フィリピン自動車事業

~強い地域で強みを拡大する~

2016年3月

2015年1月に行われた新工場開所式にはアキノ大統領(中央)が出席。社長の佐藤は右から4人目

(所属組織、役職名等は本記事公開当時のものです)

フィリピンにおいて、Mitsubishi Motors Philippines Corporation(以下、MMPC。双日49%出資)が推進する自動車事業は同国の雇用、各産業に大きな経済効果を及ぼしている。『中期経営計画2017』初年度において、MMPCは新工場の設立、そして自動車販売金融事業への拡大と、強みを活かした新たな事業領域に挑戦中である。MMPCの事業展開の軌跡とその主管部である自動車第三部を紹介する。

事業拡大

2016年2月1日と2月10日、自動車第三部が立て続けにニュースを放った。

『フィリピンの自動車生産・販売会社 同国の自動車産業育成政策「CARS Program」への参加を表明』
『双日、フィリピンで自動車販売金融市場に参入』
自動車第三部の主軸のひとつは、Mitsubishi Motors Philippines Corporation(MMPC)だ。フィリピンにおいて、三菱自動車工業㈱製品の輸入・組立製造・販売を行っている。同国内の販売シェアは約20%、競争激化の中、トヨタに次ぐ業界第2位の地位を確立している。

2016年2月10日、三菱自動車工業㈱の益子会長、双日の段谷副社長、部品サプライヤー幹部同席の下、アキノ大統領(ベニグノ・アキノⅢ世)に対し、MMPCはフィリピン政府の自動車産業育成政策に正式に参加の意志を表明した。生産規模の増強に応じ、今後、さらなる投資と現地雇用の拡大を進めていく。

この主軸事業をしっかり守ったうえで、日本の信販大手㈱ジャックスや現地最大の商業銀行などに呼びかけ、フィリピン国内に、三菱自動車専門の個人向け自動車ローン販売会社を合弁で設立する計画に打って出た。同国の旺盛な個人消費をターゲットに、MMPCの販売拡大に貢献できる。

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自動車産業育成政策への参加表明で、部品メーカー20社を含め参加企業のトップが一堂に会した。双日からは副社長の段谷(前列右から4人目)が式典に参加

信頼

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フィリピン政府の自動車産業育成政策への参加を表明し、アキノ大統領(中央)と握手を交わす三菱自動車工業の益子 修会長(左)

フィリピンのアキノ大統領がMMPCに寄せる信頼は厚い。大統領自身の両親が渦中の人となった1980年代の政情混乱期、資本逃避のため、多くの海外企業がフィリピンから撤退する中、MMPCは現地にとどまり続けたからだ。

現在でも、フィリピンは近隣のASEAN諸国に比べて海外からの直接投資が少ない。相次ぐ政情不安と汚職問題を抱えた国というイメージが、海外投資家の間に定着してしまったからだ。このため、国内の雇用創出が不十分で失業率が高く、人口の1割にあたる約1,000万人が、在外フィリピン人労働者(OFW : Overseas Filipino Workers)として海外で働かざるをえない状況にある。

「製造業の中でも、産業のすそ野が広く、雇用創出力が高いのは、やはり、自動車産業だ。フィリピン政府の政策に賛同して、MMPCが日系部品メーカーのフィリピンへの進出を促し、自動車部品産業のすそ野を拡大、自動車産業全体を活性化し、フィリピンの産業基盤強化と現地雇用の拡大に貢献していく」と、自動車第三部第一課課長の似内隆継は決意を語る。

『あきんど』と『ものづくり』

MMPCの歴史は、今からおよそ50年前にさかのぼる。

マルコス政権が1972年に発表した自動車国産化計画により、GM、フォード、フォルクスワーゲン、トヨタとともに、三菱自動車がフィリピン政府の国内製造認可を得る。同年、フィリピンのクライスラーの子会社を日商岩井(当時)と三菱自動車が買収する形で新会社を発足させた。これ以降、現在に至るまで、双日からは「営業・マーケティング」と「財務経理」の責任者が、三菱自動車からは「製造」の責任者である社長が、フィリピンに常駐することになる。

「双日と三菱自動車との関係は、『あきんど』と『ものづくり』。いいものでなければ売れない。けれど、いくらいいものを作ったからといって、売れるわけではない。売るためには、現地ニーズをつかんだマーケティングも重要。双方の役割分担を明確に決めて棲み分けし、『あきんど』と『ものづくり』が切磋琢磨する中で、MMPCは成長していった」
と、MMPC発足から10代目の『あきんど』として現地に駐在した古橋泰造(自動車第三部)は語る。

1989年と1998年には、フィリピン国内の販売台数でトヨタを抜き、第1位を獲得。着実に市場での地位を確立してきた。

「販売網となるフランチャイズのカーディーラー・オーナーと、一枚岩になる信頼関係を築いていくことも重要。きめ細やかに人心をつかむ営業を歴代のメンバーが地道に行ってきた」と保坂喜久(自動車第三部)。

フィリピンの国土は小さな島々の集合体だ。北から南に至る販売網の展開が非常に難しい。それを50年かけて全土をカバーする約50店舗の販売体制をMMPCは確立してきた。この『あきんど』たちをバックアップする財務経理の責任者・CFOは、財経部門のプロたちが歴任している。


同じ夢

2015年、フィリピンの国民一人あたりのGDPは3,000米ドルに達した。経済発展段階の特徴として、この数値が分岐点となり、モータリゼーションと都市化が急速に進展する。2015年の年間自動車販売台数は、前年比19%増の約32万台。このうちの5.4万台をMMPCが占有する。

MMPC事業のメンバーはフィリピンに5名、自動車第三部には部長の高山幹久を筆頭に12名。フィリピン経済発展への貢献が、MMPCの発展につながり、ひいては自動車第三部の経営計画の達成につながる。2016年は日本とフィリピンの国交正常化60周年。この記念の年に、フィリピンの発展を願い豊かな未来を願う現地の人々と、自動車第三部は同じ夢を描きながら、事業拡大に挑んでいく。

MMPC事業に携わる双日のメンバー

(所属組織、役職名等は本記事公開当時のものです)

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自動車第三部
前列左から、部長の高山幹久、保坂喜久、似内隆継、古橋泰造、
後列左から、苅部文子、月城祥恵、松岡 舞、二瓶晴哉、小倉茂、柴山拓郎、田中友康


MMPC

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西 洋祐(左)と高村和樹(右)

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増田純也(左)と山田賢輝(右)

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柴田博文

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