コンプライアンス
方針・基本的な考え方
当社グループでは、その持続的な成長と企業価値の向上のためにはコンプライアンスを徹底することが不可欠であると考え、社員にコンプライアンスマインドを浸透・定着させるための取り組みを、全社をあげて実施しています。コンプライアンスの定着に近道はなく、以下に掲げる取り組みを、地道にかつ着実に繰り返していくことで、さらなるコンプライアンスの周知・徹底を図っています。
なお、「双日グループコンプライアンス・プログラムは、毎年見直しを行っています。また、「双日グループ・コンプライアンス行動基準」は、少なくとも5年に一度見直すことにしており、近年では2022年4月に改訂を行いました。
コンプライアンス体制の構築
コンプライアンス体制
当社グループは、本社にチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を設置するとともに、国内外の拠点およびグループ連結会社には、それぞれコンプライアンス責任者およびその補佐役を置き、本社・国内外拠点・グループ連結会社が連携して法令・企業倫理遵守に向けた体制整備および現地雇用社員までを含めた啓発・研修活動を行っています。そのほか、CCOと海外5極の海外総支配人・総代表やグループ連結会社社長との面談や、国内グループ連結会社のコンプライアンス担当者間での連絡会などを通じてコンプライアンスマインドの共有を図るとともに、定期的に今後の方針についての意見交換を行っています。
一方、コンプライアンス違反の防止や早期発見に向けては、日常的な「報告・連絡・相談」を奨励するとともに、内部通報制度を導入し、CCOおよび社外弁護士へのホットラインや、コンプライアンス委員会事務局につながる相談窓口および24時間365日活用できる多言語対応の「双日エシックスホットライン」がグループ役職員に周知されています。
また、コンプライアンス違反については、コンプライアンス委員会事務局(法務部)等の専門部署による事実確認を行っています。
コンプライアンス委員会メンバー
社長管下の業務執行機関として、社長から任命を受けたCCOを委員長として、代表取締役を含むメンバーで構成されています。
2023年4月1日現在
**代表取締役
*取締役
委員長 |
|
---|---|
委員 |
|
オブザーバー |
|
事務局 |
|
コンプライアンス体制図
コンプライアンスホットライン
当社グループでは、当社グループ会社または当社グループ役職員によるコンプライアンス違反行為または違反が疑われる行為を発見した場合や、その他コンプライアンスに関する疑問等を感じた場合に社員が通報できる受け皿として内部通報制度を整備し、以下のとおり各種相談窓口を設置しています。また、これらに加え、社内外問わずどなたでもご利用いただけるよう、双日グループホームページに「コンプライアンスに関するお問い合わせ」窓口を設置しています。
これらの内部通報制度は、情報管理を徹底し、匿名での連絡も受け付けています。また、通報者への不利益行為(報復行為等)を禁じるなど、通報者保護を徹底しています。
2022年度のこれらホットラインを通じた相談件数は、96件でした。
ご参照▶ コンプライアンスに関するお問い合わせ
コンプライアンス違反対応
双日グループの役職員(契約社員を含む)は、「双日グループコンプライアンス・プログラム」に従い、コンプライアンス違反行為またはその疑問行為を見つけたときは、上司等に報告し、その対応策について指図を仰がなければなりません。
この報告を受けた上司等は報告者に必要な指図をする他、速やかにその内容をコンプライアンス委員会委員長に報告しなければならないとされています。
この報告(職制による報告)またはコンプライアンスホットラインによる報告がなされた場合、コンプライアンス委員会事務局は、委員長の指図により、発生原因、責任の所在等の徹底調査(報告者・関係当事者・被疑者に対するインタビューを含む)を行い、必要に応じて弁護士等の専門家の意見を聴取します。また、調査結果に基づき再発防止策を策定し、実行します。
内部監査
当社グループでは、本社取締役会の下部組織である内部監査小委員会の管轄下に監査部を置き、その監査部が双日グループの内部監査を行っています。
監査部は、毎年、当該年度の内部監査の対象とする本社各部署・国内外拠点・グループ連結会社の選定を含む監査計画を策定し、内部監査を実施していますが、その監査項目の中にコンプライアンスが含まれています。また、安全保障貿易管理と腐敗行為防止コンプライアンスについては、それらをテーマとした内部監査も通常の内部監査とは別に行っています。
取締役会への報告
毎年、コンプライアンス施策および違反事案の状況、当該決算期のコンプライアンス活動方針について取締役会に報告しています。
各種取組み
当社では、その社会的責任の重要性を自覚し、また、高い倫理水準を意識し、法令遵守はもとより、社会通念や習慣、文化にも配慮した公平性・透明性のある事業活動を行います。そのため、以下の取組みを行っています。
コンプライアンスマインドの周知・定着
当社グループでは、企業理念を実践するための、あらゆる事業活動の拠りどころとなる世界共通の判断基準として「双日グループ・コンプライアンス行動基準」を制定しています。当社グループは海外においても数多くの拠点を有しており、日本国内だけでなくグローバルレベルでの周知・徹底を進めるため、この行動基準を日本語や英語を含む25言語に翻訳し、国内外のグループ役職員がコンプライアンスマインドを共有できるようにしています。
また、行動基準に加え、コンプライアンスを徹底するための具体的手順を定めた「双日グループコンプライアンス・プログラム」を制定しており、国内外の双日グループ役職員(契約社員も含む)を対象として、行動基準およびコンプライアンス・プログラムの理解を深めるとともに、温度差の無いコンプライアンスマインドを醸成すべく、世界共通の教材によるeラーニングや、新入社員向け研修、管理職向け研修、海外赴任前研修、その他、ケーススタディを中心とした集合研修などの各種コンプライアンス教育を実施しています。
なお、「双日グループコンプライアンス・プログラムは、毎年見直しを行っています。また、「双日グループ・コンプライアンス行動基準」は、少なくとも5年に一度見直すことにしており、近年では2022年4月に改訂を行いました。
<双日グループ・コンプライアンス行動基準>
双日グループ・コンプライアンス行動基準PDF[PDF:12.5MB]
腐敗行為防止のための取り組み強化
近年、米国をはじめとした世界各国で、政府関係者に対する、あるいは民間企業間での不正な贈答・接待などの腐敗行為に対する取り締まりが厳格化し、腐敗行為防止への要求水準はグローバルレベルでますます高まっています。
当社グループでは、2012年12月に双日グループ腐敗行為防止規程を制定し、また、2019年3月に双日グループ贈収賄防止方針を定め、日々、腐敗行為防止に取り組んでいます。これら方針や規程では、第三者(政府関係者を含みますが、これに限りません)に対する贈収賄行為を禁止し、日本の不正競争防止法、米国のForeign Corrupt Practices Act、英国のBribery Act 2010などの腐敗行為防止に関する法令に対応しており、当社グループの役職員(契約社員等を含む)が世界各国・地域で事業活動を行うに当たり、遵守すべき基準及び規範を定めています。
当社グループでは、腐敗行為防止の取り組みとして、その取引を、(1) 贈答品・接待・旅費の提供・受領、(2) 代理店等の起用、(3) 寄付・政治献金、(4) 事業買収・合弁事業・その他投融資、(5) ファシリティペイメントのカテゴリーに分け、それぞれの取引について腐敗行為のリスクを特定、評価するための事前審査の手順を定め、実施しています。また、年度末には、過去1年間の審査状況・結果をもとに腐敗行為リスク全般のリスクアセスメントを行っています。さらに、定期的に腐敗行為防止に特化した内部監査を実施することにより、実際の事業活動における腐敗行為防止規程の遵守状況を確認し、その結果に応じて役職員向けの研修を実施するなど、腐敗行為防止にかかる運用の実効性を確保する体制を構築しています。
2019年11月、当社は日本企業として初めてISO37001認証(贈収賄防止マネジメントシステム)を取得しましたが、現在同規格を取得・維持する中で培ったノウハウを内製化すべく、新たな体制作りの検討を行っております。
引き続き、当社グループ全体として高水準な対応を徹底し、腐敗行為防止マインドの浸透と腐敗行為防止体制の構築・改善に積極的に努めていきます。
また、当社は腐敗行為防止に関する国際的認証機関であるTRACE Internationalのメンバーです。2015年11月にTRACE International認証
(TRACEcertification ID: TC3151-4085)を取得し、以降毎年更新しています。
安全保障貿易管理のコンプライアンス
安全保障貿易管理においては適用ある輸出管理規制と制裁法令を遵守することが求められます。当社グループは、国際社会の一員として国際的な平和と安全の維持のために輸出管理規制および制裁法令を遵守します。
当社グループでは、それらの法令に違反してしまった結果、当社グループの信用を棄損する可能性、法令上の罰を受ける可能性、輸出等の取引を禁止・規制される可能性、投資家や取引先との取引を失う可能性、ある市場・地域で取引ができなくなる可能性を重大なリスクととらえ、これらのリスクが現実化することを防ぐための体制を整備し、その防止のための取組みを行っています。
【体制・具体的な取組み】
1.コミットメントと体制
当社グループは「双日グループ・コンプライアンス行動基準」を制定し、その中で当社グループ役職員が事業活動を行う上で拠りどころとなる世界共通の判断基準として国際平和および安全維持の妨げとなることを規制する法令の内容を十分理解し、遵守することが必要であるとしています。また、「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」を制定し、その中で、まず最初に当社代表取締役社長が当社グループが国際的な平和と安全維持のために大量破壊兵器の開発等、その他安全保障上の脅威に断固として反対し、輸出管理規制と制裁法令を遵守することを宣言した上で、その遵守のための体制と取組みに関する当社グループの基本方針を定めています。
双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針 [PDF:350KB]
当社グループでは、本社に代表取締役を委員長とする安全保障貿易管理委員会を設置し、本社法務部を事務局とした上で、本社法務部内と双日グループ会社内に安全保障貿易管理チームを持ち、安全保障貿易管理に関する方針や目標の策定、それらを実行するための体制の整備、各種施策の立案・実行とその監督を行っています。
各安全保障貿易管理チームは互いに情報交換・連携を行い、本社法務部内の安全保障貿易管理チームは安全保障貿易管理委員会に定期的に報告を行っています。
2.リスク評価
当社グループでは、次の可能性を冒頭に述べた重大リスクにつながるリスクとしてとらえ、定期的に評価を行い、それらリスクに対する対応策の見直し・検討を行っています。
・規制された製品を必要な許可を取得せずに輸出等の取引を行うこと
・規制された取引を許可を取得せずに行うこと
・取引を規制された国・地域や対象者と許可を取得せずに取引を行うこと
これらのリスクの把握のために、輸出国または適用ある第三国の規制品を扱っているか、規制された取引を行っているか、規制された国・地域と取引または事業活動を行っているか、規制された者と取引を行っているか、について定期的に検証・評価を行います。
そして、リスクが検出された場合、その内容を直ちに分析し、必要な対応を検討し、取引の即時停止、契約解除、関連当局への届出等の対処を行います。
3.内部統制
当社グループでは、「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」に基づき、本社、各双日グループ会社毎に安全保障貿易管理規程を制定し、安全保障貿易管理のための具体的な手続きを定め、実行しています。例えば本社では、輸出等の取引を行う場合、安全保障貿易管理委員長から委任を受けた審査担当委員または法務部長の承認を必要とし、そのための輸出等取引審査手続を定めています。また、投資等を行う場合は、社内規程に従った承認手続きが必要ですが、その手続きの中で本社法務部は審議部署として関与することで、安全保障貿易管理に関するリスクの分析・評価・対応策の検討を行っています。
また、「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」と安全保障貿易管理規程は社内イントラネットや社内トレーニングを通じて役職員に周知されています。
4.監査
当社グループでは、監査部が内部監査の一部として監査項目を安全保障貿易管理に絞った監査を行っています。監査部は安全保障貿易管理規程に基づき毎年、監査対象を定め、年度監査計画に従い、安全保障貿易管理に係る監査を実施しています。本社法務部は監査部と連携・情報交換を行っており、適宜、監査部による内部監査に参加しています。内部監査で検出されたリスクは本社法務部と共有され、本社法務部または双日グループ会社の安全保障貿易管理チームによる支援のもと監査対象(部署・会社)により対応策が検討され、実施されます。
5.トレーニング
当社グループでは、「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」と「安全保障貿易管理規程」に従い、役職員に対するトレーニングを実施しています。
このトレーニングの企画・立案は本社法務部と双日グループ会社の安全保障貿易管理チームが実施しています。
例えば、トレーニングの内容には、当社グループの安全保障貿易管理の方針および体制の概要、適用ある輸出規制(米国の再輸出規制を含む)の概要、国連その他各国の制裁法令の概要、それら法令に違反した場合の当社グループに対する影響、違反しないために役職員が注意すべき事項、違反した場合の処分が含まれます。
パフォーマンス
当社グループにおける国内・海外での2022年度のコンプライアンス違反の状況は以下の通りです。
重大な法令違反 (贈収賄・汚職等の腐敗行為、公正取引委員会など関係官庁からの排除措置命令、 コンプライアンス関連事件・事故による刑事告発、海外での価格カルテルなど) |
0件 |
---|---|
その他社内規程・軽微な法令違反 | 76件 |
コンプライアンス関連の研修実施状況(2022年度実績)
コンプライアンスマインドの周知と定着を目的に各種研修を実施しています。
各種研修
海外赴任前研修 |
---|
海外赴任前特別研修 |
中堅社員向け基本原則研修 |
新入社員向け研修 |
キャリア採用研修 |
グループ会社コンプライアンス担当者向けスキルアップ研修 |
グループ会社向けハラスメント防止研修 |
グループ会社向け腐敗行為防止研修 |
※なお、2022年度においては、ハラスメントの撲滅を目標とした新たな施策として、複数部署に対して、ハラスメント防止についてのディスカッション形式での研修を実施しました。ハラスメントに関する知識だけではなく、職場環境の在り方や望ましいコミュニケーション方法について意見交換を促進し、所属組織におけるハラスメント問題や自らの行動についての気づきを得る機会として、今後も本施策を推進していきます。
eラーニング
当社では、以下の重要な内容をいつでも確認できるよう、全社員に対し以下のeラーニングを展開しています。
双日グループ・コンプライアンス行動基準(改訂版) |
---|
コンプライアンス必修研修 |
腐敗行為防止研修 |
新入社員向けコンプライアンス基礎研修 |