双日株式会社

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インドネシアにおける総合都市インフラ開発事業

デルタマス・シティ・タウンシップ開発

2016年7月

デルタマス・シティの完成予想図。手前が住宅・商業地域、奥が工業団地
(所属組織、役職名等は本記事公開当時のものです)

「インドネシアに、医・職・住を提供できる安心・安全な副都心をつくります。ここからが始まりです」。
産業・都市基盤開発部開発第二課課長の余根田紳次は、デルタマス・シティ・タウンシップ開発(以下、デルタマス)の完成予想図を示しながら断言した。

地図に残る仕事

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東京のJR山手線とデルタマスとの広さの比較図

世界第4位の人口とASEANトップのGDPを誇るインドネシア。首都ジャカルタの中心部から高速道路沿いに東へ37㎞、西ジャワ州ブカシ県、ここにブカシ県庁を誘致して3,000haに及ぶ広大な敷地に新しい街をつくる。山手線圏内の約半分に相当する面積だ。

「日系企業が参画する世界最大規模の街づくり、地図に残る仕事です」と開発第二課の日野陽太がにこやかに言う。

この計画は20年前の1996年、インドネシア最大級の華僑財閥であるシナルマス・グループと組み、住宅開発用の土地を買収することから始まった。しかし、その直後、アジア通貨危機に直面し、計画遅延を余儀なくされる。とはいえ、道路・電力・給水・排水・通信・ガスなどのインフラ整備は必須だ。最初にインターチェンジをつくり、そこからの導線整備を開始。その後も県庁、大学を誘致しながら、約15年もの長きにわたり、資金繰りに苦しみつつも地道にインフラ整備に取り組む日々が続いた。

そして2010年、突然、転機が訪れる。

時機を得る

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2015年5月、インドネシア証券取引所に上場
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デルタマス内の実際の街並み
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ブカシ県庁
どんな事業でも、時の運というべき時代の要請に応えることができれば強い。デルタマスは、その機運を見逃すことなく掴んだ。

2010年、インドネシアの国民1人当たりGDPが3,000米ドルを超え、モータリゼーションが急速に進展した。同国内の自動車生産・販売台数において年間100万台が見えてくると、日本の自動車部品メーカーが現地に進出し始めた。さらに、2011年3月11 日に日本を襲った自然の脅威は、復旧作業と電力不足による混乱を招き、追い打ちをかける円高に、多くの日本企業が海外へ事業拠点をシフトする必要性を痛感した。その数ヵ月後、今度は日系企業の多くが拠点を確保していたタイが大洪水に見舞われ、新たな海外拠点としてインドネシアの重要度が突如増すのである。

今まで地道にインフラ整備を続けていたデルタマスが、新規販売のタイミングを掴み、突然脚光を浴びた。2010年、最初の自動車部品メーカーの進出が決まると、弾みがついたように開発区画が売れていった。

事業のすそ野が広い自動車産業は、さまざまな企業の呼び水となり、今では86社(うち日系企業が69社)が入居するに至る。

2015年には、デルタマスを運営する総合都市開発事業会社のプラデルタ・レスタリ(PT. Puradelta Lestari Tbk.)が、インドネシア証券取引所に上場するまでに成長し、配当を実行、株主ローンも完済した。

「道路整備から始めた先人たちの苦労が、この時、報われた。最初の日系企業への区画売却からたった5年でここまで到達できるとは思わなかった」と、デルタマスに出向中の志村和雄は感慨深げに語る。工業団地の売却資金で、さらなる住宅・商業地区の開発に打って出ることができる。

総合力

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緑化によるCO2削減を視野に苗木栽培から推進(数値は苗木の株数)
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イオンモールやコンビニ、日系銀行など商業施設も誘致
2016年3月、デルタマスを視察した社長の佐藤が語った。
「デルタマスは、工業団地の域を超えた。工業団地の企業誘致で人口が増え、それに伴って住居・ホテル・学校・病院・商業施設が必要になる。総合的な街づくりの域に入った。まさに総合商社としての腕の見せどころだ」。

街づくりとは、開発し、インフラを整備して、土地を売ったら終わりではない。開発事業と運営事業という異なる2つの事業の推進が必要になる。双日の全グループの英知を結集すべきプラットフォームになるのだ。一つの事業にここまで多くの部署やグループ会社が横断的に関わることは珍しい。

住宅は日系デベロッパーとのジョイントベンチャー事業なども含め約5万戸、イオンモール誘致や短・長期出張者向けアパートメントの開発、日本食レストランの完備、日本人医師が常勤する病院やスポーツセンターの整備、大学や日本人学校の誘致と、県庁も兼ね備えた街をつくっていく。雇用創出による経済発展への貢献と安心・安全な暮らしのため、防犯インフラ整備、省力化、デルタマス内で植栽される樹木を自前で苗木から栽培するなどCO2削減にも努めていく。

この壮大な計画を担当するのは、産業・都市基盤開発部の水池 祐部長を筆頭に、東京本社に6名、インドネシアの事業会社には出向者4名を含むスタッフ約400名。双日グループのインドネシア・ビジネス展開のプラットフォームとして、デルタマス開発にますます期待がかかる。

デルタマスを推進する双日のメンバー
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産業・都市基盤開発部
前列左から、舘入博則副部長、水池祐部長、志村和雄、
後列左から、吉野高夫、余根田紳次課長、日野陽太、塚田竜也、角田 吉行

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インドネシア駐在メンバー
(デルタマスのマーケティングオフィスの前で)

左から、三木久徳、志村和雄、小泉匡弘、井村壮一

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