「地球温暖化対策技術普及等推進事業」の開始
~NEDOが公募した地球温暖化防止に資する技術普及案件の採択に関するお知らせ~
2011年8月31日
双日株式会社
月島機械株式会社
双日株式会社(本社:東京都港区 社長:加瀬豊)と月島機械株式会社(本社:東京都中央区 社長:山田和彦)は共同で、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)より、「インドネシア共和国におけるスチームチューブドライヤ(STD)乾燥システムによる低品位炭火力発電所の効率改善プロジェクトの案件組成調査」*1に関する事業採択の通知を受け、当該調査を開始いたしましたのでお知らせいたします。
インドネシアでは旺盛な電力需要を賄うために、自国に豊富に賦存する亜瀝青炭*2や褐炭*3と言われる水分が高く、発熱量の低い低品位炭を燃料にした火力発電所による電力供給が進んでおります。低品位炭は安価な燃料ですが、低品位炭を燃料とした火力発電所の発電効率は瀝青炭の火力発電所の発電効率と比較すると低く、発電量あたりの炭酸ガス(CO2)発生が多い欠点があります。
今回の事業は月島機械の間接加熱型乾燥機「スチームチューブドライヤ」(STD)を用いて、低品位炭火力発電所に設置して低品位炭を予備乾燥することで、燃費の改善による炭酸ガス(CO2)発生削減を実現するものです。
本事業の実施にあたって月島機械は、多種多様な分野に多数納入してきたSTDをベースに、各種低品位炭の乾燥・ハンドリング試験、乾燥炭の燃焼試験、発電所への適用検討等を行います。
双日は、40年に渡る低品位炭利用の取組とインドネシア国内での事業経験に基づき、 インドネシア政府や関係機関との交渉、火力発電所側での合理化と事業性の検証作業を行います。
月島機械は、昨年5月に策定・公表した中期経営計画において、「環境・エネルギー分野への注力」と「海外ビジネスの拡大」の2つを基本施策としております。
今後、エネルギー価値が低いとされる低品位炭を得意の乾燥技術で高品位化することで、世界におけるエネルギーの有効活用と、CO2などの地球温暖化ガス排出削減に貢献してまいります。
参考資料
1)石炭火力発電規模と燃料石炭水分を10%迄乾燥させた場合の想定年間CO2削減量
2)スチームチュームドライヤ(STD)の構造と特徴 月島機械のSTDは、蒸気を加熱源に利用できる間接加熱型のロータリードライヤとして、石炭をはじめとする鉱石類、テレフタル酸などの樹脂類など多様な処理物の乾燥機として、国内外を含め、既に500基を超える納入、運転実績があります。
STDの特徴
- シンプルな構造のため大型化に適しており、大容量処理に適する
- 主要なメンテナンス無しに約1年間の連続運転が可能
- 乾燥物の水分調整も熱源の管理のみなので、運転が容易
- 間接加熱型のため排ガス量が極めて少なく、排ガス処理装置がコンパクトに出来る
- 特に製鉄分野のコークス用原料炭の乾燥設備としては、多数の実績を誇る
STD構造図
*1 平成23年7月7日、NEDOは「平成23年度 地球温暖化対策技術普及等推進事業」において、月島機械株式会社及び双日株式会社に、「インドネシアにおける低品位炭火力発電所の効率改善プロジェクトの案件組成調査」を委託することを公表しました。
本事業は、我が国の優れた低炭素技術・製品等の海外における有効性を実証し得る具体的な地球温暖化ガス排出削減プロジェクトの発掘と、その組成を高効率且つ効果的に実施するために必要な低炭素技術の普及・移転のための「事業性評価」、「排出削減効果の評価方法の確立」、「プロジェクトの実施に係るファイナンスその他の制度・環境整備方策等に関する調査」を実施するものです。
*2 亜瀝青炭
一般的に水分が20~30%、発熱量が約4500~6000 kcal/kgの石炭。
*3 褐炭
一般的に水分が30%以上、発熱量が約4500 kcal/kg以下の石炭。
褐炭は輸送効率とエネルギー効率の悪さから、高品位炭に比べ世界市場での取引は少ないですが、世界の石炭埋蔵量の1/4を褐炭が占めることから、褐炭から水分を取り除くなど、輸送・燃焼の効率を上げるための改良技術も研究されています。
以上