双日、新技術を導入し日本で農業事業に参入
~ローコスト植物工場を展開し、高付加価値の野菜を生産~
2010年4月22日
双日株式会社は、農事組合法人成田ガイヤ(千葉県成田市、代表者:井尻 弘)と共同で、日本で植物工場技術を活用した農業事業に参入します。両社は、千葉県匝瑳市に約3500m2の農地を借り受け、メビオール株式会社(本社:神奈川県平塚市、社長:森有一)が開発したアイメック植物栽培システムを導入し、高級トマトなど付加価値の高い野菜・農産物の生産を開始します。
アイメック植物栽培システムは、トマトやイチゴなど果菜類の生産に適した栽培方法で、特殊なフィルムを活用し、高糖度で品質の高い農産物が生産できます。また、土壌から隔離させるため根からの菌の進入を防ぎ、薬剤代と、点滴養液施用による肥料代の削減が期待できるため、おいしくて、環境に優しい、安心な農産物を年間を通して安定的に生産(周年安定供給)することができる次世代の農業技術です。
この栽培方法の植物工場は、一般的な人工光利用型の閉鎖型工場に比べ、設備にかかる初期投資コストやオペレーションコストを約1/5にまで抑えることができ、長期にわたりコスト競争力が高く、品質の良い高付加価値の農産物を生産することができることから、安定した生産と収益が期待できます。また、本事業展開を通して農産物の生産および販売において、科学的データに基づく農業生産体系を構築し、資材調達~生産~販売までを一体化させた新たな事業モデルを推進します。
双日は、中期経営計画「Shine2011」において、アグリビジネスを重点分野に位置付けており、今回の国内農業への参入もその一環です。今後、本プロジェクトを基に、農産物の種類や量・販売先を拡大していきます。さらに、今後、海外特に南米・東南アジア地域においてアグリビジネスを展開していきます。
以上
(参考)
事業概要
所在地:千葉県匝瑳市
規模:土地35a、施設19a
生産品目:トマト(高糖度ミニトマト)
栽培手法:メビオール社のアイメック農法(養液土耕栽培)
数量:2年目より25トンを計画
※今年の6月初旬に定植し、8月頃からの収穫を予定
農事組合法人成田ガイヤの概要
代表者:井尻 弘
設立: 2008年3月
所在地: 千葉県成田市
(農事組合法人成田ガイヤは日本ブランド農業共同組合の篤農家をかかえ、高い 営農・栽培技術を有しており、2010年1月14日には農林水産省の植物工場の普及・拡大支援事業の交付決定を受けています)
メビオール株式会社の概要
メビオール株式会社は早稲田大学が出資設立した大学発バイオベンチャーでハイドロゲルをコアテクノロジーとしたアグリバイオ、メディカルバイオに関する研究開発型ベンチャーです。
フィルムの特徴
アイメックとはハイドロゲルからなる膜、“ハイドロメンブラン”(無孔性親水性フィルム)によって作物と養液を隔離して栽培する技術です。
“ハイドロメンブラン”は、養液から水と栄養を吸収するものの反対側には放出しないために作物側の膜表面は完全に乾いています。そこで、作物は膜中の水と養分を吸収しようとして膨大な数の毛根を発生させて、“ハイドロメンブラン”の表面に張り付きます。更に、浸透圧効果によって膜中の養液の吸収力を高めるために糖分、アミノ酸などを大量に作り出すために高栄養化します。