新規事業×キャリア入社
髙馬 啓城/Carbon Xtract株式会社
2023.07.27
少し先の未来を実現する。
いま私が手掛けている仕事をひとことでいうとそうなります。具体的には、2023年6月、双日から生まれた新会社Carbon XtractでCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)を社会に実装するため、奮闘中だからです。
CCUSは、工場などで排出されたCO2や大気中のCO2を分離・回収して、地中に埋めて貯留したり、航空燃料などのエネルギーに変換して活用するしくみです。グローバルな社会課題である地球温暖化と、その原因のひとつであるCO2排出問題を解決する策として、いま最も期待されています。
一方で、技術的にはまだまだアーリーな段階なんですね。
そのため日本中の企業の研究所や大学、あるいは自治体と共創を試みています。
苦労は多い。しかし、やりがいはそれ以上にあります。脱炭素は、地球上の誰かがやり遂げなければならない大きな社会課題ですからね。おこがましいようですが「それなら、自分がやり遂げたい!」と手をあげて、挑戦している。そんな他には代えがたい醍醐味もまた日々、感じています。
そもそも、ずっとやりたかった仕事でもありましたから。
新卒で最初に入った会社は石油大手でした。「人々の根幹を支えるインフラに携わりたい」との思いがあって、選びました。
誰かが必ず手掛けなければいけない大切な仕事。「どうせ人生を生きるなら、そんな仕事を手掛けたい」という思いは、学生時代から強くあったんです。
もっとも、入社後の研修でロンドンに行き、少し方向を転換しました。世界のエネルギー産業がすでに「脱炭素」に向け、舵をきっていたことを肌で感じたからです。日本で感じるそれとは、スピード感も切迫感も2倍も3倍も違いました。
「日本もエネルギーの脱炭素に向けて、動き出さなければ」。今につながる思いがすぐに芽生え、1年半で転職。まずはコンサルティングファームでCCUSなど脱炭素関連ビジネスと、新規事業案件を立ち上げるスキルと経験を磨いたうえで、2021年の6月から双日に入社したのです。
なぜ双日だったのか?
まずはCCUSのような大掛かりなしくみを社会実装するには、到底一業態の力では実現しないからです。
エネルギー関連企業、プラント企業、アカデミア、政府など、多くを巻き込んで進める必要があります。日本だけじゃなくグローバルな事業でもある。商社には、そうした多彩なプレイヤーをまとめあげてプロジェクトをすすめる機能と力があります。
中でも、双日を選んだ理由は、ちょうど脱炭素ビジネスの新規事業のポジションを募集していたことがひとつ。加えて、何よりも学生時代の野球部の先輩が双日で活躍しており、その方から「ボトムアップであらゆる挑戦を後押しする、風通しのいい企業なのは間違いない」との話を聞いていたからです。
風通しの良さは入社後に日々、実感しています。部下や上司、先輩や後輩も関係なく、自分の意見をそれぞれ言えて、しっかりと聞いてもらえる。とくに、私がいる部署は他部署を巻き込んでいく必要があるのですが、誰しも皆、新しいビジネスアイデアや想いに対し積極的にサポートしてくれる。「新しいことをどんどんやっていこう!」という機運が根付いています。
リクルートの広報的なキャッチコピーで「風通しの良さ」や「チャレンジ」を訴える会社は多いと思います。しかし、双日は本気だな、といつも感じているし、先輩が言っていた言葉が本当だったと感謝もしていますね。
今は九州大学の藤川茂紀教授が開発した、大気中に放出されたCO2を回収する「ダイレクトエアキャプチャー(DAC)」を社会実装するのが、目下の目標です。
DACはすでに世界中で研究が進んでいますが、プラントのような巨大な装置を使うのがスタンダード。しかし、藤川教授のDACは、ナノレベルまで薄くした特殊な素材をCO2の回収・分離膜に採用することで、小型化の実現にチャレンジしています。
これが実装できれば、ゲームチェンジャーになれる。技術的にもルールづくりでも先行している欧米企業を追い越せるイノベーションとなる可能性は極めて高いと確信しています。
ちなみに、この技術を見つけ、研究室との提携を会社に求めた時、想定していたよりも早いスピードで会社からGOサインが出ました。「世の中はこうあるべき」「未来はこうなってほしい」とバックキャスティングによる事業創造が、本当にできる稀有な場だなと感じました。
同時に、日々しっかりと地に足の付いたビジネス、毎日コンスタントに大きな売上・利益を出せる事業を手掛けているからこそ、こうした未来への投資にも前のめりにできるのだという強みと凄みと、ありがたみも感じましたね。
「未来はこうなったらいいのに」「世の中はこうなったらすばらしいのに」「それを自分が手掛けたらたら最高なのに」――。
今いる場所で、そんな思いを抱いているなら、双日はおすすめですね。そうした思いを実現するためのフィールドが、ここにあります。