双日、カナダ・サスカチュワン州立電力会社サスクパワーと共同でCCS事業に参入
~CCS事業化に向けた覚書を締結~
2010年2月15日
双日は、カナダ・サスカチュワン州立電力会社サスカチュワン・パワーコーポレーション(SaskatchewanPowerCorporation、以下サスクパワー)と共同で、CCS(CarbonCaptureandStorage:二酸化炭素回収・貯留)の事業化に関する覚書を締結しました。日系企業でCCS事業パッケージの商業化に向けた覚書を締結するのは今回が初めてとなります。
【出典:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、CO2地中貯留の形態区分】
CCSとは、火力発電所などから排出される排ガス中の二酸化炭素を分離・回収し、それを地中に貯留することにより、大気中に二酸化炭素が放出されるのを抑制する 技術のことで、地球温暖化対策の重要な選択肢として実用化が期待されています。
サスクパワーは、その発電構成が二酸化炭素の発生割合が比較的多い石炭火力が半分を占めること、および、今後20年間で410万キロワットの新規発電も計画されており、石炭火力発電の効率化による二酸化炭素の排出削減と同時に、排出された二酸化炭素の処理(貯留)が必要となっています。サスカチュワン州は二酸化炭素を貯留するのに適した帯水層と油田地帯が石炭火力発電所のあるエステバン(Estevan)の近傍に存在するため、CCSの事業化に非常に有望な場所です。
【発電所エステバン:州都レジャイナより南東約150キロメートル。油田地帯の中ほど】
双日は、40年にわたる石炭液化の技術やその事業開発の経験を生かし、CCS事業開発を推進します。CCS事業化においては、その重要な要素である石炭火力発電の高効率化や、二酸化炭素の回収技術、回収した二酸化炭素の帯水層や油田への輸送・貯留、二酸化炭素の排出権の売買、さらに、経済性の向上を促す原油の増進回収技術CO2-EOR(EnhancedOilRecovery)の導入を組み合わせたトータルバリューパッケージを提起し、プロジェクトを推進します。このプロジェクトには、世界的に優れた日本企業の技術を採用する計画で、日本企業によるコンソーシアムも視野に入れています。
両社は、既にサスクパワーが進めている大型CCS実証試験において2013年から回収される二酸化炭素の輸送とCO2-EORの開発を進めると同時に、CCS事業全体のグランドデザインを2012年には完了し、2013年から事業に着手したい考えです。
ご参考
トータルバリューパッケージ概念図
CO2-EOR
二酸化炭素を枯渇油田に注入することにより、原油の回収率を向上させる三次回収技術です。油田は、自噴による一次回収と、水の注入による二次回収で通常埋蔵量の2割~3割が回収でき、三次回収として二酸化炭素を注入することにより原油の回収率が約5割まで改善します。
(ただし、二酸化炭素の注入効果は中軽質油に限られる)
サスクパワー概要
会社名 | サスカチュワン・パワーコーポレーション SaskatchewanPowerCorporation |
---|---|
住所 | 12W,2025,VictoriaAvenue,Regina,Saskachewan,Canada |
代表者 | Mr.GarnerMitchell,ActingpresidentandCEO |
資本金 | 15億2900万カナダドル(2008年末) |
発電設備容量 | 360万キロワット(内半分が石炭火力発電) (今後20年間に420万キロワットの増設。その内半分を石炭火力発電とする計画) |
送電線施設 | 15.6万キロメートル |
URL | http://www.saskpower.com/ |
サスクパワーCCS実証試験
サスクパワーは、カナダ連邦政府と州政府の支援を得て、約1000億円を投じ石炭火力発電所の一部の老朽化した設備を刷新し、二酸化炭素の回収設備を設置します。これにより、出力15万キロワットの石炭火力発電にて2013年から年間100万トンの二酸化炭素を回収する大型CCS実証試験を推進しています。
以上