TCFDへの対応
双日グループは、気候変動に関する『リスク』と『機会』についてTCFD*1提言のフレームワークを活用し、積極的な情報開示と透明性向上に努めています。
*1 双日は、2018年8月にTCFDの最終提言への賛同を表明しました。
TCFDの枠組みに沿った取り組み
ガバナンス
CEOが委員長を務める「サステナビリティ委員会」を、年に4回以上開催しています。また、サステナビリティ委員会で検討・協議された方針や課題等は、経営会議及び取締役会へ付議または報告され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っています。
リスク管理
サステナビリティ委員会において、双日グループが行う各事業におけるCO2排出リスクを評価・特定しています。
加えて、投融資審議会での審議過程において、個別事業リスクの確認を行うとともに、経営会議を通じて各本部への周知を行い、また、ステークホルダーダイアログにおいても気候関連の「リスク」と「機会」が当社事業に与える影響について討議・確認しています。

戦略
【年代ごとに技術動向を予測し、双日の対応・考え方を整理】
年代ごとに技術動向や世の中の動きを見立て、リスクと機会別に双日としての考え方や対応方針を整理しています。今後も外部動向を注視し、見立てと双日としての対応を更新して参ります。

移行リスク
【将来のリスク・機会について、シナリオに照らした分析を実施】
●外部調査、内部分析も踏まえ、「リスク」と「機会」が当社グループの事業活動、経営戦略、財務計画にもたらす影響がより大きいと考えられる事業分野について順次シナリオ分析を行い、財務への影響を分析しています。

また、脱炭素社会実現に向けて不可欠なサーキュラーエコノミーにおいても取り組みをさらに強化します。
中計2020の主な実績
◆ 台湾最大級の洋上風力発電事業に参画
◆ 北海道苫小牧市にてバイオマス専焼発電事業に参画
物理的リスク
当社は、上記「移行リスク」に加え、気候変動が抑制できず、温暖化が進行した場合の「物理的リスク」についても対応を図ることとしており、先ず、資産に対する洪水や干ばつなど、おもに「水」に関するリスクに注目し精査を行っています。
当社事業への影響を広く確認するため、世界資源研究所(World Resources Institute)が提供する水リスクの分析ツール『Aqueduct』を用いて、定期的に調査を実施しています。
中期経営計画2023では、TCFDが分類する物理的リスクへの対応として、喫緊の課題である「洪水リスク」の影響を受ける可能性のある資産を特定し、財務影響を測定しました。
<物理的リスクのあるエクスポージャー/財務影響額> 約250億円
※『Aqueduct』の評価において「Extremely High」 「High」に立地する拠点の22/3月末有形固定資産額(リース資産は除く)。
指標と目標
脱炭素ロードマップ
既存事業と、今後新たに取り組む新規事業に分け、対応方針・目標を設定しました。既存事業は国際的なCO2の排出定義(SCOPE)別に「削減目標」を策定、また、新規事業は脱炭素社会への移行を「機会」と捉え、積極的に推進し、ネットゼロまでの考え方を個別に整理していきます。

脱炭素社会実現に向けた双日グループの対応方針を策定(2021年3月)⇒ 詳細ページは こちら
【既存事業】
<SCOPE1とSCOPE2の目標>
SCOPE1+2 | 2030年までに6割削減、2050年までにネットゼロ *1 (内、SCOPE2は、2030年までにネットゼロ *2) |
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石炭火力発電 | 現在保有無し。今後も保有しない |
- *1、*2 2019年度を基準年として、単体および連結子会社が対象。
(2021年3月の目標発表時は基準年を2018年度としていたが、2019年度に買収した環境負荷の高い海外製紙事業会社を「既存事業」に含めるべく、基準年を2019年度とした。)
証書などによるオフセットを含む。取り組みを加速するために、インターナルカーボンプライスの導入を検討しています。
<SCOPE3(資源権益事業)の目標>
一般炭権益 | 2025年までに半分以下、2030年までにゼロ *3 |
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石油権益 | 2030年までにゼロ |
原料炭権益 | 2050年までにゼロ |
- *3 2018年を基準とした権益資産の簿価ベース。2019年5月に公表の「2030年までに半分以下にする」目標を前倒し。
【新規事業】
事業別に脱炭素までの考え方を整理し、2050年までにネットゼロを目指します。
【脱炭素社会への貢献】
「機会」と捉え、関連事業の拡大、諸施策を推進します。
社会へのCO2削減貢献量(Scope4)を計測し、事業を実施します。
TCFDとは
正式名称は、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)。
低炭素経済への移行は、経済界に重大、且つ根本的な変化をもたらすため、金融の安定、および資産価値における損失を防ぐ観点から、金融界の対応方法のレビューを求めるG20の要請に基づき、金融安定理事会が立ち上げたイニシアチブです。
TCFDは、気候関連のリスク・機会がおよぼす将来的な財務影響の把握・検討を企業に促しています。
出所:最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」TCFD(2017年6月)
TCFDが推奨する、気候関連の開示フレームワーク
TCFDは、企業に気候変動関連の情報開示を促すための任意のフレームワークを提示しています。
そのフレームワークでは、気候関連に関わる『リスクと機会』に関し、企業が『ガバナンス』、『戦略』、『リスク管理』、『指標と目標』の4つのテーマに沿った開示を行うことを推奨しています。また、特徴的なものとして、『戦略』の検討において、気候関連の『シナリオ分析』を行うことを求めています。
- ガバナンス
- 取締役会による監視体制
- 評価・管理上の経営の役割
- リスク管理
- 識別および評価のプロセス
- 管理プロセス
- 全社リスク管理への統合
- 戦略
- 短期・中期・長期のリスクと機会
- 事業、戦略、財務計画への影響
- シナリオ分析
- 指標と目標
- リスク評価の指標設定
- 温室効果ガス排出量と関連リスク
- 目標、KPIの実績