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株価情報

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  • 2021年4月からスタートした中期経営計画2023(以下、中計2023)は、企業価値向上に徹底的にこだわり、中期経営計画のスタート時点で約0.6倍であった株式市場からの企業価値指標であるPBRを1倍超にすることをKPIとして掲げました。資源価格の高騰や円安影響など、外部環境の追い風もありましたが、PBR1倍超も含めた全ての定量目標を達成しました。一方、定量目標の達成よりも評価していることは、2期連続で当期純利益1,000億円と自己資本1兆円規模への到達といった安定した経営基盤により、今後のさらなる成長に向けて準備が整ったことです。このように中計2023を経て、双日の成長ステージは大きく変わりました。そのため、中期経営計画2026(以下、中計2026)で掲げた方針や施策は、中計2023で得られた成果を礎とし、一段上の成長を目指す内容となっています。「PBR1倍超」達成もあくまで通過点と位置づけ、引き続き、企業価値、株主価値の向上にこだわっていきます。

    株価推移

Next Stageに向けてギアチェンジで加速する

安定的に当期純利益1,000億円を創出できる基盤が整い、次に到達すべき地点として設定したのが、Next Stage(当期純利益2,000億円、時価総額2兆円、ROE15%)です。振り返ると、現会長の藤本が社長に就任した当時、直近の2017年3月期の当期純利益が408億円であった中、1,000億円を目標に掲げたことに対して、社内では驚きや戸惑いの反応もありました。しかし、1,000億円という明確な目標を掲げたことで、達成のために何をするべきかという視点が生まれ、それまで俎上に上がらなかった議論が社内で巻き起こりました。それが、結果的に目標達成につながったと考えています。このたび、Next Stageとして掲げた、「2倍成長」も分かりやすく、明確な目標を提示することで、全社での共有・浸透を促進する狙いがあります。達成のために何が必要か、社内はもちろん、株主・投資家の皆様とも対話を重ねていきたいと考えています。ここ数年で感じているのは、事業基盤が目に見えて強化されてきたことに加え、社員の意識的な変化です。新たな挑戦、新たな事業の創出に対する意欲が高まっており、着実に実績も積み上がっています。「人材」の観点でも、飛躍の準備が整いつつあるといえるでしょう。しかし、ここからの数年をこれまでと同じように過ごしていたのでは、Next Stageへは到達できません。さらなる成長に向けて、より一層加速すべく、「ギアチェンジ」を図ります。

「ギアチェンジ」が意味するのは、ポートフォリオの質を変えていくということです。私たちのポートフォリオマネジメントの考え方は、単純に投資効率の高いセグメントへの資産配分を高めることで、リターンの積み上げの最大化を図るといったものだけではありません。より重視するのは、保有する資産や事業と、そこに関わる人材の、数字に表れない質を向上させることです。既存の事業の稼ぐ力をさらに高める。新規投資の領域を明確化し、多数の事業の点を有機的につなぎ、塊とする成長戦略を徹底する。これに加えてそれらを支える人材の強化に引き続き注力する。これらを循環させながら、質を重視してボリュームを増やしていくことが中計2026及びその先を見据えたポートフォリオマネジメントの考え方です。ポートフォリオの質的変化を説明するのは困難ですが、バランスシート上の数字が同じでも、質の違いが将来の成長期待に大きく影響します。質的変化をお示しするため、「双日らしい成長ストーリー」実現の成果をいち早く、数多く挙げていきたいと考えています。

キャッシュリターンベースでの収益を追求する

中計2023ではキャッシュリターンベースのROICであるCROICを導入しました。中計2023策定当初、当社資本コストを7~8%と想定し、全社として達成すべきROEとして10%超を掲げ、この目標達成のために各本部に「価値創造ライン」として求めるCROICを設定しました。各本部の資本効率を可視化したことで、各本部において実行すべき施策が具体化し、結果として全社の資本効率向上に寄与しています。その中で、積極的に事業投資を実行しているインフラやリテール関連の本部は相対的にCROICが低く出ています。事業参入期の資産の増加に対して利益やキャッシュの創出がまだ十分ではないことが要因です。

中計2026では、定量目標のROE12%を達成するための基準ではなく、Next StageのROE15%の達成を見据え、ROE13~14%を達成するための水準として「価値創造ターゲット」を各本部に設定しました。結果的に全本部において求められる水準が上昇しています。外部環境の変化に伴い資本コストも9~10%に上昇していると考えており、引き続きキャッシュリターンベースでの収益を追求していきます。

事業投資を行うにも人材に投資するにも、まずはもととなるキャッシュを稼ぐ必要があります。本部別にCROICをKPIに設定したことで、社員の「キャッシュを稼ぐ」という意識が高まりました。資産効率を上げることだけを考えると、持分法による投資利益を増やしていけば比較的簡単に達成できますが、私たちが目指すのはキャッシュリターンベースでの収益拡大です。近道はありません。ハンズオンの経営にこだわり、「双日らしい成長ストーリー」を通じて「価値創造ターゲット」の達成を目指していきます。

積極的な成長投資で事業や人材を創出し続ける

ポートフォリオの質を変える投資

中計2026では、基礎的営業キャッシュ・フローの7割程度を成長投資・ヒトへの投資に、3割程度を株主還元に充当する方針を打ち出しました。今回「ヒトへの投資」と明確に打ち出した背景には、「Next Stageに向けた成長原資の配分先は事業と人材である」という考え方をメッセージとしても示したものです。成長投資については、中計2026期間中に6,000億円を計画していますが、これは規律あるキャッシュ・フローマネジメントを行う中で投資が可能な金額を示しているものであり、6,000億円の実行そのものが目的ではありません。この投資の内訳として、今回新たに「X投資」「S投資」にそれぞれ3,000億円ずつ振り分けていますが、投資の対象に違いはなく、継続的に取り組んできた事業ポートフォリオの強化・持続を行う投資を「S投資」と位置づけ、過去中計と同様に収益貢献の見通しを設定し、進捗確認を行っていく一方で、「X投資」についてはNext Stageに向けギアチェンジを行うことができる規模感も含めたインパクトのある投資を対象としています。また、これらに含まれる形で約1,000億円のDX、GX投資を行う計画です。

今回「X投資」を定めた背景は、資産入替や収益性向上策の継続によりバランスシートの強靭化が進んだこと、新規投資の継続による事業領域の拡大がマーケットの知見や良質なパートナー獲得につながったことから、今まで以上の規模感の投資実行が可能になっていると判断したものです。全社で集中的にリソースを配分し、迅速な分析や意思決定を必要とするような重要な案件については、当社が持つ機能*を最大限活用し、成功確率を高めるべく取り組んでいきます。

M&Aにより積み上がったのれんのコントロールも重要です。リスクリターンを踏まえた適正なマネジメントに努めていきます。買収先の将来キャッシュ・フローがどのような想定に基づいているのかという観点をしっかりとモニタリングし、リスクリターンを評価していきます。将来キャッシュ・フローの算出には、買収先が属するマーケットの成長や、保有する技術・機能の評価、取得している許認可、パートナーから与えられている権利など、さまざまな構成要素があります。そのような構成要素を分析・モニタリングすることで、のれんを適切に評価し、必要に応じて資産入替も検討していきます。

  • M&A・投資戦略推進室では、営業本部と共同でプロジェクトを推進し、投資案件のバリューアップの成功確率と投資リターンの向上を図る役割を担う。

透明性と予見性を高めた株主還元方針

投資家の皆様との対話を通じて、予見性の高い株主還元方針の導入を行いました。1つ目は先ほども申し上げた中計3ヶ年累計の基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元に充当するものです。2つ目は株主資本の4.5%を毎年配当金として支払う株主資本DOEの導入となります。単年度の特殊要因などによって変動が生じる当期純利益をベースとする配当をやめ、為替や株価等の変動要素を除いた株主資本をベースとすることで、同じ年度の配当支払い額を超える当期純利益が出る限りにおいて累進的な配当となる株主資本DOEにより、予見性が高く、安定性の増した配当を実行していく方針です。配当金に加え、株主還元の基本方針のもと、自己株式の取得についても機動的に行っていく考えです。

いち早く2倍成長の達成を目指す

「2倍成長」に向けて必要になるのが、「双日らしい成長ストーリー」の実現です。先述した通り、それは一言で言い表せるものではありませんが、中計2026で「ビジネスモデルの変革・深化」と示したような「ニーズに応じて事業を進化させ、市場・顧客に根差した機能提供型へ変革していくこと」がその一例となるでしょう。例えば、インフラ関連事業では、病院や学校のエネルギー利用効率向上を図る事業を行ってきましたが、そこに、再生可能エネルギーを導入するなど、当社が有する特長的な機能を組み合わせることで、提供価値を高める取り組みを進めています。事業の質的変化に加え、増えてきているのが、横展開による事業拡大です。成功した案件で協力関係にあったパートナーからのお声掛けなどで、新たな案件が生まれ、連鎖的に事業が拡大しています。投資するだけでなくハンズオンで事業経営をしているからこそできることです。こうした一つひとつが「双日らしい成長ストーリー」の実例であり、その数と規模が増えていくことで、「2倍成長」が実現できると確信しています。

  • 双日は発足から20周年を迎え、当期純利益1,000億円を安定的に創出できる経営基盤が整いましたが、直近の好調の要因をいま双日にいる私たちだけの功績であるとは決して思っていません。過去の脆弱な経営基盤のもと、やりたくてもできなかったことや、花開く前に諦めざるを得なかったことがあった中でも、ステークホルダーの皆様のご支援や、双日パーソンの数々の努力・工夫の末、築かれた土台の上に今の双日があります。また一方で、このままの延長線上ではなく、さらに良い方向に会社を変えていけるかどうかは、私たち自身にかかっています。私がCFOとして果たすべき役割は、ポートフォリオの質の向上をリードすることであり、いち早く「2倍成長」を実現していくことだと認識しています。そして、その道筋や結果を、投資家をはじめとするステークホルダーの皆様と対話を深めながら、共感と応援をしていただけるようにすることが使命の一つだと考えています。引き続き、持続的な企業価値向上に取り組んでいく所存です。

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価値創造の測定・評価

※所属組織、役職名等は2024年7月時点です

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