成長が見込まれるベトナムで
リテールバリューチェーンを強化
2025年9月8日
2025年9月8日
ベトナムは1986年のドイモイ政策導入をきっかけに海外からの投資が活発化し、経済成長が続いています。人口は1億30万人(2023年現在)と増加する一方、経済成長に伴う都市部への人口流入の中で核家族化が進んでいます。こうした中で、大家族中心だった時代と比べて、生活も大きく変わり始めてきており、リテール分野でも生活水準が上がることで、食品にかかわる衛生基準や新しい食文化の体験など今までにはなかったニーズが高まってきています。加えて、核家族化の中で経済力も向上することから、調理の手間を省く利便性の高い食品も求められるようになっています。
こうした背景のもと、双日は2008年に食品や日用消費財を中心とした小売り向け卸会社であるHuong Thuy Manufacture Service Trading Corporation (以下、Huong Thuy)に資本参加しました。Huong Thuyはベトナムで「パパママストア」と呼ばれる家族経営の店舗を中心とした小規模小売店と近代的なスーパーマーケットやコンビニエンスストア向けに商品を提供しています。ベトナム全土で100万店あるといわれている小規模小売店の10%強となる約11万店、2万店を超えるスーパーマーケットやコンビニエンスストアとの取引実績を持つ流通ネットワークは大きな強みとなっています。双日は卸事業に携わることで、川上のメーカーと川下の小売店に接点を持つことが可能になり、ベトナムにおけるリテール関連の知見を広げることができるようになりました。そして、2015年にはコンビニエンスストア運営会社であるMINISTOP Vietnam Company Limited(以下、MINISTOP Vietnam)に資本参加しました。
変化する消費者の生活様式に対応した新しい価値を提供するにあたり、当時のベトナムには対応できる製造工場や保管倉庫が存在していませんでした。そのため、双日はベトナムに新しく日本水準の衛生環境を持つ製造工場と温度管理が可能な保管倉庫を設立し、卸売から小売、惣菜製造、物流などリテールバリューチェーンの強化を進めました。
まず、2016年にはおにぎりや弁当など日配惣菜品の製造を行うJapan Best Foods Co., Ltd. (以下、Japan Best Foods)を設立しました。Japan Best Foodsは日本水準の食の安全基準にもとづいて製造された加熱や調理なしでそのまま食べることができるRTE(Ready To Eat)食品を製造しています。
こうした形で事業基盤を構築することができたのは、長年にわたってベトナムの発展に様々な形で関与してきた結果でもあります。ベトナム戦争終結後から11年目の1986年、西側諸国の企業の中で初めてベトナムに駐在員事務所を開設し、以後、植林事業や肥料事業、電力開発事業など様々な分野でビジネス基盤を構築することでベトナム経済や社会の成長を支えてきました。こうした実績による信頼の積み重ねが今日のリテールバリューチェーン構築につながっています。
ベトナムのリテール領域に事業展開を検討する企業からは、双日に相談することで、検討における様々な問題へのソリューションを提供することに期待してもらっています。Huong Thuyが持つ膨大な数の小売店の販売情報をもとにベトナムの消費トレンドを把握しておりメーカーやサプライヤーが入手しにくいリアルな情報を提供できること、さらに商品の売り先についても、小規模小売店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアだけでなくHoReCa領域にもワンストップでアプローチできること。これらが双日のリテールバリューチェーン事業の大きな強みです。
今後、ベトナムではスーパーやコンビニが増えると言われている一方で、従来からある小規模小売店も衰退することなく微増していくと見られています。ただし、小規模小売店は家族経営が中心であることから店舗運営が効率的とは言えず、その近代化が大きな課題になっています。その課題に対するアプローチとして双日ではSaaSおよびFintechを提供するFinviet Technology Corporationに出資しました。同社が持つオンライン化された在庫管理・発注システムと来店客のキャッシュレス決済システム等を小規模小売店に提供することで、サプライチェーンの変革を目指しています。
双日はベトナムにおける消費者の行動様式の変化やリテール領域のトレンドの先読みとこれまで構築してきた事業基盤を掛け合わせることで、リテールバリューチェーン事業をさらに成長させていきます。