気候変動
1. 方針・基本的な考え方
双日は、企業理念に掲げる「新たな価値と豊かな未来を創造」に向け、双日が得る価値、社会が得る価値の“2つの価値”の最大化を目指しています。
当社は、これまでも、事業を通じた「社会課題の解決」を「自社の強み」に変え、事業基盤を拡充、成長させてきました。エネルギーの供給・確保という社会課題に対しては、国内外で多くの資源ビジネスをおこない、解決の一端を担うとともに、それを自社の収益に繋げてきています。
一方で、新たな課題として、気候変動への注目が高まり、世界的にカーボンニュートラルに向けた潮流が加速する中、エネルギーは、単純な使用・供給から、よりグリーンな使用・供給への移行が求められています。
このため、当社は、2050年に向けた長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」にて、脱炭素社会実現への貢献を掲げました。当社は、自社グループの「既存事業」からのCO2排出削減を加速させ、脱炭素社会への耐性を高めるとともに、今後手掛ける「新規事業」では、この社会移行を新たな「機会」と捉え、エネルギー分野はもとより、幅広いビジネス構築をおこなっていきます。これにより、脱炭素社会の実現という「社会が得る価値」の構築までの過程で、様々な収益機会を「双日が得る価値」として増やしていきます。
2. 目標
将来的な技術動向や、リスクと機会の精査を踏まえて、既存事業と、新たに取り組む新規事業に分け、対応と方針を設定しています。
既存事業は国際的なCO2の排出定義(Scope)別に「削減目標」を策定、また、新規事業の取り組みにあたっては、脱炭素社会に向けた移行をグループの成長の「機会」と捉え、各種事業を積極的に推進します。
2-1. 既存事業
2-1-1. Scope1とScope2の目標
Scope1とは、自社がガス等を直接燃焼した際に発生するCO2であり、Scope2とは、主に自社が使用する電力が発電される際に発生するCO2を指します。当社は、各種事業を展開する上で、Scope1、 Scope2の削減を責務と考え、2019年度時点の既存事業に関して、2030年までに6割削減(内、Scope2はネットゼロに)することを目標としています。それ以降の事業についても、2050年までのネットゼロ達成を目指しています。
| Scope1+2 | 2030年までに6割削減、2050年までにネットゼロ *1 (内、Scope2は、2030年までにネットゼロ *2) |
|---|---|
| 石炭火力発電 | 現在保有無し。今後も保有しない |
*1、*2 2019年度を基準年として、双日単体、国内外全連結子会社および経営支配力アプローチにて報告対象となるUnincorporated JVが対象。
2-1-2. Scope3(資源権益事業)の目標
Scope3とは、主にサプライチェーン上の間接的なCO2排出を指します。商社は川上から川下まで広範なサプライチェーンを有しますが、現在、双日が保有する資源権益においては、全て燃焼させた場合のCO2は約2億トンです。これは、双日グループが直接使用するエネルギーからのCO2排出量(Scope1+2)の1百万トン前後を大きく上回ることから、資源権益への対応は、より社会的な責任が重いと考えています。
このため、以下の方針、目標を掲げました。尚、原料炭に関するビジネスにおいては、CO2回収や新製鉄法などの技術革新に伴う新たな事業機会にも、積極的に取り組みます。
資源権益事業の目標
| 一般炭権益 | 2025年までに半分以下、2030年までにゼロ *3 |
|---|---|
| 石油権益 | 2030年までにゼロ |
| 原料炭権益 | 2050年までにゼロ |
*3 2018年を基準とした権益資産の簿価ベース。2019年5月に公表の「2030年までに半分以下にする」目標を前倒し。
2-2. 新規事業
事業別に脱炭素までの考え方を整理し、2050年までにネットゼロを目指します。
2-3. 進捗
脱炭素方針と進捗状況
2025年3月期における進捗は、Scope1とScope2で4割程度削減、一般炭権益はすでに9割程度削減を達成しています。
権益資産推移
2-4. 脱炭素ロードマップ
また、これらの目標は、脱炭素社会に至るまでの、年代ごとの「技術動向・世の中の動き」を見立てたロードマップを整理し、その見立てに即して「双日の対応・考え方」を決定し、策定しています。
そのため、上記目標は、現時点の将来見通しに基づいたものであり、社会動向や技術革新の状況の変化によって、柔軟に見直しを行います。
この脱炭素ロードマップの策定・更新に当たっては、毎年、外部有識者をお招きして、ステークホルダーダイアログを開催し、最新の動向を把握するとともに、社内においては、各営業本部長との対話なども踏まえ、取締役会、経営会議、サステナビリティ委員会などでの議論も行った上で、決定しています。
3. 体制
4. 取り組み
4-1. TCFDへの賛同
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双日グループは、気候変動に関する『リスク』と『機会』についてTCFD*提言のフレームワークを活用し、積極的な情報開示と透明性向上に努めています。
- 双日は、2018年8月にTCFDの最終提言への賛同を表明しました。
4-2. リスクの低減
4-2-1. Scope1とScope2の削減
既存事業
- まずは再生可能エネルギーへの転換によるScope2の削減を優先します。
- Scope1に関しては、燃焼効率の低い石炭や石油を使用する設備について、更新の時期を捉えて優先的に切り替えを進めます。
- 化石燃料を使用する場合、水素やアンモニア、合成燃料などのクリーンな燃料への切り替えを長期的な視点で検討します。
- その上で、脱炭素の観点を含め、陳腐化が懸念される事業については、事業の終了(EXIT)も検討します。
- 残存するGHGについては、証書を用いたオフセットも含めて検討していますが、その割合を極力少なくする方針です。
新規事業
- 既存事業と同様に、2050年のネットゼロを目指します。
事業会社での脱炭素に向けた取り組みを促進する仕組みとして、脱炭素推進施策を導入しています。
また、引き続き2050年ネットゼロを目指すべく、新たな脱炭素目標を策定する予定です。
4-2-2. Scope3の計測と把握
主にサプライチェーン上の間接的なCO2排出量を指すScope3ですが、商社は川上から川下まで広範なサプライチェーンに関与しており、そのすべてを精緻に把握することは困難です。
その為、当社は、当社の成長・業績へのインパクト、及び社会へのインパクトが大きい事業分野を特定し、その分野から「計測と把握」を行い、個々に対応方針を検討していきます。
その第一弾として、双日グループが保有する石炭権益を対象としました。現在、当社が保有する石炭権益(一般炭、原料炭)を、全て燃焼させた場合のCO2は約2億トンです。非常に潜在量が大きいため、現在すでに再生可能エネルギーで代替が可能な発電用石炭(一般炭)の権益については2030年までにゼロにする方針を、また鉄鋼生産の還元剤として使用する原料炭の権益については、代替還元剤の水素やアンモニアなどの普及期を2040年代以降と想定し、2050年までにゼロにする方針を掲げました。
| 考え方 |
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|---|---|
| 方 針 |
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| 対 応 |
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(※)<権益削減の考え方>
2018年度を基準年として、1.5℃シナリオに記載の石炭の海上貿易量の減少速度を上回る速度で、双日の一般炭と原料炭の権益合計を削減して参ります。
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4-3. 機会の捕捉
4-3-1. 機会としてのScope4
双日グループは、Scope3を当社にとって「リスク」であると同時に、サプライチェーン全体での削減貢献による新たな事業創出の「機会」であると捉え、 自社の成長と紐づけた取り組みを推進しています。今後、これらの取り組みを通じて削減貢献したCO2量(Scope4)を増やしていきます。
この推進のため、中期経営計画2026では、新エネルギー・脱炭素領域におけるプロジェクト・事業の創出、拡大推進を加速すべく、全社横断組織「EX事業戦略室」を設立しました。また、「環境(国内外での再生エネルギーを含む電力事業)」「その他エネルギー」「ヘルスケア」のリソースを「エネルギー・ヘルスケア本部」に集中投下し、事業規模の拡大を目指しています。
4-3-2. 取り組み事例
カーボンニュートラル
双日、豪州において日本企業が手がける中で最大規模となる太陽光発電所の建設を開始
双日、北海道苫小牧市にて国内最大級のバイオマス専焼発電設備の営業運転を開始
双日・日商エレ・オムロン、脱炭素化で業界をリードする積水ハウスへ商用EV向けクラウド型充電制御サービス「EVオートチャージ」を導入
ガス関連事業(トランジション事業)
双日、アラブ首長国連邦にて天然ガス火力発電・淡水化事業へ参画
双日、ウズベキスタン共和国において電力IPP事業の事業権を獲得
双日、持分法適用会社エルエヌジージャパンを通じ豪州北西部沖合海底ガス田開発プロジェクト参画、およびWoodside社との新エネルギーの協業に向けた覚書締結
サーキュラービジネス(リサイクル)
双日、使用済みプラスチック容器の効率的な回収・リサイクルの実現に向け、川崎市内マンションにて検証プロジェクト『POOL PROJECT KAWASAKI』を開始
双日プラネットとANAグループが航空貨物用プラスチックフィルムのリサイクルにおける資源循環型スキームを構築
双日プラネット、異物混入を防ぐプラスチックのリサイクルスキームを確立使用前と同じ製品に再生させるクローズドリサイクルの取り組みを拡大
PETボトルキャップの水平リサイクル「キャップtoキャップ」実現に向けたコンソーシアムを発足
神戸市、アサヒグループジャパンとPETボトルキャップ水平リサイクル実現に向けた事業連携協定を締結プラスチック資源循環についての社会課題解決の早期実現を目指す
4-4. サプライチェーン上のGHG排出量分析図(Scope3、Scope4(削減貢献量))
横軸に当社グループが関わる「GHG排出が多い産業」を、縦軸に「サプライチェーンの各工程」を配置し、当社にとってのリスクと機会を定性・定量的に分析・特定しています。
リスク(Scope3):
GHG排出が多い箇所ほど、濃いオレンジ色で示しています。一般的に「GHG排出削減の圧力」 や「代替される脅威」にさらされやすくなります。
機会(Scope4(削減貢献量)):
最下段は代替となる新規事業の機会であり、当社は削減貢献量として積み上げていきます。
なお、WBCSDのガイダンス※に基づき、削減貢献量は、当社の脱炭素目標及びその進捗の排出量と相殺しておりません。
- World Business Council for Sustainable Development(持続可能な発展のための世界経済人会議)で出された削減貢献量ガイダンスを指す。
4-5. ステークホルダーとの協働
当社は経済産業省が主導する2050年カーボンニュートラルを目指す企業が官・学も併せて協働する場であるGXリーグに参画、またその傘下組織であるワーキンググループにも参加しております。