双日、国内企業の温室効果ガス排出量削減の調査・支援を環境省より受託
~「スコープ3」に対応したサプライチェーン全体の排出量削減に貢献~
2011年12月12日
双日株式会社
株式会社排出権取引市場
双日株式会社は、「平成23年度サプライチェーンの物流部門等における温室効果ガス排出量算定調査検討委託業務」を環境省より受託しました。本事業は、排出量などについての国内企業へのアンケートや省エネ診断を通じて、排出量算定の新世界基準「スコープ3」で定められている「物流部門」や「従業員や顧客の移動」に伴う排出量などを把握し、企業のサプライチェーン全体の排出量削減に貢献することを方針としています。また、本日よりアンケート回答企業の募集を開始します。
【スコープ3算定範囲 概念図】
京都議定書により、日本は温室効果ガスの排出量を、2008~2012年の平均で、基準年(1990年)比で6%削減することが義務付けられています。現在用いられている算定方法「スコープ1」および「スコープ2」では、企業が自社で直接排出する温室効果ガスが対象でしたが、委託先における排出量や、社員の移動に伴う排出量は算定範囲に含まないため、より正確な算定が課題となっていました。
新基準の「スコープ3」では、上記を含めたサプライチェーン全体の排出量を算定範囲とするため、企業活動に伴う排出量がより正確に把握できるようになります。また、「スコープ3」の導入により、算定範囲自体は増加するものの、海外と比べた場合に、環境先進国の日本の企業は増加分が相対的に少なくなるため、削減努力による差別化が図りやすくなると期待されています。
本事業では、双日株式会社および子会社の株式会社排出権取引市場(Japan Climate Exchange、以下JCX)が、「物流部門におけるCO2削減可能性に関する調査検討」および「流通形態によるサプライチェーン排出量の比較分析」を目的として、以下を実施します
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物流業界などの国内企業3000社に対し、排出量算定範囲や削減対策、流通経路に関するアンケートを実施。
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アンケート回答企業から5社を目途に、環境教育や排出量算定の支援を実施。
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CO2削減の省エネ診断の希望企業を、公募にて10社程度選定する。それぞれの企業への現地調査を通じて、モーダルシフトも含めた運送形態の改善によるCO2排出量およびエネルギーコストの削減を提案。
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最終消費者に関わる排出量調査のため、食品・飲料や日用雑貨などから3品目を選定し、流通経路の調査や3000人の個人を対象としたアンケートを実施。
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以上の調査結果を踏まえ、流通形態ごとに環境負荷を定量化し、輸送試験を実施。
双日は、JCXなどグループ企業と連携し、国内企業の温室効果ガス排出量の算定や削減に貢献していきます。
株式会社排出権取引市場(JCX)概要
会社名: | 株式会社 排出権取引市場 (Japan Climate Exchange) |
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所在地: | 東京都港区赤坂6-1-20 |
代表者: | 代表取締役 細川敏夫 |
設立時期: | 2010年4月 |
法人の目的: | 排出権の取引市場運営 環境情報の提供 環境会社の広告事業 前各号に付帯するまたは関連する一切の業務 |
株主: | コーリンク株式会社(60%)、株式会社スマートエナジー(40%) ※コーリンクは、双日の100%子会社で、インターネットを利用した石炭の売買システムの開設、運用及び保守および各種情報提供サービス業務を行っています。 |
URL: | JCXホームページ http://www.jcx.co.jp/ ※省エネ診断の募集要項および募集様式は以下 http://www.sojitz.com/jp/news/releases/pdf/111212env.pdf |
参考情報
「スコープ3」は、企業の米シンクタンクの「世界資源研究所(WRI)」と「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)」が2011年10月に新たに策定した排出量算定の世界基準です。
従来の「スコープ1」(自社の工場・オフィス・車両など)および「スコープ2」(電力など自社で消費したエネルギー)では把握できなかった、物流部門や従業員・顧客の移動に関わる排出量などの算定範囲が定められ、各国政府や企業が用いる共通ルール「GHGプロトコル」にも採用されました。日本国内においても、この「スコープ3」に対応するためのガイドラインの作成が検討されています。「スコープ3」では、従業員一人ひとりの通勤や、出張に関わる排出量も算定する必要があるため、中小企業だけでなく大企業においても作業量の増加が懸念されています。本調査は、ガイドライン化に先行した、各企業のスコープ3対応の準備に貢献するものです。
以上