挑戦 × 起業家精神
桐谷 恒毅/株式会社GRITz 代表取締役社長
温 哥華/株式会社GRITz 代表取締役
2022.08.29
桐谷:2020年のHassojitz(発想×双日)プロジェクトへe-sportsに関する事業構想を提案し、2022年に株式会GRITzの設立に至りました。ゲームは趣味でしたが、本格的に取り組み始めたのはボーナスでゲーミングPCを買ってから。双日へ入社したのは、事業投資や起業に興味があったからです。今回、Hassojitzというチャンスがあったこと、そして「自分は双日で一番ゲームを知っているはず!」という自負があったため、チャレンジさせて頂きました!
温:私が初めてe-sports に出会ったのは中国のネットカフェでした。その時はまだ中国のe-sports 黎明期。ネットカフェで知らない人同士がチームで対戦し、周りで見ている人達もワーッと熱狂する様子は「スポーツと一緒だな」と、強烈な印象が残っています。2020年のHassojitz PJではスマートグラス事業の立ち上げを自ら立案しましたが、まだ未熟な部分もあり次のフェーズまで進めることが出来ませんでした。その際に桐谷さんのe-sports プロジェクトを知り、メンバーの公募に手を挙げました。
私は入社以来、主に石化プラントや産業用ロボット等の営業、海外出資先の管理等を担当しておりましたが、中には半導体製造に携わっているクライアントもいました。ゲーミングPCやスマホは半導体の塊なので、e-sports 市場が拡大すれば半導体需要にも繋がると考えたことが、応募のきっかけです。それまでは、お互いに面識はありませんでした。
桐谷:海外のe-sports 市場は急激に拡大していますが、国内市場はまだ80億円程度。小規模ですが、年20%のペースで増えています。国内のファン人口は現在600万人程度で、これはプロバスケットボールと同じくらい。しかし2024年には1,400万人に達すると見込まれ、これはJリーグ並みの規模なんです。
GRITzは、初めの段階では、メディア関連事業、大会興行事業、プロダクション事業の3つを検討していきます。同時にe-Sports業界の波及領域で商社が戦える分野へ。ゲーミングPCは商社が扱う半導体やプラスチックからできていますし、大会で選手やファンが動けば旅行業界と連携できます。商社だからこそ、既存のゲーム業界の発想を超えてさまざまな事業へとつなげることが可能だと思っています。
温:商社である双日がe-sports に参入することを、業界の方々はどう受け止めるだろうか?という心配もしました。しかし私たちは「チーム、プロ選手、裏方で業界を支えている方々の想いを伝えていきたい、そしてe-sports の魅力を発信したい」という想いを沢山の方へお話しました。すると「双日のような企業がe-sports に参入することで業界の裾野が広がり、市場規模も広がるだろう」と喜ばれ、業界の方々から沢山のアドバイスや協業提案など頂き、むしろ温かく迎えられた感じです。
最近アイスランドで大きな大会があり、日本からは合計30万人が視聴しました。私の年代で「ゲームが趣味」というのは少しはばかられますが、今の20代にとってはすでにひとつのカルチャーです。また、ビジネスとして見た場合、e-sports ファン層の8割は35歳以下の男性ですが、これらの方々にダイレクトにリーチできるし、将来の消費力を見込んだアプローチもできる、つまりe-sports はマーケティングツールでもあります。実際に、海外では大企業がスポンサードする例も多いです。将来的には双日のビジネスにもつながっていくでしょう。
桐谷:さらに、e-sports ×〇〇、と考えれば、可能性は想像以上に大きいです。e-sports ×教育、ヘルスケア、高齢者、地方創生...。
温:GRITzは将来、サッカーのワールドカップのような規模感のe-sports イベントを創りあげたいと考えていましたが、事業を始めたらいろいろな問い合わせがあり、意外な可能性も出てきました。たとえば、既にいくつかの企業から社内イベントを企画してほしいという依頼があるんです。今、いろいろな案件を進めていますが、これまで想定していた既存の市場や顧客だけでなく、より広い分野への波及効果がありそうです。
桐谷:私は入社以来リスク管理系の仕事をやってきたので、営業に関しては温さんに一から、それこそマナーやメールの書き方まで教えてもらいました。他の部署の方々にお願い事をするときも、温さんがスムーズにつないでくれる。「ああ、双日パーソンだな」と感じます。Hassojitz PJのメンバー公募に手を挙げてくださって、本当に良いご縁をいただきました。
温:桐谷さんはとにかくゲームに詳しい。私は社会人になってからほとんどやっていないので、最新のゲーム動向やプレイヤー目線の感じ方など、お客様との商談の場では本当に頼りになります。
GRITzという社名の「GRIT」は「やり抜く力」を意味しており、それに「z」をつけて「AからZまで、最後までやり抜く」という意味を込めました。
双日で重厚長大産業に関わってきた私は「先輩たちが築いてきた信頼があったからこそ今の商いがある」という思いが強いんです。e-sports という新しい分野への挑戦も、先輩たちが人やお金やネットワークを今へつないでくれたからこそ出来ることで、ありがたいと思っています。これまでに築いてもらった信頼を大切にしながら、さらに飛躍できるよう頑張りたいですね。