多様性×健康経営
衛藤 紀江/人事部 副部長 兼 健康推進室長
岩田 勇也/人事部 健康推進室
2022.10.24
岩田:組織のパフォーマンスを上げるためには一人ひとりが力を最大限に発揮することが必要ですが、そのためには健康である事が必要です。しかし日常の中で健康を意識できる人は多くはなく、組織としての働きかけが大事です。
私たちは2022年より女性社員の活躍を健康面から支援する新たな取り組みを開始しました。スプツニ子!さんが代表を務める株式会社Cradleのサービスを活用し女性社員の健康推進に取り組み、さらに女性特有のがん検診の対象年齢を全年齢に拡大にするなど、さまざまな施策を実施しています。
衛藤:さらに月1回、婦人科専門の嘱託医の診療時間を設け、気軽に検診を受けられる環境を整えました。従来は、健康に関する施策といえば喫煙やメタボに関することが中心でしたが、若い女性社員が増えている今、女性向けの対応を拡充することは大事ですよね。
女性は、女性特有の健康課題である生理や産前産後、プレ更年期や更年期等と向き合いながら、ライフとキャリアを考えなければいけないのに、働きながら自身の健康と上手く向き合う事がないままに過ごしている人が多いと感じています。そうした年代に応じた問題を気軽に相談できるように、婦人科医や会社の窓口などで対応できる仕組みづくりをしていきます。
岩田:管理職が女性社員をマネジメントする場面において、上司の理解が乏しい場合、体調が悪いのに負荷をかけてしまったり、不適切な対応をしてしまうケースが生じるかもしれません。こうした問題も、管理職研修に組み込んで理解を深めること、健康リテラシーを高めることを目指してきたいと思います。
岩田:仕事がハードな時には、生活のリズムが乱れがちです。しかし生活習慣病のアラートが鳴っても、なかなか行動には移せないものです。私も営業が長かったので食生活が乱れることが多かったですが、この健康推進業務に関わることがなければ、どんどんルーズになっていたでしょう。こうした意識は明確な目標がないと変わらないものなのです。ですからいきなり正論をぶつけるのではなく、10年後、20年後にどうなるかを示して、「忙しくても、出来る事から少しずつ健康を意識するように」と、働きかけをしようと思います。
衛藤:先日、双日の検診データを蓄積して分析していただいた医療機関から、食道がんの発生率が高いことを教えていただきました。それは明らかに喫煙とお酒が原因であり、商社特有の傾向だそうです。当社はもちろん発症した場合のサポート体制は整えていますが、発症しないように意識していただくことが最も大事。そのために、今後はこうしたデータをリアルに見せる研修やセミナーも実施していくつもりです。
岩田:私は、この部署に来る前は新卒者採用を担当していましたが、若手社員は学生生活をコロナ禍で過ごしています。対人コミュニケーションの機会が十分にないまま社会人生活がスタートしているケースもあるため、通常以上の負荷を感じている人もいるかもしれません。メンタルの不調を未然に防ぎ、ケアの方法も工夫する必要があると考えています。
衛藤:新入社員に限らず、メンタル不調の兆しがある人は産業医に連絡できるようにしています。加えて産業医とも協業し、より良い組織環境のあり方も合わせて考えるなど、心身の健康に関するさまざまなアプローチを考えています。
衛藤:これまで説明してきたことに加え、私たちが取り組むべきことは、健康診断の結果が分かった後のフォローです。二次検診に行くことを決断するのは最終的には本人ですが、その働きかけをどうやっていくか。受診率を上げることで、問題を早期発見して予防や治療につなげていくことが本人にとって良いことですし、組織や会社にとって、また、健康保険組合の運営にも、良いことなのです。
岩田:私はこの仕事に関わったおかげで、早期対策の大切さを痛感しています。健診結果を見ても、身体に症状が現れていなければ、「まあ大丈夫だろう」と勝手に判断してしまっていました。しかしそのつけが後々出てきて、仕事や生活に支障が出ている例を目の当たりにしています。社員のみなさんに力を最大限発揮していただくためにも、みなさんの健康リテラシーを上げるべく社内に呼び掛けていこうと思います。
衛藤:私は体を動かそうとジムに入りました。社内では階段を使っています。部のみんなにも、エレベーターを使う人を見かけると「階段ですよ!」と声を掛けています。そうした小さなことからでも、一人ひとりが積み重ねていけると良いですね。