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2022.01.28 UP

DXって何? 医療・ヘルスケア×DXがわかる10のこと

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デジタル技術の発展やITの進化によって、「DX」というワードをよく見聞きするようになってきました。DXとは「Digital transformation=デジタルトランスフォーメーション」の略。なんとなくデジタルに関連するのは伝わってきますが、具体的にはどんなことなのでしょう。そこで今回は私たちにとって身近な健康にまつわるトピックを例に、DXの基本的なことから医療・ヘルスケアにおける展開例をご紹介。ヘルスケア事業部 事業開発第三課 課長の石黒正樹がDXの「?」を集めた10個の質問に答えます。

Text_Kayo Yabushita
Photograph_Kaoru Yamada
Illustration_Saki Obata
Edit_Shota Kato

「DX」と「デジタル化」って何がちがう?

1. 近なにかと「DX」という言葉を目にします。DXってそもそも何ですか

DXはIT技術による、生活やビジネスにおける変革のことです。グローバルなトレンドとして、多くの企業が顧客や社会のニーズの変化に対して、データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルの変革を起こそうとしています。

2. DX化」と「デジタル化」は何が違うんですか

デジタル化はアナログで行っていたことをデジタルに変更することです。例えば、紙で行っていた書類の取り回し。これを電子に置き換えるといった業務効率化がデジタル化であって、既存業務の生産性を向上させるものなんです。一方でDXは既存業務のあり方そのものをアップデートすることを指します。例えば、物流業務をデジタル化によって効率化するといったことにプラスして、ビッグデータに基づいて配送計画から新しく構築しなおす、というのがDX化です。

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3. いま国内外で注目を集めているDXが成功した事例はどのようなものがあるでしょうか

個人的に注目していたのは、家庭教師のトライを手掛けるトライグループの「Try It」です。スマートフォンで見られる中高生向けの映像事業サービスで、時間・場所を選ばずに受けたい授業を選んで視聴できるものです。トライグループが家庭教師派遣の現場で培ったノウハウを活かしながら、対面授業に加えてWeb授業という新しい選択肢を増やしたことで、中高生にとってデジタルと対面の両方を活用できるサービスとなりました。地理的・経済的要因による学習機会の差異の克服に一役買うと思います。今後、生徒の学習データの分析・活用も進むでしょう。

4. 米と比べて、日本のDXは遅れていると言われていますが、実際のところどうなんでしょうか

そんなことはないと感じていますよ。海外では「Uber」のようなデジタル技術を中心としたサービスの変革が有名ですが、デジタル技術と親和性のある業界が組み合わさった、トライのようなDXが出てきており、これからは現場の強みが活かされたDXが期待されています。

療は「病院」から「個人」中心の世の中へ

5. DXには効率化などのメリットがあることはわかりました。その一方で、デメリットや課題・問題はないのでしょうか

システム上でできることと実際のオペレーションがきちんと問題なく連携が取れるかどうかは大きな課題のひとつですね。たとえば医療の現場では、電子カルテがだんだんと普及してきていますが、そもそも、統一化されたフォーマットで記入されたデータがなければ運用することは難しいのです。

6. 療の現場におけるDXにはどんなトレンドがありますか

これからは遠隔診療が普及していくと言われています。今までは、体調が悪くなったら病院に行って診察をして帰ってくるまで時間がかかりました。これからは必ずしも病院に行かなくてもよい場合には、遠隔で診察を受けることが可能になります。ですが、診察が終わったら次に治療が必要となります。遠隔診療の場合、薬をどうやって自宅に届けるのかといった問題があります。このようにリアルとデジタルがうまく融合されていかないと、私たち利用者にとっては使いづらいシステムになってしまう可能性もあるんです。

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7. DX化を進めるためにはどんなことが必要なのですか

DXが進む土壌としてデジタル化は必要と考えています。DXは既存業務のありかたそのものをアップデートすることですが、その前提として、既存業務がデジタル化されていたり、企業やシステム間連携の土壌が整備されていなければなりません。

どんな人でもある日突然、病気になりますから、医療・ヘルスケア×DXということで考えると、オンラインとオフライン、そのどちらでも対応できないといけません。それを「OMO(Online Merges with Offline)」と呼んでいます。オンラインとオフラインの両方が融合された状態で、受け皿を広くしないといけないという考えはDXの主流になっているんです。

8. 療のDX化が実現すると、医療機関や生活者にどんなメリットがあるのでしょうか

病院には医師と看護師がいて、医療機器や設備があります。そこには知と財が集約されていて、体調が悪くなったら病院に行って、診察、治療、投薬といった流れがこれまでの医療の中心でした。しかしDXによってそうしたケアがもっと分散されていくと、そもそも病気にならないように、未病のためのオンライン相談ができたり、必要であればオンライン診療、経過観察といった予後まで一気通貫できるようなあり方に変わっていきます。それはつまり、私たち利用者にとって選択肢が増えるということなんです。遠隔地に住んでいる方、介護や子育てをしている方など、なかなか外出ができない場合は、遠隔診療でお医者さんの意見を聞くことができればとても助かるはずです。これからは医療現場の主体は病院だけではなく、個人に移りつつあると考えています。
 

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医療のDX化からみえる、ワクワクする未来

9. ロナ禍の世の中において、これからのDXはどのように変わっていくと思いますか

実は海外の医療現場では、遠隔診療による診察を一般の患者さんが経験するようになってきているんですよ。そこで分かってきたことは、遠隔診療だけではすべてをカバーできるわけではなく、やはり対面が必要になるケースもある、ということなんです。今後は利用者目線から見て、デジタルとリアルが最適に融合したOMOのカタチが求められるでしょうね。これは一般化することができると思いますし、私たちがデジタルとリアルの両方の選択肢を持っているような状態で、これらを融合した事業モデルが進んでいくんだと思います。

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10. の先、DXによってどんな未来が待っていますか

私たち双日としても、海外のヘルスケア企業への出資などを通して、医療におけるDXの取り組みを行っています。世界を見渡してみると、アジア圏ではクリニックチェーンが増えてきて、極端に例えるならば、コンビニのように手軽な医療サービスを利用できるようになりつつあります。世界的に健康意識が高まっていて、多くの人が未病や予防の意識を持っているなか、クリニックチェーンの多面的な展開や、DXによって新しいサービスを提供していけるようになる。そんなワクワクする未来が医療分野から広がっていく予感がします。 

私たちは総合商社なので、病院や医療従事者のような専門家ではありませんが、必要なところに必要なものを届けるということを伝統的にやってきました。それを過去140年以上で培ってきたネットワークと知見を活かして、医療の世界に適用していきたいですね。必要なDXの技術・サービスを持った会社と医療をつなぎ合わせて、新しいサービスをカタチにしていく。それは世界中にネットワークを持っている双日だからこそできる医療への関わり方なんです。

DXと聞くとちょっとむずかしい、と思われる方も多いと思いますが、DXが実現した先にあるのは、私たちのより豊かな生活です。もちろん双日だけでなく、さまざまな業界、企業がDXにチャレンジしているので、興味のある分野について調べてみると、DXを身近なものとして感じられるかもしれません。

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PROFILE

石黒 正樹

石黒 正樹

ヘルスケア事業部 / 事業開発第三課課長

ヘルスケア事業部事業開発第三課課長。WellnessやDXというキーワードでヘルスケア事業部の新規開発に従事。双日が投資するヘルスケア スタートアップ企業との協業も担当。

DX ヘルスケア 医療 学び 遠隔診療

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