HomeArticle双日の素顔 vol.1 仕事とルーツはつながっている ー藤本昌義×井桁弘恵×喜入友浩

2023.02.21 UP

双日の素顔 vol.1 仕事とルーツはつながっている
ー藤本昌義×井桁弘恵×喜入友浩

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「双日社員の人となり」に迫る企画「双日の素顔」。第1回に登場するのは、双日の顔である藤本昌義社⻑です。総合商社の社⻑は読者にとっても遠い存在のよう。そんな藤本社⻑の素顔に迫るため、共通項を持つゲストを迎えて、パーソナルなトークをお届け。今回は女優・モデル・MCとしてさまざまなメディアで活躍する井桁弘恵さんと、TBSアナウンサーのホープとして期待される喜入友浩さん。分野は異なりますが、実はこの三人は共通項を持っています。双日本社内にある社員憩いの場、S Caféから、異世代・異業種トークをスタートしましょう。

Photograph_Takuya Nagamine
Text_Rio Yamamoto
Hair&Make_Yuka Noguchi
Styling_Satomi Urata
Edit_Shota Kato

三人をつなぐ意外な共通点

双日の素顔 vol.1 仕事とルーツはつながっている

藤本:今日はお二人とも忙しいなかありがとうございます。喜入くんとは面識があるけど、井桁さんとははじめましてですね。

井桁:よろしくお願いします。

藤本:僕ら3人には福岡出身、しかも同じ修猷館(しゅうゆうかん)高校卒業という共通点があって。僕の時代の修猷館は男性の方が多くて、男子が360人で女子が90人。旧校舎だったから板張りの廊下で、下駄を履いてくるやつもいるような学校で、昔はね(笑)。2005年ごろに新校舎ができて、「商社ビジネスとは」というテーマで修猷館の学生を前に講演をしに行ったんですよ。雰囲気も随分変わっていました。

喜入:1784年にできた古い学校ということもあって、歴史と伝統ということはすごく教えられましたね。入学式から「毎年400人が入学して400人が卒業するけれど、通ずるDNAは一緒だよ」と、校長先生に叩き込まれました。

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井桁:私は硬式テニス部の部長でしたけど「堅苦しくなくて良いんじゃない?」という感じで、海に遊びに行ったり、みんなで誕生日パーティーをしたりしましたよ。私は先輩として振る舞うのが苦手だったので、後輩にいじられるくらいがちょうどいいな、と思って。この間、久しぶりに修猷館に行ったらピリッとしてたので、私のときだけだったかもしれませんけど(笑)。

喜入:先輩と海に遊びに行って誕生日パーティー...。異国情緒すら感じますね。私が所属していた野球部は上下関係がとても厳しかったので、先輩とはプライベートの話すらしたことがありません。本当に同じ高校に通っていたのかというほどです(笑)。

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硬式テニス部の部長だった井桁さん。全学年が堅苦しくないムードづくりを意識していた。

藤本:館歌(いわゆる校歌)や応援歌の練習はあったでしょう?

喜入:ありました。太鼓が鳴って、学ランを着た人がダダダっと教室に来て「お前ら応援やるぞ!」って。

井桁:体育館で靴下を脱いで裸足になって、正座して黙想して。紙とCDを渡されて、応援歌とか全部覚えて、昼休みに必死に練習していましたよ。

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藤本:修猷館では運動会が一大行事でしたね。当時の修猷館は"4年制高校"って言われていて。3年の夏休みに運動会に打ち込むから受験勉強をできない。高校とは別に「修猷学館」という、同窓会が経営している予備校があるんです。男子生徒の9割近くは、高校卒業後にこの予備校に行って、1年浪人して大学に入ることが当たり前だった。当時はね、福岡県の高校はどこも予備校を持っていたんじゃないかなあ。

喜入:私たちの頃も4年制とは言われていましたけど、それくらいの気持ちで、というニュアンスでした。まさかそこまで本当に4年制だったとは。

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藤本:イズムがはっきりした学校だから、OB・OGの繋がりは強いですよね。

井桁:たしかに。テレビの現場などで修猷館の先輩にお会いすることはありますね。この前も、作家のブレイディみかこさんと対談させていただいて、それも同じ高校の出身というのがきっかけでした。なかなか高校繋がりでのお仕事ってありませんよね。

藤本:そうですね。僕がポーランドに駐在していたときも、大使館の方とお話をしていて、こちらは商社だから「いつもお世話になっております」って言っていたんです。けれど、よくよく聞いたら修猷館の後輩だとわかって、向こうから「先輩!」と言われたりして。上下関係が逆転して、一気に仕事がやりやすくなりました(笑)。

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高校2年時の藤本社長(右から2番目)。同級生たちと遠足に行った時の記念撮影。

職種は違えど、学生時代の経験が今の仕事の原点に

藤本:井桁さんはどうしていまの道を選んだんですか?

井桁:私はもともと、中学の中体連が終わったくらいに燃え尽き症候群じゃないですけど、そのときの楽しみがなくなってしまって、母と姉に勧められて雑誌のモデルオーディションを受けたんです。そのままモデルにはなれなかったけれど、オーディション帰りに原宿を歩いていたら今の事務所の方が声をかけてくださって。高校1年のときに、ミス・ティーン・ジャパンという賞をいただいたのをきっかけに、正式にモデルのお仕事の道に進みました。

藤本:他の学生たちから「うちの学校にスターがいるぞ!」って騒がれたりしませんでした?

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井桁:賞を取ったときは「誰だ、誰だ!」って少しだけなりましたけど、あまり何か言われたりとかはなかったですね。実はミス・ティーン・ジャパンの本戦と、テニス部の新人戦の日程が被ってしまっていたんです。部長だったし、本当は絶対にテニス部を選ばないといけなかったと思うんですけど、そのときの監督がすごく優しくて。「行きたい方に行ってこい!結果を残してこい!」と送り出してくれて。それがなかったら、今には繋がっていなかったと思います。

喜入:私も仕事の原点は高校時代にあって。修猷館には「語り」という文化があるんです。運動会で組のリーダーをやったときに、300人に対して1ヶ月間毎日スピーチをするっていう。そのときに同級生が「語りがうまいよな」と言ってくれて。当時は冗談半分だったと思うんですけど、「お前アナウンサーとか向いてるよ」って言ってくれたんです。

井桁:そんなきっかけがあったんですね。

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喜入:基本的に運動会に対してはみんな前向きではあるものの、受験があるから乗り気ではない生徒もいるのは確かで。そういう人たちに対しても5〜10分、毎日しゃべらないといけないんですよね。どうしたら寝ないで聞いてくれるかなと考えていたのは、今の仕事にも生きているかもしれません。

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第64回修猷大運動会で選手宣誓をする喜入アナ。全校を4色に分けた300人を取りまとめるブロック長を担った。

藤本:僕らの時代は「語り」もなかったし、さっき言ったように4年制高校だったから(笑)、現役で合格した男子生徒がいたら「お前、どうしたとや?」「まぐれやろ」と言われていましたよ。それに比べて、しっかり受験する人たちがいる中で語るっていうのが本当にすごいですよね。

喜入:私も一浪して東大に入りました。でも、そのときは東大一本でした。予備校の友人にはリスクがありすぎて「人生終わったな」って笑われましたよ。でも、神宮球場で野球がしたかったので、東大に行くしかなかったんです。

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藤本:僕も現役のときは東大だけ受けましたけど、しっかり落ちましたからね。一浪してやっと東大に入った。で、弁護士になりたかったんです。だけど法律を勉強したときに、これは僕に合わない、って思って。公務員試験も受けたけど落ちましてね。もともと民間に行こうと思っていたのと、外国に住んでみたいという想いで双日の前身の日商岩井に入りました。入社当時の1981年といったら、外国に住むとなれば商社か銀行か、限られたところしかなかったんです。

井桁:英語はお話しできたんですか?

藤本:それが、外国に住みたいって言ってる割に全然英語ができないまま、入社5年目でアメリカに行くことになって。だからもう本当に、悪戦苦闘しながら英語を覚えましたよ。デトロイトで自動車の部品を扱っていたんですけど、電話が鳴るでしょ。「パードン? プリーズ スピーク スロウリー」って、こんな毎日でした。

でも、商社は向いていると思いましたね。外国に行くのも、物売りするというのも楽しかったし、法学部を出ていたので、契約書をしっかり読めるというのもプラスになりました。ところで、二人ともこのパンを知っていますか?

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喜入:懐かしい!「マンハッタン」ですね。このパンが描かれているバスが福岡を走っているんです。

井桁:食べたことがあるけど、バスになってたのは知らなかった。

喜入:マンハッタンの製造元リョーユーパンの会長も東大野球部出身なんですよ。

藤本:その会長ですが、実は日商岩井の出身なんです。彼はリョーユーパンの創業者の娘さんと結婚して会社を継ぐことになったという。双日はリョーユーパンとフィリピンでパン製造・小売りの事業をおこなっています。日本式のパンでフィリピンの食文化の発展に貢献していきたいですね。

現場で多くの人と関わるからこそ、オフの時間にもこだわりを

藤本:僕、喜入くんが担当している「THE TIME,」をよく観ているんですよ。九州に台風が来るっていうときにも、福岡に台風中継で行っていましたよね。

喜入:見ていただきありがとうございます。私は「THE TIME,」で事件の現場に行くというフィールドリポーターという立ち位置でもお仕事をしていたんですが、現場に行って、まだ何も情報がない中で自分の言葉で伝えるというのは大変ですね。でも、それを続けていたら「喜入に現場に行ってほしい」というオファーが「news23」という番組からもあって。2023年の1月から「news23」のフィールドキャスターを務めています。

井桁:すごい!アナウンサーのお仕事はハードな印象ですけど、オフの時間はどんなリフレッシュをされているんですか?

喜入:カメラを持って散歩に行ったり、古い地図を持って歩いてみたりしています。できれば歴史にまつわる古い情報とか、ゆったり時間が流れていたときのことを考えたいと思っていて。出張先で1泊延ばしてゆっくりしてみたり、地元のタクシーに乗って地元の言葉を理解するのを楽しんでいます。

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井桁:私は「この場に何を求められているんだろう」ということを考えてしまうことが多くて。自分が視聴者目線の常識人枠として番組などに呼ばれているのかとか。いろいろ考えて、反省をすることが多いんです。でも家に帰ってずっとくよくよしているのも違うかなと思って、芸人さんのYouTubeを観て笑ったり、頭をまっさらにできるようなものを見ています。あとは、クイズ番組に出演したときに知った印象的だった土地にも、1日あればどこかに行ってみるようにしています。

藤本:自分に求められることを考えるって難しくて重要なことですよね。

井桁:いまの私は歳上の方とのお仕事が多いのであえて甘えるというか(笑)。わからないことはなんでも聞きますし、見栄も張りません。自分の苦手なことや悩みごとを出すようにしていて、それをわかっていただくだけで素敵なアドバイスをもらったり、そこからより関係性を深められたりしますね。

仕事だけのお付き合いではなくて、その先の趣味とかに踏み込めたらいいなって。先に自分から開けばいいんだって気づいたのは『おしゃれクリップ』でのMCの経験が大きいんですね。私が失敗談を話せばゲストの方も話しやすくなって、一気に距離が近くなるんです。

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喜入:私は経歴を含めたキャラとして「喜入は一人でできる」と思われているところがあるんです。先輩に「わからないんですけど」と質問すると、「え、喜入がわからないの?!」と驚かれることもあって(笑)。

私は井桁さんのスタンスを取りづらくなっていますけど、人の名前を覚えて名前で呼ぶこと、挨拶することを大切にしています。アナウンス室はデスクワークしている人やのんびり休憩している人が同居している空間なので、「〇〇さん、お先に失礼します」と誰にかけている言葉なのかがわかるように気をつけていますね。

藤本:二人とも華やかな世界を想像してしまうけど、やっぱり裏では努力しているんですね。僕も苦手なこと、できないことははっきり伝えるけど、社員全員の顔と名前は覚えられないな(笑)。

喜入:入社してすぐに、「喜入くんって感じ悪いよね」って言われたことがあるんです。「なんで初対面なのにそんなことを?」といまも思いますけど(笑)、その一言がきっかけで名前と挨拶のことを大切にしようと思いました。

井桁:藤本さん、社長の仕事ってどんなことをするんですか?

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藤本:社長という仕事は、とにかく決めていくもの。いろんな情報が上がってきて、方向性ややるべきことを決めて指示を出していく仕事です。あとは部下から相談や報告があると言われたら、5分でも10分でも時間をつくって話すようにしています。海外駐在の人たちにも、帰国したら「ぜひ会いに来てね」と言っていて。社員とのコミュニケーションは大事にしていて、僕、ゴルフがすごく好きなんですけど、ゴルフを通して若い人たちとも話したりしていますね。

喜入:ゴルフもいいオフの時間になりそうですね。天気が悪い日などはどんな過ごし方をしているんですか?

藤本:雨が降ったら漫画を読んでますね。『キングダム』はずっと読んでいて、映画も観ました。長澤まさみさんと大沢たかおさんは本当にハマり役だったな。あと、最近は『スラムダンク』を読んでいます。

喜入:意外でした。親近感が湧きますね。

現在地から夢見る、それぞれの未来

喜入:井桁さんはお仕事の幅をどんどん広げていますよね。

井桁:『おしゃれクリップ』のMCはまさかできるとは思っていなかったお仕事でした。MCという役割を通して、改めて人の話を聞くのがすごく好きなんだなと実感しています。ゲストの方たちからお伺いした、プラスになることを自分に取り入れて、この出会いで人生が変わるかもと思っているところですね。その根底には、修猷館が個性の強い人が多い環境だったので、高校の時点でいろんなタイプの人たちと触れ合うという世の中を知ることができた、というのもあると思うんです。

喜入:仕事と修猷館が重なることってやっぱりありますよね。これから挑戦していきたいことはありますか?

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井桁:2022年は3回海外ロケに行けたんですね。もともと留学してみたいという気持ちもあったので、いつか海外には住んでみたいという気持ちが強くなりました。それがお仕事に繋がったら一番うれしいです。アメリカ、特に本場のハリウッドには行ってみたいですね。

藤本:僕もアメリカに住んでいたけど、井桁さんには、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルもおすすめですね。でもニューヨークが一番おもしろいかな。

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喜入:私はフィールドリポーターとしてのお仕事にやりがいを見出していますけど、いずれはキャスターになりたいと思っていて。そのためには人の気持ちや現場のことをわかりたいなと思い、今は下積みだと思って頑張っています。外回りで大変なこともあるし、寒いし、眠いし、大変ですけど。明日も雪中継に行くかもしれません(笑)。

あとは教育にもすごく興味があります。今の教育システムってテストの点数が大事じゃないですか。そこに違和感があって。いつか地元でどんな人でも無料で教育が受けられるようなことをやってみたいです。

藤本:僕はもう60代だし、社長になっているし、やり残していることはなんだろうな。社長になったときに掲げた年間純利益1,000億円を目指す、というのはもう達成できそうなので、「双日っておもしろい会社だな」と言われるような文化づくりをしていきたいですね。こういうやり方やアイデアがあったか!とか、資本はかからないユニークなビジネスとか、そういう会社にしていきたいですね。

井桁:藤本さんはなぜ社長になれたんですか?

喜入:これはストレートな質問ですね。私も興味があります(笑)。

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藤本:僕ね、出世は遅かったんですよ。2015年までは役員にもなっていないし、はじめて執行役員になって、半年で常務になって、そこから半年で専務になって、1年やったら社長になった。ひとつ言うと、負けん気は強いから筋を通すというか、ストレートに自分の考えを伝えるということをずっと通してきました。前の社長にもおべっかを使わなかったし。「もう少しカーブを投げろよ」と言われたこともありましたけどね(笑)。

井桁:じゃあ次の社長を選ぶときには、そういうところを見るんですか?

藤本:そうですね、ストレートにものを言える点は見るかもしれません。でも今日話していて、井桁さんも頭の回転がとても早くて、ストレートに伝えてくれるとすごく感じました。最初は世代が違うと同じ修猷館出身でも違うのかなと思ってましたけど、やっぱり井桁さんも喜入くんも修猷館でしたね。

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PROFILE

藤本昌義

1958年福岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、1981年日商岩井(現双日)入社。自動車畑を長く歩み、米国、ポーランド駐在を経て、ベネズエラに赴任しMMC Automotriz S.Aの社長に就任。その後、双日米国会社兼米州機械部門長、執行役員、常務、専務を経て、2017年6月から現職。趣味はゴルフ、座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」。

井桁弘恵

1997年生まれ、福岡県出身。福岡県立修猷館高等学校、早稲田大学人間科学部卒。映画、ドラマ、バラエティ、CM、雑誌など多方面で活躍中。出演番組は日本テレビ「おしゃれクリップ」MC、日本テレビ「ヒルナンデス!」水曜レギュラー、NHK Eテレ「NHK高校講座 地理総合」レギュラーなど。集英社『MORE』専属モデル、「ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2022」受賞。

井桁弘恵さん Instagram
https://www.instagram.com/igetahiroe23/

井桁弘恵さん Twitter
https://twitter.com/hiroe_igeta23?s=21

井桁弘恵さん Voicy
https://voicy.jp/channel/1566

喜入友浩

1993年カリフォルニア州生まれ、福岡市育ち。福岡県立修猷館高等学校、東京大学教育学部卒(硬式野球部キャッチャー)。TBSアナウンサー。現在は「news23」(フィールドキャスター/月〜金)、TBSラジオ「パンサー向井の#ふらっと」(木)、TBSラジオ「爆笑問題の日曜サンデー」(競馬実況)などを担当。過去には「THE TIME'」(フィールドリポーター/月・火)、「ひるおび」(水)、TBSラジオ「伊集院光とらじおと」(木)などを担当。

喜入友浩さん Twitter
https://twitter.com/Kiire_Tomohiro

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