双日株式会社

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ショッピングセンター事業

10年間の実績を基盤に新しいSC事業の拡販・拡大をめざす

2013年8月

(当ショッピングセンター事業は、掲載時の2013年8月当時、双日新都市開発株式会社にて行っておりましたが、2014年4月に、双日商業開発株式会社が同事業を継承致しました為、記事内の社名等も、双日商業開発に修正致しました)

かつては「作って売る」の不動産開発の視点で取り組まれてきたショッピングセンター(SC)事業。 双日はこれを、不動産事業ではなくリテール事業と位置付け、「顧客に評価される運営機能」を基盤とした事業展開を図っている。今回は、モラージュ菖蒲を中心に、開発後売却に至るまでの運営、そして今後の双日のショッピングセンター事業の展望を紹介する。

[ニュースリリース]双日、埼玉県で大型ショッピングセンターを開発
[ニュースリリース]保有資産であるモラージュ菖蒲の売却を決定 今後もプロパティマネジメント会社として運営を継続

リーマンショックの影響で非常に厳しい船出

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双日の本格的な大規模SCへの参入は、「モラージュ佐賀」を開業した2003年にさかのぼる。これは、消費者ニーズの多様化による総合スーパーから専門店へという時代の流れ、1998年前後の法改正による大型SC建設の規制緩和などがきっかけだった。

以降、2004年に「モラージュ柏」、2008年には「モラージュ菖蒲」を開業した。双日商業開発の河野代表取締役は、「菖蒲店オープンの際には、リーマンショックの影響で、当初出店を予定していたテナントが急遽取り止めるなど、開業3ヵ月前でまだ出店契約を結んだテナントが6割ほどという青ざめる状況。非常に厳しい船出でした」と当時のことを話す。「開業後も、一部のテナントは思うような売上を上げることができず、店をクローズして出ていってしまう。業界ではこれを“壁が立つ”といいますが、残った店舗がどうやって売上を上げたらいいか、何とかしなければいけないと考え続けた時期でした」。

規制緩和以降、各所で大型SCの開発が進み、消費者の選択肢は増え、テナント側はどの施設に出店すれば売上が上がるのかを意識する。強いSCだけが生き残れる時代の中で、売上を上げるテナントや集客力あるテナントに対して集中的に販促するなど、試行錯誤を続けた。

双日商業開発の運営によるSC事業

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菖蒲店のテナント売上は、開業以来4年半で約30%の増加。佐賀店、柏店も売上を伸ばしている。運営を担うのは、双日商業開発本社と現地のマネジメントオフィス(現地MO)で、総勢48名(本社14名、現地34名)。

SC事業運営は大きく3つ。1つ目が、リーシング(※テナント誘致)やイベント・販促を通じた集客等「施設売上向上業務」。2つ目が、施設管理における品質向上や管理コストの適正化を図る「運営管理業務」、3つ目が売上金管理や会計対応等の「会計経理業務」。

新規テナントとの折衝という入口部分を担当するSC企画推進部の中野部長は、リーシングに関して、「マーケットから低い評価を受けると、それを改善するのは簡単ではありません。そのため、菖蒲店についても、開業当初からスピード感を持ってやらなければならないという意識は常に持っていました。初めはまったく会ってもらえない、会っても明らかに話を聞いてもらえないという状況から、様々な工夫を重ねた結果、徐々に手ごたえを感じる様になってきたのは菖蒲店開業2年目ぐらいから」と話す。テナント売上が上がれば、それが口コミで広がり、さらに優良なテナントが入る。その最も象徴的な出来事が今春に実現した大手アパレルブランドの菖蒲店出店だという。

「実は、このテナントさんには過去4度出店を断わられました。菖蒲店の周辺エリア内に複数出店しているため成り立たないというのが最大の理由でしたが、菖蒲店開業から約4年が経過し、菖蒲店に対するマーケットの評価も高まってきたこともあり、粘り強く交渉を続け実現。菖蒲店でのオープンの際には、過去菖蒲店にて評判の良かった販促策をすべて盛り込み、結果、売上が周辺エリア内及び同時期にオープンした全国の店舗中でトップクラスを達成。これには先方も驚いて、『これはひとえにモラージュの販促のおかげ』とのお褒めの言葉もいただいた。以降、新店舗オープンの際には我々の販促手法を参考にしていただいているそうです」(中野)。

苦境の中でこそ培われる価値ある機能


佐賀店でも、2013年秋、前述の大手アパレルの姉妹ブランドがオープン予定。このブランドにも数年前からアプローチしていたが、競合SCへの出店を検討していたこともあり、なかなか出店は実現しなかった。

佐賀店では、強力な競合SCの出現によりその売上が著しく低迷した時期があったが、大型テナントの積極的な入替や地域に密着した販促 (サガン鳥栖スポンサー契約)などの施設売上向上施策、施設メンテナンスにおけるコスト削減などの運営管理施策などに取り組み、収益を急回復させた。

SCは日々その姿を変える生き物のようなもの。双日 投資マネジメント部、双日商業開発本社、現地MOが「三位一体」となった日々の努力によって、施設が新しいものに進化していく。それが、地域のお客様からの評価に繋がり、また、「モラージュ佐賀は行くたびに良くなっている」、という姉妹ブランド出店理由にも繋がった。

双日 投資マネジメント部の横山部長は、「苦境を乗り越えた経験は価値が高い。たまたま外部環境が良くて上手くいっても、ちょっと崩れた時に機能が何も残っていなければ意味がありません。この2年間、ありとあらゆる視点からSCのValue-Up施策を実施し、価値を向上させた結果としてモラージュ菖蒲の資産売却に至ったものですが、事業撤退という暗い意味では全くなく、佐賀店・柏店・菖蒲店で培った運営機能を基盤とした、投資を含めた新しい展開を推進する資格があることを実績で証明したということ。これほど高い機能、優秀な人材が育って来ているのだから、次の展開や新しい取組に活かせない方がおかしいという位の想いです」と話す。

総合商社が総合商社であるための起爆剤となる

今後のSC事業の成長戦略の1つに、モラージュ3店で培ったSC運営機能を活かし、他オーナー保有SCの運営を受託していくことが挙げられる。

その第1号案件が、福岡県にある「筑紫野ベレッサ」SCの運営受託。これは、佐賀店の収益改善について、テナント間での口コミがベレッサオーナーの耳に届いた事がきっかけだった。モラージュ運営10年間の実績や収支改善プランのプレゼンテーションが評価され、2013年5月から運営開始。モラージュの運営を経験したスタッフが常駐し、双日商業開発本社、投資マネジメント部が三位一体となって、収支の改善を目指し推進している。

また、この筑紫野ベレッサ以外にも新規の運営受託や、既存SCのValue-Upを図るSC再生事業の取組みなど、さらなる展開を狙っていく考えだ。また、海外から日本、日本から海外への新しい施設の展開にもチャレンジしたいという。「運営(プロパティマネジメント)は投資をしないビジネスであり、リスクがきわめて少ない安定的な事業。但し、収益性という意味では、一定の投資を伴う事業とバランスよく取り組んでいくべき。これだけの機能があれば投資を行っていく価値は十分あると思います。」と横山部長。

多岐にわたるビジネスを推進しているからこそ、さまざまな機能を有している総合商社。「当社の総合力を活かした事業インキュベーションを行い、SC事業の成長を実現していきたいと考えています。」(横山部長)。

今後はさらに視野を広げ、新たな成長戦略を掲げて拡販・拡大していく。そのキーワードは不動産ではなく、消費者に近い領域でのクリエイティブな機能の展開。10年間のモラージュの実績がその基盤となる。

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