目的があるから、DXがある。
南波 拓年/デジタル事業開発部 部長
2024.08.01
急激にデジタル化が進む中、当社も中期経営計画で全事業へのデジタル活用を前提とした“Digital in All”をデジタル戦略として掲げています。現在はこの”Digital in All“を進める立場ですが、営業の頃は、デジタルをビジネスに活用することの重要性は分かっていたものの、どこから手つけていいのかわからなかったというのが正直なところでした。
それが変わったきっかけは、社内のデジタル人材育成プログラム*に参加したことです。双日のデジタル人材育成は入門・基礎・応用基礎・エキスパートとレベルが分かれていますが、私はビジネスデザインのエキスパート研修に挑戦しました。半年間にわたり実ビジネスをデジタルで変革するという切り口で仮説立て、検証を繰り返しました。大変でしたが、普通の研修と違って自分のビジネスを題材にできるので、より実践的であったことに加え、自分の携わるビジネスを改めて見なおすきっかけになるという意味でもとても面白かったです。
そこで特に学んだことがあります。DX(デジタルトランスフォーメーション)というと、どうしても新しいテクノロジーやツールといった手段ばかりに目が行きますよね。でも、そうなると、自分の仕事や商売にどうやってDXを当てはめるかというような、とても小さな話になってしまいがちです。大事なのは、顧客や社会の課題をどう解決したいかということ。それがあってはじめて、DXの発想や可能性は大きく広がっていきます。まずはどんな課題に対して何を解決し、どんな未来を創造したいかという目的意識がはっきりあって、そこに最適なテクノロジーを探したり、選んだり、つくり出すことが、DXなのではと思います。
- ※デジタル人材育成プログラム・・・当社は社内外のパートナーと共にデジタルを活用することで、ビジネスモデルや業務プロセスの変革を実践できるデジタル人材を育成するためスキル分野・スキルレベルの設計と研修カリキュラムの独自開発を行っています。
今年、デジタル事業開発部の部長に任命された時は、不安やプレッシャーをすごく感じましたし、正直、私でいいの?と思いました。でも、研修だけでなく、実際にデジタルで稼ぐっていうのをやってみたらどう?と会社から言われ、これはまたとないチャンスだと思うようになりました。その結果、今、部員とともにおよそ40の案件に取り組んでいます。部員一人ひとりのチャレンジによって、新しいソリューション、新しい価値がどんどん生まれています。
たとえば、今、中古自動車を丸ごとスキャンできる技術を自社で開発しています。検査員の目視ではできない、車のパーツの劣化を見える化できるようにしたり、人に依存していた査定を機械で行えるように開発を進めています。人が介在するからこその難しさや不透明感をテクノロジーで解決したいと思っています。
また、タイでは、農家を支援するために、農業プラットフォーム事業を進めています。農家の育てる農産物の種類や数量、収穫時期や収益状況などを見える化して、農作物の需要家、金融機関、保険会社、農機具メーカーなどと共有する。それらは企業にとって有益な情報である一方で、企業から農家への製品やサービスの提供につながり、結果としてタイの農家もレベルアップし豊かになります。そんな循環型のビジネスモデルを開発しようとしています。