気候変動

1. 方針・基本的な考え方

双日は、2050年に向けた長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」に掲げる「脱炭素社会実現への貢献」への責務を果たすべく、双日グループの対応方針と目標を策定し、取り組みを推進してきました。脱炭素・ESGを巡る外部環境や当社グループの事業ポートフォリオの変化を踏まえ、従来の2030年目標に加え、2050年ネットゼロに向けた新たな中間目標として2035年目標を設定するとともに、脱炭素方針を改定しました(2026年3月)。

双日は、事業活動にともなう自社のGHG排出量(Scope1・Scope2)の削減を責務と捉え、引き続き削減に取り組みます。
サプライチェーンにおけるGHG排出量(Scope3)の多い領域は、将来的な削減圧力が高まる事業リスクとして認識するとともに、社会全体の排出削減を前進させる事業機会でもあると捉えております。加えて、商社ならではのネットワークと事業間連携による事業創出こそが「脱炭素社会の実現への貢献」であるとの考えの下、削減貢献を生みだします。
双日は、これまでも事業を通じて社会課題の解決を自社の強みに転換し、事業基盤を拡充してきました。この経験を礎に、既存の枠組みにとらわれない発想で、削減の実現とその前進を促す取り組みを統合した当社独自の貢献価値を示しながら、社会の脱炭素に貢献する新しい価値の創出に挑み続けます。

2. 目標

Scope1・Scope2の目標

2019年度時点の事業に関して、エネルギー起源CO2を2030年までに2019年比6割削減(内、Scope 2はネットゼロに)することを目標としています。加えて、24年度時点の事業に関しては、GHGを2035年までに2024年度比4割削減(内、Scope 2はネットインパクトゼロ*に)することを目標とします。それ以降の事業についても、2050年までのネットゼロ達成を目指しています。

* ネットインパクトゼロ:自社の排出量から、吸収除去・オフセット量と、事業を通じて実現した削減貢献量を差し引き、ゼロとする考え方

Scope1・Scope2
  • 2050年までにネットゼロ
  • 2019年度時点の事業:2030年までに6割削減 *1
    (内、Scope2は、2030年までにネットゼロ)
  • 2024年度時点の事業:2035年までに4割削減 *2
    (内、Scope2は、2035年までにネットインパクトゼロ)
石炭火力発電 現在保有無し。今後も保有しない

双日単体、国内外全連結子会社および経営支配力アプローチにて報告対象となるUnincorporated JVが対象。

*1 2019年度を基準年としてエネルギー起源CO2対象
*2 2024年度を基準年としてGHG対象

Scope3(資源権益事業)の目標

Scope3とは、主にサプライチェーン上の間接的なGHG排出を指します。商社は川上から川下まで広範なサプライチェーンを有します。
双日の2019年時点での保有資源権益において、全て燃焼させた場合のGHGは約2億トンです。これは前述の双日グループが直接使用するエネルギーからのGHG排出量(Scope1・Scope2)の約1百万トン(2019年時点)を大きく上回ります。資源権益への対応はより社会的な責任が重いと考え、以下の方針、目標を2019年より掲げています。
尚、原料炭に関するビジネスにおいても、CO2回収や新製鉄法などの技術革新に伴う新たな事業機会にも、積極的に取り組んでいます。

資源権益事業の目標
一般炭権益 2025年までに半分以下、2030年までにゼロ *3
石油権益 2030年までにゼロ
原料炭権益 2050年までにゼロ

*3 2018年を基準とした権益資産の簿価ベース。

2-1. 進捗

2030年目標の2025年3月期における進捗は、Scope1とScope2で4割程度削減、一般炭権益はすでに9割程度削減を達成しています。

権益資産推移

2-2. 脱炭素ロードマップ

双日は、脱炭素社会に至るまでの年代ごとの「技術動向・世の中の動き」を見立てたロードマップを整理し、これを踏まえて「双日の対応・考え方」を検討・整理しています。

上記の目標は、こうした見立てを含む将来環境や事業実態を踏まえた上で策定しています。そのため、これらの目標は、現時点の将来見通しに基づいたものであり、社会動向や技術革新の状況の変化によって、柔軟に見直しを行います。

3. 体制

方針や目標などの推進については、こちらをご覧ください。

4. 取り組み

4-1. TCFDへの賛同

  • 双日グループは、気候変動に関する『リスク』と『機会』についてTCFD*提言のフレームワークを活用し、積極的な情報開示と透明性向上に努めています。

    • 双日は、2018年8月にTCFDの最終提言への賛同を表明しました。

4-2. リスクの低減

4-2-1. Scope1・Scope2の削減

Scope1・Scope2の排出削減に向け、当社は将来の技術革新を視野に入れ、持続的な削減策を策定しています。

  • まずは省エネ・効率改善に取り組みます。
  • 次に再生可能エネルギーへの転換による削減を実施します。
  • 水素やアンモニア、合成燃料などのクリーンな燃料への切り替えを長期的な視点で検討します。
  • 更に、脱炭素の観点を含め、事業ポートフォリオの最適化を目指します。
  • 残存するGHGについては、証書を用いたオフセットや森林やDACの事業による吸収除去も含めて検討しますが、その割合を極力少なくする方針です。

事業会社での脱炭素に向けた取り組みを促進する仕組みとして、脱炭素推進施策を導入しています。
また、引き続き2050年ネットゼロを目指すべく、新たな脱炭素目標を策定する予定です。

4-2-2. Scope3の計測と把握

サプライチェーン上のGHG排出量を指すScope3については、商社は川上から川下まで広範なサプライチェーンに関与しており、そのすべてを精緻に把握することは困難です。

その為、当社は、当社の成長・業績へのインパクト、及び社会へのインパクトが大きい事業分野を特定し、その分野から「計測と把握」を行い、対応方針を検討しています。

まず、双日グループが保有する石炭権益を対象としました。2019年時点で当社が保有する石炭権益(一般炭、原料炭)を、全て燃焼させた場合のCO2は約2億トンです。非常に潜在量が大きいため、現在すでに再生可能エネルギーで代替が可能な発電用石炭(一般炭)の権益については2030年までにゼロにする方針を、また鉄鋼生産の還元剤として使用する原料炭の権益については、代替還元剤の水素やアンモニアなどの普及期を2040年代以降と想定し、2050年までにゼロにする方針を掲げました。

考え方
  • Scope3はサプライチェーン上の年間GHG排出量 (フロー)
  • 自社の排出削減に加えて、サプライチェーン全体までを含めた取組みも必要
  • サプライチェーン上でGHG排出量の多い箇所を将来的に削減圧力ストレスがかかる可能性が高いことからリスクとして認識
方 針
  • 一般炭は25年迄に半減。30年迄にゼロ
  • 原料炭は50年迄にゼロ
対 応
  • 世の中のGHGが多い業界において当社のサプライチェーン全体の定性分析を実施
  • GHG排出量が多く、当社への収益貢献も大きい一般炭と石油ガスに関連する発電セクターを優位なセクターと認識
  • 発電セクターの一般炭と石油ガスに関するScope3の定量化を実施
  • 双日と世の中への影響が大きい権益資産(ストック)の削減方針を策定
  • (※)<権益削減の考え方>

    2018年度を基準年として、1.5℃シナリオに記載の石炭の海上貿易量の減少速度を上回る速度で、双日の一般炭と原料炭の権益合計を削減して参ります。

4-3. 機会の捕捉

4-3-1. 機会としての削減貢献

双日グループは、Scope3を当社にとって「リスク」であると同時に、サプライチェーン全体での削減貢献による新たな事業創出の「機会」であると捉え、 自社の成長と紐づけた取り組みを推進しています。今後、これらの取り組みを通じて削減貢献したGHG量(削減貢献量)を増やしていきます。

考え方
  • 事業が生み出す製品・サービスによる「世の中のGHG削減量」を削減貢献量と呼んでいる。 
  • 双日は、脱炭素社会への移行をGHG回収やGHG削減に向けた技術革新が伴う「機会」と捉え削減貢献量を増やしていく。
対 応
  • サプライチェーン分析にて特定した、「GHG削減の圧力」や「代替される脅威」に晒されやすい箇所において、削減貢献による新たな事業創出の「機会」として定性分析を実施
  • 定量分析は、Scope3と同様に、当社にとって有意と考えられる発電セクターから実施

発電事業の考え方
【以下の考え方を基に、CO2排出効率を1.5℃シナリオ以下にコントロールしていきます】

考え方
  • 再エネ発電は不安定であり、脱炭素へのトランジション期間を支える火力発電は必要。
  • 双日は、特にアジアの石炭・軽油発電が多い地域のガス火力発電事業に着目。
  • 双日は、グループの火力発電のCO2排出効率(=CO2/kWh)を、1.5℃シナリオの原単位推移(※)以下にコントロール。
  • これら事業による同地域の削減貢献量の計測を検討。
  • 保有資産に対してはシナリオ分析を行い、座礁資産化の懸念を注視。
  • (※)<原単位推移コントロール>

    原単位は「発電あたりのCO2」であり、計算式は「発電に伴うCO2量÷発電量」になります。

    1.5℃シナリオの原単位の年代別の推移は、右記の緑色の線になります。

    1.5℃シナリオの原単位の年代別の推移は、右記の緑色の線になります。
    双日は、自社事業の原単位をこの1.5℃シナリオの原単位以下に抑えます。

【社会に、再エネ発電事業を創出し続けます】

考え方
  • 再エネは、社会に継続的に絶対量を創出。
  • 双日は、これまで保有のみならず、 一部事業については、撤退し回収した資金から、再投資を図る回転モデルを推進。
  • 総開発持分容量の累積を開示すると共に、削減貢献量の計測を実施。
  • <削減貢献量の積み上げ>

    例えば、再生可能エネルギー事業の場合、その国の電力のCO2排出量平均(原単位=CO2量÷kwh) と、当社再生可能エネルギー事業のCO2排出量(=ゼロ)の差が削減貢献量となります。

計算式=(その国の1kwh当たりCO2排出量 - 双日事業の1kwh当たりCO2排出量) x 双日事業の発電量

<発電セクターの削減貢献量>

削減貢献項目 削減貢献量
(万t-CO2)
1 高効率ガス火力発電 172
2 再エネ発電※ 83
  • 再エネ発電は太陽光発電、風力発電、バイオマス発電を対象とする

事業資産転換のイメージ

【資産ベースでのグリーン比率の増加を目指します】

  • <考え方>

    CO2負荷の高いブラウン事業の比率を減らし世の中のGHG削減に貢献するグリーン事業やその“トランジションを支える事業”を積上げ ポートフォリオ全体でのグリーン化を図ります。

    グリーン、ブラウン、トランジション事業の定義付けについては先行する欧州タクソノミーの基準等も参照して参ります。

<推進体制>

これらの取り組みを推進するため、中期経営計画2026では、新エネルギー・脱炭素領域におけるプロジェクト・事業の創出、拡大推進を加速すべく、全社横断組織「EX事業戦略室」を設立しました。また、「環境(国内外での再生エネルギーを含む電力事業)」「その他エネルギー」「ヘルスケア」のリソースを「エネルギー・ヘルスケア本部」に集中投下し、事業規模の拡大を目指しています。

4-3-2. 取り組み事例

取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。

4-4. サプライチェーン上のGHG排出量分析図(Scope3、削減貢献量)

横軸に当社グループが関わる「GHG排出が多い産業」を、縦軸に「サプライチェーンの各工程」を配置し、当社にとってのリスクと機会を定性・定量的に分析・特定しています。

リスク(Scope3):
GHG排出が多い箇所ほど、濃いオレンジ色で示しています。一般的に「GHG排出削減の圧力」 や「代替される脅威」にさらされやすくなります。

機会(削減貢献):
最下段は代替となる新規事業の機会であり、当社は削減貢献量として積み上げていきます。

4-5. ステークホルダーとの協働

当社は経済産業省が主導する2050年カーボンニュートラルを目指す企業が官・学も併せて協働する場であるGXリーグに参画、またその傘下組織であるワーキンググループにも参加しております。

5. パフォーマンス