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2022.05.11 UP

高見侑里さんが聞く、サーキュラーエコノミーで変わる、わたしたちの生活

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経済成長や人口増加に伴って、どんどん失われていく地球の資源。そこにブレーキをかけるのが「サーキュラーエコノミー」です。使って終わりではなく、使ったあとにリサイクルして新たなものへと生まれ変わらせたり、土に還したりといった、環境への負荷を少なくする経済システム。そんな地球に優しいシステムを通じて双日が描く未来のビジョンとは。フリーアナウンサー・高見侑里さんをインタビュアーに招き、化学本部長の植村幸祐が紐解いていきます。

Photograph_Keta Tamamura
Hair&Make_Emi Kito
Text_Keisuke Kimura
Edit_Shota Kato

ごみの分別も環境保全の一助に

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植村:今日はどうぞよろしくお願いします。サーキュラーエコノミーというテーマですが、難しい話にならないように頑張ります(笑)。

高見:興味があったことなので、呼んでいただけてうれしいです。こちらこそお願いいたします。

植村:高見さんはふだんの生活でサーキュラーエコノミーを意識することってありますか?

高見:正直なところ、サーキュラーエコノミーの言葉を今回はじめてお聞きしました。ただ、サステナビリティやSDGsという言葉はよく見聞きするので、なんとなくは意識しているとは思います。ごみの分別なんかもしっかりしていますし。

植村:ちなみに、最近販売されている一部のカップ麺の容器って何ごみかわかります?

高見:紙......?

植村:正解です。この問題はわからない人が多いんですよ。

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高見:細かい分別が必要な地域に住んでいるので、素材に対する意識が結構高まっているのかもしれないですね。

植村:そうした小さいこともサーキュラーエコノミーの一環なので、大切なことですね。ほかにはふだんの生活で意識していることはありますか?

高見:月並みですけど、スーパーにはエコバッグを必ず持参するようにしています。あとはマイボトルもよく持って外出します。植村さんは実践されていることはありますか?

植村:私もエコバッグは使っていますね。それと、自宅に太陽光発電のパネルを付けているんです。小さい電気しか起こせないし、それだけで生活すべては賄えないですけど、小さいところから始めていこうと。

より多くの企業がプラスチックを回収できる時代へ

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植村:2022年4月1日から「プラ新法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)」が施行されて、国をあげてサーキュラーエコノミーを加速させる取組みが始まりました。

高見:プラ新法はニュースでも取り上げられていますが、具体的にはどんな内容の法律なのですか?

植村:これまでは、認定を受けた廃棄物処理業者しかプラスチックを回収できなかったんです。それを緩和して、製造者や販売者などもプラスチックを回収できるような認証制度に変わったのです。

高見:誰でもじゃないけど、より多くの人が回収できるようになったということですね。具体的に、どんなメリットがあるのでしょうか?

植村:より多くのプラスチック製品がリサイクルに回ることになるので、 これまで廃棄されたり焼却されていたプラスチックが減ります。

高見:私たちの生活にはどんな影響があるのでしょうか?

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植村:今よりも、再生プラスチックの容器などが目につくようになると思いますよ。それに伴って、私たちの環境に対する意識も高くなるのではないかと。また、リサイクル可能なプラスチックを実際に捨てる場合に、よりリサイクルしやすくするための分別のシステムを、捨てる側と回収側とで一緒に発展させていけるようになる可能性もあります。

高見:スーパーでリサイクルBOXを目にすることが多いんですけど、今後はいろいろな場所でリサイクルできるようになったらいいですよね。

植村:おっしゃる通りです。なので、そうした分別のシステムや場所も、時代に合った形に変えていけるといいですよね。そうなったら、リサイクルはどんどん進んでいきますから。

梱包用のプラスチックフィルムも貴重な資源

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高見:双日には、サーキュラーエコノミーを専門とする事業部はないとお聞きしました。

植村:私たちは会社全体で7本部ありますが、それぞれの本部でサーキュラーエコノミーの取組みを行なっているんです。

高見:化学本部ではどのようなビジネスを行っているのでしょうか?

植村:大きく分けて2つあります。まずは、プラスチックごみを細断して洗浄し、ペレット(粒状)にしてからプラスチックに戻す「メカニカルリサイクル」*1に関する事業。もうひとつが、熱などをかけプラスチックごみを溶かして分子レベルまで分解し、ガスや液状にしてから化学品やプラスチックを合成する「ケミカルリサイクル」*2です。

高見:どちらがいいということはあるのでしょうか?

植村:メカニカルリサイクルの場合、CO2は出ないけれど落としきれない汚れなどで再生品の質が劣ることが多い。ケミカルリサイクルの場合、熱を与えるのでCO2は発生するけれど分子レベルにまで分解できるので、品質を落とさずにプラスチックを再生することができる。なので、今のところは一長一短という感じなんです。

高見:双日が協業している日本環境設計との取組みは「ケミカルリサイクル」ということになるんでしょうか?

植村:そうですね。日本環境設計との取組みは、同社のグループ会社であるペットリファインテクノロジーと、回収されたPETボトルを、PETの製造一歩手前の素材に分解して、きれいなリサイクルPETを再生するというものになります。また日本環境設計では、飲料ボトルとして広く使われているPETボトルの再生に向けた回収整備のほか、古着からポリエステル繊維を再生して衣料も作っており、リサイクルがより身近に感じられると思います。

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高見:昨年、アウトドアのイベントに出演させていただいたときに、リサイクルのPETボトルをバッグにしているメーカーが出展していたんです。実際に製品を見て触ってみても、普通の製品とまったく同じで驚きました。ほかにも、そうしたメーカーはあるんでしょうか?

植村:世界的に見ても、どんどん増えていますよね。でも、服は色が付いているので、新たな製品に生まれ変わらせるために、一度色を抜かなければいけない。その工程で環境に負担がかかる化学薬品をいかに抑えるかといった課題があります。そうしたところも、みんなで知恵を出し合って、より環境にいいものへとシフトしていけたらと思っています。

高見:双日はプラ新法を活かして、どんな構想を考えているんですか?

植村:たとえば日用品は店頭に並ぶ前に、納品用の梱包材から出して、棚に陳列されています。透明のビニールであったり、輸送用のプラスチック材であったり。このような見落とされがちなプラスチックも、当社が再生を請け負って、サーキュラーエコノミーの一旦を担えたらと思います。課題は、回収量と回収場所が、どれだけ離れた場所にあるか。輸送コストなどの最適化も大事なことですよね。

*1 回収された使用済みPETボトルを選別、粉砕、洗浄して表面の汚れ、異物を十分に取り除いた後に高温下にさらして、樹脂内部に留まっている汚染を除去し、再度PET樹脂原料として使用すること

*2 回収された使用済みPETボトルに解重合を行い、PET樹脂の原料または中間原料まで分解、精製したものを重合して新たなPET樹脂とすること

菌がつくる夢のPETボトル

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高見:双日はサーキュラーエコノミー関連で、Braskemという企業と協業しているとお聞きしました。どういった会社なんでしょうか?

植村:Braskemはブラジルの化学企業です。ブラジルは世界一のサトウキビ生産量を誇っていて、Braskemは植物、穀物などの食用に使われない非可食部分を元にしたバイオマスケミカル・プラスチックというものをつくっているんです。彼らがつくるポリエチレン(プラスチックの一種)をグリーンポリエチレンと呼んでいて、双日は日本を含むアジア諸国で販売しています。

高見:グリーンポリエチレンって聞き馴染みのない言葉なのですが、どこで使われていますか?

植村:広く使われているのはレジ袋などの袋類。石油由来の従来品とは見分けがつきませんが、れっきとした植物由来です。Braskemとは、バイオMEG(モノエチレングリコール)*3の生産開発も共同で進めることになりました。

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高見:バイオMEGという言葉も初耳です。

植村:MEGとはPETの主要原料とされる2つの内の1つです。バイオMEGは簡単に言うと、糖を成分にしてプラスチックをつくるイメージですね。

高見:糖からプラスチックってつくれるんですね! 一方で国内のバイオベンチャーへの出資も積極的に行なっていると聞きましたがどのようなプロジェクトなのでしょうか?

植村:幾つかありますがGreen Earth Instituteへの出資が代表的なところでしょうか。簡単にいうと、菌体の開発をしている企業です。細菌などの菌です。ところで高見さんはお酒を飲みますか?

高見:はい。結構飲みますし、ワインエキスパートの資格も持っています。どんな関係があるのでしょうか?

植村:ビールも日本酒も、大きな窯で菌を発酵させてアルコールをつくりますが、発酵でできるバイオケミカルはそれに近いんです。発酵に使う菌の中にコリネ菌と呼ばれるものがあって、その菌がすごいんですよ。多くの菌体は一度発酵させると死んでしまうので、発酵が終わると窯を一度空にして、次の稼働に向けて新しい菌体に入れ替える必要があります。つまり連続生産ができません。しかし、コリネ菌は複数回の発酵に耐えることができるんです。

高見:そうなんですね!コリネ菌を使うと、どんなことができるようになるのでしょうか?

植村:複数回発酵に耐えられるので、一定時間の連続生産が可能になります。これまで処理が難しいとされてきたものも分解してくれるようになるんです。今後はもう一つのPETボトルの主原料(テレフタル酸)もコリネ菌を用いて製造し、BraskemとのバイオMEGと掛け合わせることで、100%バイオマス由来のPETボトルをつくろうと計画中です。

高見:何年後に実現可能なのでしょうか?

植村:来年、再来年に!と言いたいところですが、5年以内に実現することをめざしています。

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*3 ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)の主原料のひとつ。

グリーンポリエチレンのように、日の目を見るまでは我慢が必要

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高見:日本のエコに対する取組みは海外からどのように評価されているのでしょうか?

植村:日本はそもそも省エネ大国なんです。家電も、車も、家も、全部省エネ。なので、たとえばCO2に関していうと、パリ協定をきっかけに、何年までに何割減らすという議論がされていますが、日本はもともとが省エネな国なので、それまでCO2をたくさん排出していた国と比べると難しさがまったく違うんですね。

高見:分母が違うということですね。

植村:とはいえ、そこに甘んじてはいけなくて、大幅には減らせないかもしれませんが減らせる余地はある。高見さんはスマートフォンにカバーは着けていますか?

高見:はい、着けていますね。

植村:そういったカバーもプラスチックでできていることが多く、今は至るところにプラスチックが使われています。カバーでも透明なモノの多くがポリカーボネートという素材なんですけど、それである必要性はなくて。見た目が透明で、ある程度の強度があればポリカーボネートでなくてもいいわけです。それに変わる素材として、たとえばポリ乳酸*4(PLA)というものがあります。聞いたことありますか?

高見:はじめましてです(笑)。乳酸は、あの乳酸ですよね?

植村:そうです。飲料に含まれている乳酸です(笑)。乳酸を重合させると、プラスチックに似た、硬い物質になるんですよ。ポリ乳酸は20年前くらいからある完全な自然由来です。そうした新素材の開発はどんどん進んでいますし、今後も環境へ負担をかけない代替素材も出てくると思いますよ。

高見:身近なところで言えば、紙もほとんどが再生紙ですし、もしかしたら将来、多くのプラスチック製品が再生プラスチックになったりも?

植村:大いにありえると思いますし、私たちも総合商社として研究を進めていかないといけないですよね。サーキュラーエコノミーは今後さらに重要な位置を占めることとなるでしょうから、双日は引き続き、パートナーと共に、地球にやさしい素材を社会に提供していきたいと思います。

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高見:サーキュラーエコノミーという単語を聞いても輪郭が見えていなかったんです。でもインタビューを通して、すごく身近なところにあるんだなと感じました。一方で、私たちの知らない取組みも双日はされていて、100%バイオマス由来のPETボトルも実現できるかもという話は、個人的にも楽しみです。

植村:そう言っていただけてよかったです。私たちも国内外含め、お客さまの声を聞き、ニーズを集めて事業を構えていけたらと思います。

高見:サーキュラーエコノミーだったり、サステナビリティであったり、そうした言葉が世に出る前から取組みを行っていたというのは、双日は先見の明がありますよね。

植村:グリーンポリエチレンはまだ世界に注目されていなかった、2012年から続けていますからね。だから我慢が必要であって。今、やっと時代が追いついてきた感じがするので、それぞれが連携しあってサーキュラーエコノミーの輪が広がっていくことを期待しています。

*4 ポリエステル類に分類される高分子。バイオマスプラスチック、生分解性プラスチックの一種。トウモロコシ、芋、サトウキビなどを含む植物を原料として生産できる。

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PROFILE

高見侑里

高見侑里

フリーアナウンサー。1987年6月30日生まれ、神奈川出身。立教大学在学中に2008年のミス立教大学に選ばれ、ミスオブミスキャンパスクィーンコンテスト2008でグランプリに。先日、13年間務めた番組、フジテレビ系「めざましどようび」を卒業。現在はフジテレビ系「ポップUP!」、TOKYO FM「SPORTS BEAT」などに出演し、テレビやラジオなどさまざまなメディアで活躍している。

オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/yuri_takami_official/?hl=ja

植村幸祐

植村幸祐

双日執行役員/化学本部長

1993年東京大学農学部卒、日商岩井(現双日)入社。
米国駐在を経て、2018年化学本部プロジェクト開発室長、2021年から現職。

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