双日株式会社

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トルコ病院事業

~トルコにおいて病院施設運営事業に参画~

2018年4月

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完成予想図

(所属組織、役職名等は本記事公開当時のものです)

日本企業初の海外病院PPP*
医療事業という新しい分野へ進出する足がかりに

トルコ政府は2002年に医療改革プログラムを策定、2008年に皆保険制度を導入した。その結果、医療給付範囲が拡大し、平均寿命(10年前の71歳から75歳に)や乳幼児死亡率など多くの指標が改善された。一方で、患者数が急増し、医療改革の総仕上げとして国営病院の近代化と医療サービス向上のため、官民が連携して公共サービスの提供を行うスキームによる病院の整備を始め、総病床数5万5,000床規模を掲げて入札を開始した(現在は4万床)。

*PPP:Public Private Partnership(官民連携事業)

事業概念への共感「これはいける」

イキテリ総合病院はイスタンブール市に位置し、病床数は2,682床。本事業の総事業費は約2,000億円、うち双日は300億円の投融資を予定。開院は2020年を予定している。

本案件の情報を最初に入手したのは2015年6月。EPC(設計・調達・建設)ビジネスを展開していたルネサンスグループのエルマン会長(当時)から話があり、対応することになった。ただ、当初は病院事業の経験がなかったことなどから躊躇があった。しかしながら、トルコでは病院の拡充が必要とされており、政府が後押しをしている。また医師の手配、患者集め、医療行為はトルコ政府が行い、設計・建設はルネサンスグループ、資金集めは双日、施設運営は両社の事業会社の役割となり、リスクが限定的となった。

事業のすそ野が広がる病院事業への参入

環境・産業インフラ本部 医療インフラ推進室の鯉沼室長は、「日本の医療の海外展開というのは残念ながら、まだ進んでいない。ただ今回トルコから日本の融資も含めた日本の医療システムの導入、ということに関して検討してもらいたいという話があったので、これはまさに“渡りに船”で、チャレンジしようと思いました。結果として、我々が事業に入ることで、日本の医療のノウハウをそこに持っていき、JBICやNEXIといった公的機関のサポートを得て、ファイナンスクローズを無事できることになりましたので、これはきっちり仕上げていきます」と語る。

本件は約30名による社内プロジェクトチームを発足させ、毎月1回、進捗報告をしていたが、なかなか予定の通りに進まず、当初は2016年12月にファイナンスクローズするはずが、総事業費約2,000億円の大型プロジェクトのため、特に融資の組成、銀行へのアプローチや取りまとめに徹夜を要した日々もあった。しかし、この案件に関わったすべてのメンバーがタッグを組んで諦めず、とにかく会話をして課題をひとつひとつ解決したことで、受注に至った。

藏田は、「ルネサンスとは10年以上のつきあいがあり、トルクメニスタンやロシアのプラントでの実績から今回の案件紹介へとつながりました。意思決定のプロセスやスピード感が異なることには骨を折りましたが、やはりルネサンスとのつきあいがあったからこそ実を結んだ案件だといえます。病院事業に参入することで当社の事業のすそ野が広がったし、今後、医療機器、診療機材、医薬品などのトレードにもつなげていきたいですね」と新たな展開を思い描く。

ファイナンス関連の窓口を担当した石黒は、「相当な数と本質的な問いかけの1万本ノックでしたが、それが逆に物事の本質を突き詰めることになり、互いに真摯に対応することで信頼関係を築けました」とルネサンスとの連携の成果を強調する。彼らが口を揃えていうのは、「今回はとにかくチームワークが非常に良かった」ということ。30名規模の営業・職能のプロジェクトチームとなったが、全員が「あきらめないこと。良く会話をすること」をキーワードに、力を合わせて勝ち得た案件といえる。

7月の開所式では、トルコと日本の旗が街路灯の至るところに掲げられ、ルネサンスと双日のロゴが入った旗も一緒に並んでいたとのこと。また、大統領が式典に参加した映像がニュースで流れると、ナショナルスタッフは皆驚いたという。

「これをモデルケースにして、将来的に拡張性、多様性が期待できるヘルスケア分野において、我々自身と我々以外の日本企業も一緒に巻き込む形で、リスクが限定的な本件を通して病院施設の運営ノウハウ、効率運営手法を習得し、医療事業という新しい分野へ進出する足がかりとしたいし、まずは2020年10月の開院に向けて本件を成功させたい」と鯉沼室長は目を輝かせた。

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病院建設予定地

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7月に行われた開所式にてエルドアン大統領と佐藤会長

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