私のビジネスは、ワクワクからはじまる。
草田宏輝/化学本部 無機化学品部 第一課 副課長
2024.12.19
学生時代から、私の行動の根底には「つねに新しいチャレンジをすることで、ワクワクしたい」という思いがありました。中学、高校と野球をやっていたので、大学でも続けようと思っていましたが、最終的にはアメリカンフットボール部を選びました。新しい競技に取り組むことで、もっとワクワクしたい、もっと自分の可能性を広げたいと思ったからです。
就職活動においても、「ワクワクする仕事をしたい」という思いが強く、さまざまな業界を調べた上で、最終的に総合商社を志望しました。総合商社の事業は広範囲にわたり、部署異動によってさまざまな経験を積めるというところに大きな魅力を感じたからです。また、多くの商社の先輩とお話しする中で、同じ商社といってもそれぞれすごく色が違うということも感じました。私は双日の先輩方の飾らない雰囲気が一番肌にあったと言いますか、「この先輩たちと働いたら面白そうだな」と思ったことが双日を志望する大きな動機になりました。そして、第一志望だった双日に入社することが叶ったのですが、入社してからも、双日には誰にでもフランクかつ真摯な態度で接するという文化があると感じています。
2009年に入社し、大学では体育会系だったことから当然営業部に配属されると思っていましたが、実際は経理部でした。営業の部署で社外の人に向き合う仕事がしたいという思いが強かったので、少し戸惑いました。人事部の担当者に「なぜ私が経理部の配属なんですか?」と聞いたところ、「経理部という立場で、会社という組織やビジネスの仕組みをしっかり学んでから、営業部に出た方がいいんじゃないか」と言ってもらったことを今でも覚えています。その後、日々数字と格闘することになりましたが、この2年間があったことで、営業部に異動した後に重要なスキルが身についていたことを実感しました。経理部としてトレーディングだけでなく、事業投資などのあらゆる案件に携わっていたので、多岐にわたるビジネスモデルを学ぶことができましたし、経理的な部分については経理部に確認をせずとも、その場で自分自身である程度の判断ができるので、取引先とスムーズに話ができることなど、私の大きな強みになったと思います。今は心から最初の配属が経理部でよかったと、人事部の方に感謝しています。
2011年、営業に出たいという希望がついに叶い、営業部に異動となり、新しい業務にワクワクしながら取り組むことができました。まずは、リチウムイオン電池の原料となるリチウム化合物の輸入と国内顧客向けの営業に7年間携わりました。その後は、タイに赴任しました。タイでは、日本では経験できないふたつのチャレンジをしました。ひとつが、多種多様な石油化学製品を扱うビジネスへの挑戦です。日本ではひとつの原料に携わり、限定された市場で知識・経験ともに専門性を高めるといったことが求められていましたが、タイ赴任後は打って変わり、石油化学製品全般の50から100アイテムほどを一気に担当することになりました。ひとつひとつの製品の名前を覚えることから始まり、やったことのないことをコツコツと覚えていくのはそれまでと同じでしたが、ひとつひとつの製品を深掘りするのではなく、業界全体を俯瞰しながら、需給のバランスを体系的に把握して、パズルを組み合わせるようなビジネスの仕方を学びました。
もうひとつのチャレンジが、管理職としてチームをまとめることでした。やはり、国民性や文化、商習慣の違いは、どこの国でもあると思います。転職が当たり前のタイでは、考え方や会社へのロイヤリティなどに日本人と大きな差があります。そのため、個人の目標だけではなく、組織の目標に向かって、みんなでどう取り組めばいいのか試行錯誤しました。その壁を乗り越えるために、私は、まず誠実なコミュニケーションを心がけ、ポジティブな雰囲気の中で相互理解が進むように努めました。そして、四半期に一度プレゼン大会を開催し、成果によって表彰セレモニーを行うことなどで、メンバーのモチベーションを高める工夫をしてきました。経理部での学びと同様、タイで学んだことは、その後の私のキャリアにとてもよい影響を与えてくれたと思っています。
2023年から、私は本社の化学本部で工業塩事業を担当しています。塩というのは食卓での利用に限らず、実は石鹸やビニール製品、ガラスなど工業製品の製造に欠かせないもので、それらの用途に使用される塩を工業塩と言います。工業塩事業は、世界の産業を支えるとてもスケールの大きなビジネスで、双日においても100年以上続く歴史ある事業となっています。
この工業塩事業における業務にも、私のこれまでの職務経験が大きく活かされています。たとえば、経理部時代に学んだ数字との向き合い方や、タイ駐在中に学んだ物事を俯瞰から見渡し調整する能力です。これらの知見の一つひとつを活用しながら、私は取引先が必要とする数量を納期通りに納品することに日々努めています。工業塩の輸送には巨大なドライバルク船*を使用し、1船あたりの物量は20フィートコンテナ換算で約2,000~4,000本分と非常に大きいです。年間取扱量は400万トン~450万トンにもおよぶため、時には、災害や事故、国際情勢など予期せぬ事態への対応に迫られることもありますが、期日通りに納品するというのは当社が担う非常に重要な役割で、日々サプライヤー、船会社、受け入れ港、取引先との調整に取り組んでいます。大きなビジネスを動かすワクワク感と、責任を全うすることの緊張感を持ちながら仕事ができるのが、工業塩事業の魅力なのかもしれません。
また、私は、この7月に無機化学品部第一課の副課長になりました。ここで活きてくるのも、タイでの管理職の経験です。メンバーと対話する際はつねに誠実なコミュニケーションを心がけ、それぞれの優秀な人材が自分のスキルを活かせるようチームの環境を整え、一人ひとりのモチベーションを高めることに邁進しています。
現在の業務でいえば、当面の大きなミッションは、工業塩事業という伝統ある事業フィールドで双日を業界トップに押し上げたいということです。今後については、夢や目標はひとつにとどまりません。海外駐在もあと何回かはやってみたいなと思っていますし、工業塩事業に限らず、事業投資などのプロジェクトにも最初から最後まで関与したいという希望を持っています。
また、個人的な夢でいえば、遠い将来には、田舎に住み、のんびりと農業に携わる生活をしたいと思っています。何か「ものを育てる」ということや、愛情をかければそれだけ返ってくるという植物の可能性に心惹かれるのかもしれません。とはいえ、農業にはこれまでまったく携わった経験がないので、これもつねに新しいことにチャレンジしたいという私の信条ではあります。
部署異動や海外赴任経験が、会社と自分の成長につながるという実感を得ながら仕事ができていることはやりがいがあり、とても楽しいことです。新しい環境になるたび異なるアプローチが必要で、それによって自分のキャパシティが少しずつ大きくなる。これからも、こうした新しいチャレンジによって、ワクワクする仕事をしていきたいと思っています。