┃先行き不透明な事業環境のなか2023年3月期上期の当期純利益は過去最高を更新

株主の皆さまには日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2023年3月期上期の事業環境は、先行き不透明な状況で推移しました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴う各国経済制裁の影響に加え、世界的なインフレの高進と金融の引き締め、新型コロナウイルス感染症の長期化など、世界経済への下押し圧力が拡大しつつあります。
こうしたなか、当社グループは2年目を迎えた「中期経営計画2023 〜Start of the Next Decade〜」(中計2023)のもと、「インフラ・ヘルスケア」、「成長市場×マーケットイン志向」、「素材・サーキュラーエコノミー」の3つの注力領域に経営資源を集中投入し、業容の拡大と収益性の一層の向上に努めています。
この結果、2023年3月期上期は、商品価格・石炭市況の上昇や、自動車、素材関連の鉄鋼・化学など非資源事業の伸長が寄与し、連結収益は前年同期比27.2%の増収となりました。税引前利益、連結当期純利益(当社株主帰属)もともに伸長し、上期における当社最高益を更新しました。この力強い進捗を踏まえ、当期純利益の通期見通しを2022年5月発表の850億円から1,100億円に上方修正しています。
利益分配については、中間配当を期初見通しの1株あたり56円から65円へ上方修正するとともに、年間配当も通期業績見通しの上方修正を受けて、1株あたり112円から130円への増配を予定しています。また、2024年3月期の配当につきましては、安定性・継続性という観点から、1株あたり年間130円を下限とします。さらに、中計2023における3ヵ年のキャッシュフローも堅調な推移が見込まれることから、2024年3月期における自己株式の取得を予定します。
┃成長し続ける企業グループへ双日の企業使命を胸に刻みつつステークホルダーの皆さまの期待に応える
当社グループは現在、中計2023の2年目の取り組みを推進しています。中計2023では、2030年の目指す姿として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げ、「競争優位性・成長マーケットの追求」により、持続的な価値創造に取り組んでいくことを成長戦略として打ち出し、「新規投資の継続」と「既存ビジネスの収益構造の抜本的な変革」に取り組んでいます。
中計2023期間の新規投資については、外部環境の変化を注視しつつ適切な時期の投資実行に努めていきます。「中期経営計画2017」以降に実施した投資からのリターンも順調に進捗しており、引き続き投資案件の着実な収益化に力を注いでいく方針です。
当社グループが今後も持続的な成長と企業価値の拡大を実現していくためには、新規投資の継続と並んで既存ビジネスの抜本的な変革が欠かせません。事業展開の基盤となる「組織と人材のトランスフォーメーション」を着実に進めるとともに新たな価値創造に向けた取り組みを加速し、資産入替も進めながら当社ポートフォリオ全体のバリューアップを図っていきます。また、事業モデル変革の手段として、デジタル技術の積極活用とDX(デジタルトランスフォーメーション)を担う人材の育成にも注力しています。
株主還元については、従来どおり、連結配当性向30%程度を基本に安定配当を継続すると同時に、着実な利益成長による株主価値の向上に取り組んでいきます。当社の株価は過去数ヵ月、上昇基調を辿っていますが、PBR(株価純資産倍率)はいまだ1倍に到達しておりません。今後も株価を意識した経営を推進し、企業価値向上を目指します。
世界経済の不確実性はいま、かつてないほどの高まりを見せています。目を国内に転じますと、急激な円安の進行が懸念される一方で、新型コロナウイルス感染症は終息へと向かいつつあり、各方面でwithコロナへの取り組みが本格化してきました。
当社グループはこの不透明な時代においても成長し続ける企業グループであるために、「必要なモノ・サービスを必要なところに提供する」という総合商社としての使命を胸に刻みつつ、株主の皆さまをはじめとするステークホルダーの皆さまのご期待に応えてまいります。今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2022年11月
代表取締役社長
Profile
藤本 昌義(ふじもとまさよし)
- 生年月日
- 1958年1月9日
- 座右の銘
- 人事を尽くして天命を待つ
- 趣味
- 身体を動かすこと、特にゴルフ
- 好きな本
- 司馬遼太郎『竜馬がゆく』
- 入社理由
- 海外で働きたいという想い。そして、若いときからチャンスを与えられる社風に惹かれた。
略歴
1981年 | 4月 | 日商岩井株式会社 入社 |
2008年 | 12月 | MMC Automotriz S.A. Director President |
2012年 | 8月 | 双日米国会社 兼 米州機械部門長 |
2014年 | 10月 | 双日株式会社 理事 経営企画担当役員補佐 |
2015年 | 4月 | 執行役員 経営企画、IR担当 |
2015年 | 10月 | 常務執行役員 経営企画、IR、広報担当 |
2016年 | 4月 | 専務執行役員 経営企画、戦略投資推進、IR、広報、物流・保険統括担当 |
2017年 | 4月 | 専務執行役員 経営企画、広報、秘書担当 |
2017年 | 6月 | 代表取締役社長 CEO |