双日株式会社

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ベトナムロンドウック工業団地事業

商社機能を駆使して競争力あるビジネスモデルを構築

2012年10月

(所属組織、役職名等は本記事公開当時のものです)

日本の製造業の海外進出の増加を背景に、海外における日系工業団地に対するニーズが高まっている。双日は現在、長年の実績の中で積み上げてきたノウハウと商社機能を活かして、ベトナム、インドネシア、インドにおいて工業団地事業を展開している。今回は、ベトナム・ドンナイ省ロンタン地区で建設が進むロンドウック工業団地事業について紹介する。

[ニュースリリース] 双日、大和ハウス工業、神鋼環境ソリューション、ベトナム・ホーチミン近郊に工業団地を設立

製造・物流拠点として最適な立地

ベトナムは近年、5~8%という高い経済成長率と35歳未満の人口が70%という豊富な労働力を背景に、日系企業を含む多くの外国企業が進出を検討しており、工業団地に対するニーズが高まっている。

現在建設が進むロンドウック工業団地は、ホーチミンより東に約40kmのドンナイ省ロンタン地区にあり、総面積は270ha(東京ディズニーランド6個弱)という広大なもの。大型船の接岸が可能なベトナムの主要港の一つ、カイメップ・チーバイ港まで約40kmと近く、また、2014年に開通予定の南部高速道路インターチェンジから車で約10分、2020年に開港予定のロンタン新国際空港からは14kmと、今後さらに国内・海外とのアクセスの利便性が高くなり、製造拠点、物流拠点として最適な立地にある。

同工業団地は2007年に投資ライセンスを取得。2012年より造成工事に着工し、2013年7月には竣工、翌8月には入居企業へのインフラ供給を開始する予定。造成地の一部引き渡しはすでに始まっている。
ロンドウック工業団地の売りは、さまざまなファシリティをワンストップで提供できること。例えば、双日ロジスティクスの物流機能、日商エレクトロニクスベトナムのIT機能、双日ベトナム会社によるガスの集中供給など。

同工業団地の事業会社であるロンドウック・インベストメント社に出向、最前線で指揮にあたる上原敦社長は、「お客さんは進出にあたってFS(フィージビリティスタディ=事業可能性の検証)を行う。その際に物流は非常に大きな要素になります。原材料や部品の調達にしても、双日ベトナムが情報を提供していく。お客さんのFSに関わる基本情報を双日の総合力を発揮して提供し、ロンドウック工業団地の付加価値を高めています」と話す。現在、工事は順調に進み、販売状況は日系の製造業を中心に内定を含めて約40%(2012年10月時点)に達しているという。

電力の安定供給を実現した変電所設置

工業団地にとっていちばん重要なインフラは電気と水。「電気と水の確保を現地の電力公社や水道公社と、排水に関してはドンナイ省と日々調整を行ってきました。変電所を工業団地のできるだけ近くに設置することは電力の安定供給にとって非常に重要なことです。電力会社と交渉の結果、すぐ近くの工業団地で計画されていたものをロンドウックに持ってくることに成功しました」(上原社長)。

これを可能にしたのは、双日が1996年に同じドンナイ省で開発し、現在も運営管理を行っているロテコ工業団地において、同省および同省傘下の電力公社、水道公社と非常に良好な関係を構築できていること。ベトナムの電力事情は需給関係が非常に逼迫しており、水力発電による供給が追いつかない乾季には工業団地に「電力のピークカット要請」が来る。

「ロテコでは、非常用自家発電装置を使って電力会社からの供給量を減らすことに協力してきました。この互恵関係により、ドンナイ省で20軒ぐらいある工業団地の中で、ロテコ、他1社だけは計画停電の対象から外してもらっている」。ロンドウックでの電力の安定供給を可能にしたのは、電力政策に対する協力体制から生まれた信用力といえる。

先鞭となったロテコ工業団地

ロテコ工業団地は、ロンドウックから車で25分ほどの距離に位置し、すでに販売区域は完売。ロンドウック工業団地の販売にとっては格好のショールーム的存在であり水先案内の役割も担っている。同工業団地を運営するロテコ社の風間賢雄社長は、「ロンドウックのお客さんにとって、実際稼働しているロテコが見本としていちばんわかりやすい。ロテコをしっかりマネジメントしないとロンドウックの売れ行きやマーケティングに影響するから、緊張感を持ってやっていこうとスタッフに伝えています」と話す。

ロンドウックとの違いについては、「ロンドウックは最初から総合商社の機能をフルに活かした取組みを図っています。物流、原料・資材の売り込み、需要が高いガスの売り込み、クラウドコンピューティングなどのIT機能。そういうものを加味して双日の総合力を発揮できる部隊をつくりあげることができる。96年当時の工業団地にはそういう考えがありませんでした」という。

双日からはロンドウックに2名のスタッフが出向し、現場の運営にあたっている。いちばん大事なことは、「工業団地はサービス産業であり、お客さま第一。顔の見える経営で、きめの細かいサービスを提供する。それを忘れないことです」。その風間社長はドンナイ省から名誉市民の称号が贈られている。「ドンナイ省が6年ぶりに日本で投資セミナ―を開催するにあたり、双日本社やパートナーのネットワークを通じてお手伝いをしたのですが、非常に盛況なものになりました。その感謝の意味だと思いますが、これは個人というよりは、双日全体でいただいたものだと考えています」。

同省における双日の取組みについては地元からの信頼もあつく、多方面からのサポートも得られている。
「ベトナムを発展させるためには輸出を伸ばさなければならず、彼らとしては工業団地に外資をどんどん呼び込んでほしいという思惑があり、我々の目的とうまくマッチしています。我々が努力すれば、彼らもそれに応えてくれる。この国で仕事をするには、許認可をはじめ政府のバックアップがとても大事ですから」。
工業団地をベースにして「ベトナムの双日」の復活を図りたいと風間社長はいう。

本社と現地がチームとなって動く



海外で工業団地を運営していく際の難しさ、苦労はどこにあるのか。海外開発建設部の鎌田雅彦担当部長は次のように指摘する。

「工業団地は経済情勢の変化に影響されやすいセンシティヴな事業であり、このリスクは常にある。つまり、お客さんにとっては進出する国をどう見るかがいちばんのポイントになります」。決め手は、土地を買ったあと安心して製造ができるかということ。製造したものを売る内需があるか、日本や米国などに輸出するために安くできるか。土地代や労働力、インフラ整備などの要素を加味して判断していく。「それが基本です。そこに日系が運営しているという安心感と同じ国やほかの国での工業団地の実績が加わって、最終的に決められるのだと思います」。

本社と現地とのコミュニケーションという点では、「明確な役割分担がある中で、週に1回、駐在員とこちらの担当者が全員出席してテレビ会議を行い、開発状況や販売状況、資金の話など、密に連絡を取り合って情報を共有。チームとして一体となって動いています」。

また、ロンドウック工業団地を東京本社からサポートしている海外開発建設部海外開発建設課の宮田和志とチャン・ティ・トゥ・フォンは次のように意欲を見せる。

「これから海外へ展開を図ろうという進出企業の方々は非常にアグレッシブ。誘致の際にも双日グループとして物流機能の提供や原材料の供給など、商社機能をフルに活かし、双日ならではの工業団地を提供することで、長期にわたるWin-Winの関係を築きあげたい」(宮田)。

「本社におけるロンドウック事業会社の管理業務や顧客への営業活動を担当しています。顧客やチームメンバーへの情報提供をはじめ、ベトナム人という強みを活かした顧客フォローができるようにステップアップしていきたいと思います」(チャン)。

安心感と一貫したサポート体制が強み

ロンドウックの強みは、日本の企業がつくり、日本人が運営する工業団地であることが日系企業に与える安心感と工場立ち上げから操業に至るまでの一貫したサポート体制にある。「日本流のやり方で緻密かつ的確、迅速にニーズに対応する。それを常に心がけています。その評価が高まっているという実感はあります」(上原社長)。

安心感とは、実際に進出した企業が困った時に、日本人が日本語でちゃんと対応できる体制があること。「これは経験しないとわからないかもしれませんが、例えば海外で病気になって入院しなければならなくなった時など、日本語の話せる医師がいれば非常に心強いはずです。双日のスタッフが工業団地に常駐しているのは、海外の病院で日本人医師がいるようなもの。これはロンドウック工業団地の大きなアピールポイントだと思っています」。

上原社長は2013年8月の本格始動に向けて、「インフラの設備をきちんと仕上げていくこと。2013年の時点で販売進捗率を半分以上クリアしていること。さらに、それまでにスタッフをきちんと揃えて鍛え、お客さんをサポートできる体制をつくること。ひとつずつ地道に積み重ねて進めていきます」と意気込みを語った。

プロジェクトメンバーの声

齋藤弘幸
2011年末に当地へ赴任していちばん感じているのは、入居を検討されているお客様の真剣度です。工場を作るということは大きな投資になりますが、当地を訪れる企業トップの真剣度、熱の入れようは実際にこの地に来てみなければ感じることができないものでした。これからも双日グループの総合力を結集させるためのコーディネート機能を発揮し、早期完売をめざしていきます。

庄司寛生
海外短期トレーニーとして当地に赴任しました。主な業務は2つ。ロンドウック工業団地の規程集の整備とお客様からの質問への対応などの営業サポート業務です。これだけは誰にも負けないと自信を持っていえるようなものを身に付け、工業団地ができた時にはお客様やメンバーの方々と一緒に喜びを分かち合えるよう精一杯努力します。

杉浦崇
現在は営業のサポート業務に携わっています。周りの方に質問ばかりしていた赴任当初に比べて、ようやくお客様の相談・質問にも自信を持って対応できるようになってきました。深く関わったお客様に入居していただき、また、少しでも感謝されるように全力で頑張っていきたいと思います。

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