プロユースの選択から始める、休日の過ごし方

これまでの鬱憤を晴らすかのように、多くの人が国内外の旅へと出かけはじめています。3年近く我慢し続けた分、これからの旅は、いままで以上に贅沢で豊かな時間を。都市よりも自然が気持ちいい季節。キャンプやグランピングもいいけど、富士山の麓にある一棟貸しホテルへ。非日常的なロケーションで、機能美・合理性を最優先につくられたモノを使いこなす、ポストコロナの新しい休日の楽しみ方をお届け。

Photograph_Masayuki Nakaya
Text_Keisuke Kimura
Edit_Shota Kato

神秘的な森の中に佇む、プライベートホテル

都心からクルマで約90分。富士山の麓、標高1,000mの場所に位置する「yl&Co.Hotel in Mt.Fuji」は鬱蒼とした森に囲まれ、人里離れた場所にあります。しかも一棟貸しのため、余計な雑音は一切聞こえてきません。聞こえてくるのは、虫の鳴き声と鳥のさえずりだけ。旅の滞在先では晴れてほしいけど、この場所は雨をも味方にしてくれます。ノイズがない静寂の中に降りしきる雨音と辺り一面の緑が相まって、幽玄な印象に包み込みます。

もともとはプロ向けの撮影スタジオとして使われていたことから、天井が高い館内は開放感に溢れ、インテリアひとつをとってもこだわりが詰まっています。どこを切り取っても絵になるホテル。薪ストーブが印象的なリビングは庭と地続きになっていて、窓に映るのは青々と茂った自然だけです。

寝室は1Fと2Fの3箇所に。男女、家族ごとに人数を振り分けて寝床を確保できる。洗いざらしの寝具はホテルを運営する米林リースのオリジナルブランド「sinso」のもの。右下は部屋番号を示す館内サイン。この数字は標高を表している。

クルマのラゲッジルームいっぱいにギアを積み込んで、テントやタープを設営するキャンプも楽しいけど、ここをデスティネーションにするのなら、そうした準備は一切必要ありません。洗いざらしのふかふかの布団で寝ることができるし、四季折々の料理も時間になったら提供されます。そして一歩外へ出れば、3,141㎡の広大な敷地を一組で独り占めしながら自然の中でくつろげる。その快適さがグランピング以上であることは言うまでもありません。

これひとつでシャンパンが抱える悩みを解決

都心とは違い、ここまで山深くなり標高も高くなると、気温もぐっと低くなります。今年の夏も猛暑日が続いたものの、都心から少し足を伸ばすだけで、こんなに快適な場所が関東にもあるのです。この日は、その道のプロフェッショナルたちから支持を集めるプロユースのモノを携えて、気のおけない仲間たちと貸切で利用することに。

さまざまなプロフェッショナルたちが愛用している通称・ペリカンケース。荷物をより安全・確実に収納・輸送できる。

荷物を詰め込んだのは、耐久性・防水性・防塵性に優れた「Pelican」のキャリーケース。本格的なクオリティは、アメリカの軍隊やプロのカメラマン、アングラー（釣り人）などから絶大な支持を得ています。そのスペックはまさにプロユースの逸品であることを物語っています。

荷下ろしを済ませてひと息ついたら、広々としたダイニングテーブルでウェルカムシャンパン＆フードのおもてなし。山梨県産の桃と地元の菓子屋・つぐら舎の焼き菓子と共に合わせたシャンパンは、「JALUX」のオンラインショップ・JALショッピングで購入して持ち込んだアイテム。「ジョセフ・ペリエ」は1825年にシャンパーニュ地方で設立されたメゾンの一本で、イギリスのビクトリア女王とエドワード7世にも愛され、英国王室御用達のシャンパンとしても知られています。

JALショッピングで購入できる「ジョセフ・ペリエ」のラインナップ。この日は4種類のシャンパンを持ち込んだ。

とはいえ、時間はまだ正午過ぎ。シャンパンのボトルを空にするにはちょっと早過ぎる。そんなときに活躍するのが「PERLAGE（ペルラージュ）」です。

シャンパンの悩みのタネといえば、すぐに飲み切らなければいけない点。抜栓した後はガスがすぐに抜けてしまうから「ちょっと軽く一杯だけ」が通用しない。だけど「PERLAGE」があれば、抜栓後の酸化やガス抜けを防いでくれるのです。

「PERLAGE」を使ってシャンパンにガスを充填中。抜栓後のシャンパンが抱える酸化・ガス抜けの課題を解決してくれる。

使い方はいたってシンプル。専用のカプセルにシャンパンを入れて、そこにガスを充填させるだけ。そうすることで、ガスで満たされた抜栓前のボトル内の環境を再現できるという仕組み。しかも、約20日間も開けたての鮮度を持続させることができます。たとえば、レストランであれば、グラスでの販売も可能になるし、閉店間際の抜栓も躊躇せずに済む上に、ガスが抜けたからといって残りを捨てる必要も無くなります。加えて、コストも抑えられ、いいことづくめ。

焚き火、ディナーで活躍するプロユースのアイテムたち

ここからは、それぞれが思い思いに過ごす時間。敷地も広大だから散歩をしても爽快で、自然の撮影に出かけるのもよし。鳥のさえずりと共に楽しむ庭でのティータイムも格別です。

キャンプ好きであれば、常設されている焚き火台に火を焚べて、チルタイムを。お供には、知る人ぞ知る「GRIP SWANY」の難燃ジャケットです。野外で火を扱うときに、化学繊維であるナイロンやポリエステルの衣類はなるべく避けたいもの。そんなときに活躍するのが難燃素材のジャケットなのです。なかでも「GRIP SWANY」のジャケットは、多くのアウトドア愛好家たちから支持されています。

多くのアウトドア愛好家たちから支持されている「GRIP SWANY」の難燃ジャケット。多少の火の粉であればビクともしないし、生地も丈夫なため摩耗や引き裂きにも強い。

すっかり暗くなった頃、お待ちかねのディナータイム。この日は、柔らかい肉質が特徴の甲州牛や、キリッとした脂身が特徴の甲州富士桜ポーク、糖度が15度以上あり生でも食べられるとうもろこし「甘々娘（かんかんむすめ）」などが並びます。食材は季節によって変わり、四季折々の味を楽しめるのもホテルの魅力です。

地元の新鮮な食材を心ゆくまで堪能できます。自分たちでグリルを使って食材を焼いては盛り付けていく。正午に開けたシャンパンの残りも、「PERLAGE」のおかげで抜栓直後のような味わいです。また、抜栓から長時間経過しても新鮮さをキープできるので、まさに「PERLAGE」はプロユースのアイテムと言えるでしょう。

締めのフードに持ち込んだのはJAL特製オリジナルビーフカレー。羽田空港・成田空港国際線JALラウンジで提供され、長年多くの乗客から愛されている。

食卓を灯してくれるライトとして、工事現場でも使われるバルーンライトを持ち込みました。かつてはディナーテーブルでの用途は到底考えられませんでしたが、昨今のアウトドア人気と相まってキャンプサイトで見かけることも増えてきました。工事現場での道具がプロユースであることは言わずもがな。タープの中を照らすには十分過ぎるほどの光量を持ち、細かい調光や高さ調節にも対応しています。

インダストリアルながらアウトドアに調和するバルーンライト。夜の屋外の補助光として新しく提案したい。

上質で、かつ安価なモノが手に入りやすくなった現代だけど、そこからもう一歩先をいくプロユースのアイテムを取り入れれば、生活は一層豊かで快適なものになっていきます。加えて、プロユースのモノとは総じてロングライフデザインであり、造りもしっかりしているから、頻繁に買い換える必要はありません。修理しながら使い続けること。それは環境を保全することに繋がり、結果として経済的でもあります。

一つひとつのプロユースアイテムは、ときに人生を変えるほどの驚きや発見をもたらしてくれるもの。富士山麓に佇む一棟貸しホテルでそれを使いこなす滞在は、時を忘れるほどに豊かな体験となるのではないでしょうか。