双日に、産婦人科医がいる本当の意義

女性たちの「もったいない」を無くしたい。

 板谷:産婦人科医の川原先生には2022年4月から、毎月第2水曜日に双日の本社オフィスの社内診療所に赴任。社員の診察をしていただいています。あらためて先生のご経歴をうかがってもいいですか?

川原:はい。私は産婦人科として普段は吉丸女性ヘルスケアクリニックに勤務、とくに女性のヘルスケアを中心に診療を行っています。また子供たちへの性教育やCRADLE社で動画配信をするなどヘルスケア啓発に力を入れています。
医大を出た後、いくつかの病院で手術やお産に携わっていました。その後、不妊症治療などの生殖医療に興味を持ち、今に至ります。

板谷:女性向けにヘルスケア啓発に力を入れるようになった理由は何だったのでしょう?

川原:「もったいない」と感じる機会が多かったからです。
 「もっと早く妊娠に踏み切ればよかった」「あの頃、不妊治療をするべきだった」、あるいは「早めにがん検診をしていれば」――。
不妊治療の診療を行うようになり、そのように後悔される女性が多いことに気づきました。産婦人科がもっと身近な存在となり、また知識が正しく広まる手助けをしたいと考えたのです。

板谷:日本では、妊娠以外で産婦人科の扉を叩く女性は少ないですからね。

川原:はい。「生理痛がひどいから」と産婦人科を受診したら、医師から「生理痛だから仕方ない」と誤った声がけをされ、2度と行かなくなる。日本にはそんな女性が少なくありません。
しかし実際、生理痛の症状はホルモンの働きによって出るものです。そこでアメリカやイギリス、北欧などでは中高生の頃からピルなどホルモン剤の知識を学び、早くから適切に処方されることも多い。ホルモンをコントロールでき、生理痛に対処しやすくなりますので。
ところが日本はいまだに避妊のためにしかピルを使わないイメージが強い。このようにピルの知識が足りず、理解されないせいで女性たちがガマンを強いられる状況が、多くあります。相談の窓口も少ないですしね。

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(川原さん)

板谷:よくわかります。私は20年以上前、旧日商岩井時代から企業内診療所の看護師として勤務してきました。当然、これまでも、女性の社員から生理痛のお悩みはうかがうこともありましたので。
しかし、診療所に産業医、あるいは嘱託医として常駐いただいているのは一般内科の先生です。
産婦人科専門医でないため「外部の婦人科にかかってください」としか言えない状況で、ジレンマを抱えていましたから。

川原:働く女性はとくに婦人科が遠い存在になりがちですよね。
クリニックは平日日中しかやっていないところも多い。総合病院もすごく待たされます。また「気持ちの問題だ」という誤った認識も多く、産婦人科医への相談は、後手後手にまわされがちでした。
しかし、そのせいで妊娠のタイミングを逃したり、あるいは子宮頸がんや乳がんの早期発見を逃したり。「早く婦人科に行っていたら、子宮摘出をせずに済んだのに...」と悔いる方も少なくないですからね。

板谷:女性が産婦人科にかかりづらい問題は、重要な課題ともいえますよね。

 川原:そのとおりです。生理関連の症状が重い方の中には「月の4分の3は体調が悪い」方もいます。健康経営の文脈でいえば、生理痛や生理前の症状が原因として遅刻や欠勤をする「アブセンティズム」、あるいは無理をして出社はするもポテンシャルを発揮できない「プレゼンティズム」にもなります。
(※生理痛で体調が悪いのは1週間程度で、その他月経前症候群という、月経前の体調不良が1-2週間あり、それも合わせると月の3/4が体調不良、ということになります)
企業にとっても「もったいない」状況が生まれます。

板谷:そうした女性の健康と働きやすさを実現するために、双日は全社をあげて環境を整え始めたのです。

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(板谷さん)

新入社員から、子宮頸がん、乳がんの検査も

 板谷:まず子宮頸がんと乳がん検診の対象を、全女性社員に拡大。新入社員の頃から、これらの検診を無料で受けられます。
またスプツニ子!さんが代表を務める女性の健康課題の解決を進めている「Cradle(クレードル)」社と契約。専門家によるオンラインセミナーを男性含む全社員に提供。そして川原先生にも、月一度、診療所に来て頂くようになりました。

 川原:お声がけいただいたときは、本当に素晴らしい取り組みだと思いましたね。社内診療所がある企業でも、産婦人科の医師がいるところはほとんどありません。
裏返すと、双日が女性の働きやすさ、そして健康経営に関する意識がとても高いということですからね。

板谷:私が入社した頃は、いかにも体育会系男性的なイケイケドンドンの社員が多かったのですが(笑)。しかし、今では20代の社員は約50%が女性で、女性管理職も増えています。
それだけに社長も公言していますが「女性がキャリアを止めることなく活躍できる環境を整える」というビジョンを言葉だけではなく、実現させているのは誇らしいです。
また「産婦人科の先生が来ます」と最初にアナウンスしたら社内の女性社員からすぐに診療室の予約が数多く入りました。社内の期待も強く実感しています。

川原:双日ではみなさん本当に幅広いご相談をいただいています。
若い方ならば、生理痛など「生理の不調」に関する悩み、ある程度の年次になると「出産・妊娠」の悩み。さらにもう少し上になると「更年期」の悩みといった具合。
娘さんに関して「生理痛がひどいのだが、小児科がいいのか、婦人科がいいのか」といったご相談もありますね。

板谷:生理や妊娠、更年期などについて正しい知識を身につけるいい機会だと考えています。

川原:おっしゃるとおりです。「生理痛はホルモンの動きから生じるものだ」「不妊治療は男女ともに大変に時間と労力がかかる」「更年期は適切なホルモン剤や漢方などを使えればコントールできる」――。
男女問わず、こうした正しい知識を身に着けていれば、診断や治療のために通院するのが当たり前になる。とくに不妊症や更年期症状は男性にもありますからね。いずれにしても正しい知識を皆が持てば、休みもとりやすくなるでしょうし、そのほうが早く体調が戻り、仕事の成果もあがりやすくなるのではないでしょうか。

板谷:もとより双日は本当に優秀な方々が多い。みなさんがさらに活躍し、また健康的に仕事と生活を続けていくために、社内診療所をもっともっと使い倒していただければと思いますね。
それこそ、使わないと「もったいない」ので。

_DSC7660.jpg(所属組織、役職名等は本記事掲載当時のものです) 

 


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