2012年年頭社長挨拶要旨
2012年1月4日
双日株式会社
当社ステークホルダーの皆さま、明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、本年が素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。
さて、本朝、双日株式会社本社にて行われました、当社社長 加瀬豊による双日グループ社員向け「2012年 年頭挨拶(要旨)」を下記の通りご報告します。
記
皆さん、新年明けましておめでとうございます。
未曾有の国難に襲われた年が明け、新たな年が始まりました。
我が国は昨年の大惨事に際して世界中から多くの温かい支援を頂きましたが、これは日本が長い間、地道に世界平和に貢献してきた賜物だと思っています。そして、双日もまた、100年に渡る経済活動を通じてその一端を担ってきたのだと自負しています。
“絆”という言葉に象徴されるように、我々は世界と繋がっている、我々は責任ある世界の一員なのだ、ということを皆さんも強く実感したことと思います。双日の企業理念である「世界の経済や文化・人々の心を結び付けていく」こと、この気持ちを是非忘れないで欲しいと思います。
時を同じくして、TPP及びASEAN+3を通じて、環太平洋大経済圏が生まれる気運が高まっています。まさに“新興国の世紀”を代表する経済圏と言えます。日本にとっても、復興を遂げつつ、このような大経済圏においてその存在意義を発揮するまたとないチャンスかと思います。
国家のみならず、我々商社もさらにこの大経済圏で活躍し、その存在意義をさらに高めていく時機にいます。欧州の経済危機や米国の経済低迷、あるいは「アラブの春」の混沌や極東の地政学リスクの高まりは、まわりまわって世界中に影響を与え、新興国の成長さえ鈍化させると思われますが、今年も新興国が世界経済のエンジンとなることは間違いなく、皆さんにはこれらの新興国やアフリカでの事業構築を、自信を持って進めていって欲しいと願っています。
私は昨年中東、ブラジル、インドネシア、韓国など、新興国を中心にいろいろな国を訪れましたが、そこで会った財界トップや政界トップ、工場の従業員や当社事務所のスタッフ、皆が皆、自国の成長について自信に満ち溢れておりました。インドネシアで会った女性実業家は新しい国を創るために努力を惜しまず、10年後にはこの国をリードする大臣になる、と目を輝かして抱負を語っていました。
あるいは、それは現下の暗雲立ち込めるマクロ環境下において、楽観的過ぎる感もありますが、然し、歴史を振り返ると、明治の開国期や昭和の敗戦後における日本には、同じような明るくたくましい楽観主義が溢れていたのではないか、と思います。それでなければ、鎖国していた極東の小国が列強と伍してゆこうとした、あるいは戦後の復興において日本が先進国に追いつこうとした、その原動力、精神力を理解することができません。
環境変化に果敢に立ち向かう前向きな気概、皆さんは間違いなくこれを持っています。我々が激しい環境変化と熾烈な競争が渦巻くグローバルな大海原を駆け巡っている根っこのところには、この腹の据わった楽観主義があると思っています。
環境変化は日常茶飯事です。一過性の変化もあれば、構造的変化もあります。この環境変化に対応してゆくことが我々総合商社の使命と捉え、また、それを楽しんでもらいたいと思います。
世界の潮流のような変化や各業界の構造変化を肌身で感じて理解し、他社と違う物事のやり方を磨きあげ、あるいは他社と違ったポジションで勝負をし、競争優位を構築してゆきたいと思います。そして、他社とは違った新しい価値を顧客に提供してゆこうではありませんか。そうすれば、長期に渡る持続可能な利益を獲得できるはずです。当社のスローガン“NEW WAY, NEW VALUE”はお題目ではないのです。存在感のある商社、特色のある商社、と言い換えてもよいと思います。
営業部隊にはそのような魅力ある競争戦略を提案してもらいたいと思います。新中計策定作業はそのよい機会であるし、それは本来営業現場が高揚する作業のはずです。双日は顧客に対して他社より魅力のある価値を提供し、収益を稼ぎ出さねばなりません。職能は営業に対し、そのような戦略・戦術の実現に向けて高度な機能を提供せねばなりません。この団結なくして、どうして他社に勝てるでしょうか。全社一丸なくして双日なし、です。
我々は中期経営計画Shine 2011において、バランスシートの改善、即ち、優良資産への入替や自己資本の拡充を目標に掲げていますが、その実現には、人的資産、組織的資産といったバランスシート上には表れない資産も改善する必要があります。
組織全体の力がみなぎっているか?
皆が生き生きと働きプロフェッショナルとして成長しているか?
そのために人事評価制度、組織制度等、制度の改善改革を進めていますが、社員の活性化のため、ひいては顧客に対してよりよい価値を提供してゆくための改善策を、皆さんにはしっかり提言して欲しいと思います。
以上を締めくくるにふさわしい言葉を、小説家の井上靖氏の言葉から引用してみます。
「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」。
双日誕生から9年目を迎える2012年。手を抜かず、気を抜かず、皆の力を結集し、希望を語り合い、力強く前進しましょう。
日本も双日も“希望”と“前進”がキーワードになる年として、私の新年の挨拶と致します。
以上