より、当社は監査等委員会設置会社へと移行しました。その狙いは、さらなる意思決定の迅速化です。取締役会から業務執行取締役・執行役員への権限委任を進め、取締役会は執行側がどのように企業価値向上に取り組んでいるかモニタリングする機能を強化します。それにより、取締役会の議題も成長投資・成長戦略に焦点を絞り、より一層活発な議論ができると期待しています。コンセンサスを取りやすく、決断のスピードが速い。これは当社が持つ武器の一つであり、引き続き磨き上げていきます。
中期経営計画2023で掲げた定量目標は全て達成しました。しかし、これは通過点です。「事業や人材を創造し続ける総合商社」という目指す姿は揺らぎません。そこに至るため、中期経営計画2026で柱に据えた「双日らしさ」を確立し、中長期的な企業価値の向上を果たし続ける必要があります。発足20周年を迎え、次なる成長ステージへ踏み出す双日に、ぜひご期待ください。
2024年7月
代表取締役 会長CEO 藤本昌義
※所属組織、役職名等は2024年7月時点です
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