
┃好調なスタートとなった中期経営計画2023の初年度に過去最高益を達成
株主の皆さまには日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」の初年度となる2022年3月期は、新型コロナウイルス感染症が拡大と収束を繰り返し、期末にはロシアのウクライナ侵攻が始まるなど、不確実性の高い1年となりました。
このようななか、当社グループでは、石炭価格の上昇により、金属・資源・リサイクル本部が大幅に増収増益となりました。また、メタノール価格の上昇や合成樹脂取引の増加による化学本部の業績や、海外での販売台数増加による自動車本部の業績が好調に推移しました。これらの結果、連結当期純利益(当社株主帰属)は、前期比553億円増益の823億円となり、双日が発足して以来の最高益を達成しました。基礎的営業キャッシュフローは前期比685億円増加の1,287億円と、キャッシュを伴う利益を着実に創出しています。
利益分配につきましては、安定的かつ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させるという基本方針のもと、連結配当性向30%程度を基本としています。中期経営計画2023からは、下限配当として、PBR1倍に至るまでは時価ベースのDOE4%を設定しました。2022年3月期の期末配当は1株あたり61円、年間配当は前期比56円増配の106円、連結配当性向は30.1%となりました。2023年3月期は年間112円(中間・期末56円ずつ)の配当を予定しております。
┃新たな価値創造に向けて財務・非財務両面で取り組みを加速する
2022年3月期にスタートした「中期経営計画2023」では、3カ年で非財務も含め3,300億円の投資を計画しましたが、そのうち初年度で成長戦略と定めた領域を中心に1,500億円の投資を実行しました。具体的には、豪州太陽光発電事業や米国省エネルギーサービス事業、アフリカガス小売事業などのインフラ・ヘルスケア領域、水産食品加工会社や(株)JALUXへの公開買付などのリテール領域です。
また、新規投資だけでなく、化石燃料など将来の座礁資産化を回避するための手当や、継続的な資産入替のほか、既存ビジネスの変革に向けた事業ポートフォリオの見直しも実行しています。
他方、非財務の取り組みにも力を入れており、価値創造の源泉は人材であるという考え方のもと、人的資本経営においては、データを活用しKPIを使ったマネジメントにシフトしています。DX推進の取り組みにおいても、2021年4月に社長を委員長とするDX推進委員会を設置し、DX実装の最高責任者であるCDOを社外より招聘するなど、体制整備や人材育成といった土台づくりを進めており、今後、具体的な個別実装による事業変革・創出を実現していきます。
長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」で目標に掲げた脱炭素社会の実現に向け、気候変動対応の取り組みも着実に進めています。
この1年を振り返れば、「中期経営計画2023」初年度として良いスタートが切れましたが、2年目、3年目とさらに成長していくために、やるべきことはまだまだあると考えています。持続的に稼ぎ続けるための新規投資の継続と着実な収益獲得、既存事業の変革といった取り組みを確りとやり切る所存です。
当社を取り巻く事業環境はここ数年で大きく変わり、今後も著しい変化が続くと認識しております。難しい局面ではありますが、引き続き2030年における目指す姿「事業や人材を創造し続ける総合商社」に向けて、「マーケットインの徹底」、「社内外での共創と共有の実践」、「スピードの追求」を実行することにより競争優位の獲得と事業の成長を追求していきます。併せて、その実現に向け、必要となる組織や人材の変革に取り組み、持続的な価値創造を実践してまいります。株主の皆さまにおかれましては、引き続きご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
2022年6月
代表取締役社長
Profile
藤本 昌義(ふじもとまさよし)
- 生年月日
- 1958年1月9日
- 座右の銘
- 人事を尽くして天命を待つ
- 趣味
- 身体を動かすこと、特にゴルフ
- 好きな本
- 司馬遼太郎『竜馬がゆく』
- 入社理由
- 海外で働きたいという想い。そして、若いときからチャンスを与えられる社風に惹かれた。
略歴
1981年 | 4月 | 日商岩井株式会社 入社 |
2008年 | 12月 | MMC Automotriz S.A. Director President |
2012年 | 8月 | 双日米国会社 兼 米州機械部門長 |
2014年 | 10月 | 双日株式会社 理事 経営企画担当役員補佐 |
2015年 | 4月 | 執行役員 経営企画、IR担当 |
2015年 | 10月 | 常務執行役員 経営企画、IR、広報担当 |
2016年 | 4月 | 専務執行役員 経営企画、戦略投資推進、IR、広報、物流・保険統括担当 |
2017年 | 4月 | 専務執行役員 経営企画、広報、秘書担当 |
2017年 | 6月 | 代表取締役社長 CEO |