グリーンポリエチレン事業

~石油依存からの脱却と地球温暖化防止の観点から注目されるグリーンポリエチレンの普及を目指す~

2014年8月

(所属組織、役職名等は本記事公開当時のものです)

双日は、南米最大の化学メーカーであるブラスケム社(本社:ブラジル・サンパウロ)最大の外国人株主であり、40年以上の取引関係を有している。2012年には双日プラネットが、同社製のサトウキビ由来樹脂であるグリーンポリエチレンの販売代理権を獲得、日本に加え、アジア・オセアニア地域に販売している。石油依存からの脱却や地球温暖化防止の観点からも注目されるグリーンポリエチレン事業について紹介する。

[ニュースリリース]双日、ブラジル・ブラスケム社から植物由来樹脂のアジア向け販売代理権を獲得

グリーンポリエチレンとは…

グリーンポリエチレンは、主にポリ袋やプラスチック容器の原料となる、植物由来の樹脂のこと。主原料のサトウキビは、その育成段階で光合成によりCO2を吸収しているため、廃棄物として焼却される際のCO2排出量をゼロ(カーボンニュートラル)とみなすことができる。そのため、製造・輸送工程を含めても、従来の石油由来ポリエチレンと比較してCO2排出量を最大70%削減することができ、石油依存からの脱却と地球温暖化防止への貢献が期待できる。近年の原油価格の高騰、企業の社会的責任などの観点から、グリーンポチエチレンへの注目は徐々に高まっている。

pj1408_02_01.jpg pj1408_02_02.jpg
グリーンポリエチレンの主原料となるサトウキビ グリーンポリエチレン

グリーンポリエチレンの将来性を見込んで

pj1408_03.jpg
片岡 幹芳
(双日プラネット 包装資材第1部副部長)

原油価格の高騰や環境意識の高まりなどから、ここ数年、植物由来のプラスチック「グリーンポリエチレン」が注目されるようになってきたが、製品自体はすでに2000年前後からあった。双日には、2007年にブラスケム社から「日本をはじめとするアジアでグリーンポリエチレンの販売をやってもらえないか?」と依頼が舞い込む。ブラスケム社は南米最大の石油化学会社。双日と同社は、自動車タイヤなどで使われる合成ゴム原料のブタジエンや、ハイオクタンガソリンの添加剤となるバイオマス燃料「バイオETBE」の分野などにおいて40年以上の取引実績があった。

双日プラネットでは、2007~2008年頃に新規事業タスクフォースの一つとしてグリーンプラスチック分野を取り上げ、同分野への参入の可能性について調査した結果、市場規模は将来的に間違いなく拡大する方向、との結論に至った。一方で営業の現場では、「従来のプラスチックに比べて値段が高い。植物由来というだけではすぐには売れないのではないか」との考えが根強く、二の足を踏んでいた。

その後2011年に再度ブラスケム社から声が掛かる。当時、米国に駐在し、ブラスケム社との窓口を担当していた片岡は、グリーンポリエチレンの将来性を考えて、本販売はやったほうがいいと感じていた。「値段は高いが、品質的に石油由来のプラスチックと変わらないのであれば、取り扱う価値があるはずだ」。ブラスケム社のグリーンポリエチレンの品質の精査やマーケティングを約1年かけて実施した結果、石油由来のプラスチックと遜色ない品質であることが実証され、またマーケット調査でも悪くないデータが出た。こうして双日プラネットとしてグリーンプラスチック事業に取り組むことを決めた。

劇的な市場環境の変化、営業手法を模索する日々

pj1408_04.jpg
大八木 潤
(双日経営企画部/前 双日プラネット包装資材第1部)

2011年3月に東日本大震災が発生してから環境に対する空気が一変。原子力発電所の稼働率低下を火力発電所がカバーする必要が出たことなどから、それまで高まっていたCO2削減の声もあまり聞かれなくなった。さらに、シェールガス由来による安価なプラスチックの登場など、グリーンポリエチレンにとってのネガティブファクターが次々と出現。「やってやろう」と思っていた矢先に一気に風向きが変わったのである。そうでなくとも販路の拡大はなかなか厳しいと見ていただけにそれは大きな痛手となった。

販売開始当初はとにかく売れなかった。そして大八木の試行錯誤が始まった。「それまでのグリーンポリエチレンの売り先はプラスチックのフィルムや容器、包材などを製造するプラスチック加工メーカーでしたが、それを最終的に買うのは食品や化粧品などの製品のブランドオーナー。商品を選択する決定権を持つブランドオーナーを説得することから始めました。」また、その説得には、グリーンポリエチレンに対するイメージを変える戦略を取った。「環境にやさしいから使ってください」といくら説いても、コストが高いと「ボランティア活動はちょっと」といった具合でなかなか首を縦に振ってもらえない。そこで、“グリーンポリエチレンを使うことで企業価値が上がる”というイメージを打ち出せることを説得、これが奏功した。

pj1408_05.jpg
東京ビッグサイトにて行われた「2014NEW環境展」、そこで掲げたCO2ゼロを表す「0」

さらに、プラスチック加工メーカーにもこの販売戦略を紹介し、グリーンポリエチレンを拡販ツールとして使うことを提案した。従来の石油由来のプラスチックのフィルムや板はどの加工メーカーが作っても差別化の余地がほとんどないが、「環境にやさしいフィルムです」、「企業イメージの向上にもつながりますよ」といってブランドオーナーに持っていくことで差別化が出来る、興味を持ってもらえる。「仕入れ価格は多少高くなっても、それを負担する以上のメリットがあった。」と加工メーカーに受け入れてもらうことが出来た。

pj1408_06.jpg
「2014NEW環境展」ではグリーンポリエチレンの採用事例を多岐にわたって紹介

「このように拡販ツールとして提案したところが一つの大きなソリューションでしたね。それ以降はグリーンポリエチレンも従来の石油由来のポリエチレンと同じ値段で買ってくれる多くの加工メーカーの一団が自然とできて、我々の強い味方になってくれました。お蔭さまで2012年からグリーンポリエチレンを採用してくれる事例が増え、2013年の環境展で展示した採用事例は25点ほど。2014年の環境展ではその2倍近い45点ほどまで増えました」と大八木は振り返る。

「環境樹脂といえば双日プラネット」を目指して

pj1408_07.jpg
グリーンポリエチレンが使われている製品であることを示す双日プラネットのオリジナルロゴ「So Green」

本案件がスタートして約3年。2020年の東京オリンピックも決定し、一時的に下がっていたCO2排出削減の意識も徐々に戻ってきている。双日プラネットはグリーンポリエチレン以外の環境樹脂(植物由来の樹脂)も取扱っており、今後も種類を増やして品揃えの多さで国内商社の先頭を走る構え。また、2014年5月にはグリーンポリエチレンを自社製品に採用する中小企業向けに市場開拓支援事業も始めた。環境コンサルティング会社と業務提携を締結し、連携して製品の開発から販売戦略、新規顧客開拓まで支援している。

「オリンピックが決定してからは、追い風が吹いてきたことを実感しています。我々も知らないところから『御社はグリーンポリエチレンの代理店ですよね』と引き合いがくるほどです。こうなるまでは大変でしたが、あとはこの機運をしっかりと捉え、結果につなげていくのみです」と大八木は熱く語る。
「環境樹脂といえば双日プラネット」といわれるための取り組みは今後も続く。

双日プラネットが扱うグリーンポリエチレンを使用した製品例

pj1408_08.jpg

プロジェクトメンバーの声
片岡 幹芳(双日プラネット 包装資材第1部副部長)

合成樹脂の専門商社である双日プラネットのメイン商売は、石油由来の合成樹脂原料の取扱いです。植物由来の樹脂は今はまだニッチなマーケットではありますが、そこで我々が需要を創出していくという使命を持って取り組んでいます。それぞれの相乗効果を意識しながら、ニッチな産業のサプライチェーンのピラミッドのすそ野を広げていきたいと思っています。
pj1408_09.jpg
長村 和彦(双日プラネット包装資材第1部第3課)

グリーンポリエチレンの取扱いの難しさは、今までと商談相手が異なるということです。グリーンポリエチレンの良さを理解してもらうためにはプラスチック加工メーカーさんだけでなく、ブランドオーナーにも、その良さを理解してもらう必要がありました。さまざまな人に話をし、たくさんの失敗もしましたが、今ではグリーンポリエチレンの良さを自らアピールしてくださる多くのメーカーさんに支えられています。これからもグリーンポリエチレン取扱量拡大を目指してまい進していきます。
pj1408_10.jpg
笹岡 智憲(双日プラネット包装資材第1部第2課)

グリーンポリエチレンはまだまだ発展途上ですが、これからはさまざまなところでより自然環境への意識が強くなっていくと思われます。「環境樹脂といえば双日プラネット」といち早く言われる存在になるように、これからもグリーンポリエチレンの良さを訴え続けていきます。
pj1408_11.jpg
杉山 賛太(双日プラネット包装資材第1部第1課)

グリーンポリエチレンはコストが高いというイメージがあり、その良さを理解してもらうまでの苦労はありますが、これは必ず世のため、社会のためになるという想いのもと毎日奔走しています。勝負はまだ始まったばかり。グリーンポリエチレンを通じてどのような新しいビジネスを作っていくか、取引先と共に成長する戦略を考えながら、世にあるポリエチレンをどんどんグリーン化していきたいと思っています。

サイト内検索