韓国の三星物産と海外拠点の相互活用に関する戦略的提携に合意
2000年6月23日
日商岩井株式会社は、韓国の三星物産株式会社と海外拠点の有効な活用に関しての戦略的な提携を行う事で合意致しました。中央アジア、中東、南西アジア等の地域にある駐在員事務所の陣容や業績を見直し、相互に拠点を有効活用したり、商品別に業務を相互委託する形での相乗効果を前提とした合理化を目指して参ります。
当社は「第三の創業」を、三星物産はマスタープラン「ValueGenerator21」とそれぞれに「選択と集中」で業務・業態の見直しを進めながら、これまでの貿易拡大指向から、21世紀に向けての深化した総合商社の再構築に取り組んでいますが、その中でも海外拠点の見直しは貿易業務が主流の両社にとって重要な課題となっています。
当社は、米州、中南米、欧州、アジア、中東、アフリカ等々全世界に法人、支店、駐在員事務所を合わせて136ヵ所に海外拠点を配置し、415名の駐在員を派遣しています。一方の三星物産も世界の97ヵ所を拠点に175名の駐在員を派遣し、韓国の総合商社の中でも最大規模の活動を行っています。日商岩井では、過去2年間に渡り、海外拠点の整理・統合を行って参りましたが、世界的な取引網を維持する必要から、これ以上の整理・統合は難しいという判断をしております。また取引の基盤が小さい国では、取引品目が限定されることや、取引額の変動が大きいことから、両社ともにより効率的な活動を行う必要があります。
今回の提携を通じて、両社の間で関係の深い分野である化学品の取引を通じた拠点の相互活用の検討を致しております。三星物産が提唱し、日本、中国、インド、米国等の化学品メーカーやトレーダーを結集して発足した化学品のオンライン取引を行うためのウェブサイト「ChemCross.com(ケムクロスドットコム)」に日本の商社として唯一日商岩井が参画する事と致しました。
グローバリゼーションやIT革命の急激な進行の中で、米国の有力な航空貨物輸送業者が今では決裁、保険の機能を備えた総合商社に変質しているという例にも見られる様に、これまで商社が得意としていた国際貿易という分野にも異業種が参入してきています。加えてe-businessの発達により貿易業務の合理化は日々進んでいます。海外の至る所に拠点を配置し、多くのスタッフ擁していれば貿易業務を取り込める、というこれまでの発想では変化に取り残されるという思いは両社ともに一致しております。
当社と三星物産が今回の提携に至った背景には、過去15年間に渡り続けられてきた「日商岩井・三星ビジネスフォーラム」の存在があります。日韓で交互に毎年2回(合計28回)の会合を重ねており、その間「化学品、肥料、食料、物資、木材、機械、鉄鋼、エネルギー、建設不動産、情報産業、物流」など多くの商談を通じて協力関係を維持しており、取引高はビジネスフォーラムベースのみでも5億ドル台に至っております。
三星物産の首脳は「我々も『選択と集中』を行っており、いくつかのコアビジネスに特化していく。その意味でお互いの補完関係はこれまで以上に明確になり、提携の土台はできつつある。また日商岩井が進めているいくつかのIT事業に魅力を感じている。」と語り、日商岩井の首脳も「三星物産とは15年間の付き合いを通して気心が知れている最も信頼のおける当社の戦略的ビジネスパートナーの一人。同じ商社として抱える共通の課題と目指す方向が期せずして一致した。今後の展開が楽しみ。」と期待を膨らませております。
以 上
※第三の創業
日商岩井の前身である鈴木商店と岩井商店が活躍していた頃を「創業期」と致しますと、1968年10月に日商と岩井産業が合併してからの30年余りを「第二の創業期」と考える事ができます。日商岩井は、来るべき21世紀に向けてのこれからの時代を見据えた現在を「第三の創業」と位置づけ、カンパニー制を導入するなど飛躍をかけた改革を決断致しました。