双日株式会社

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社長メッセージ

2019年3月期の概況

7期連続増益。着実な成長のステージへ

2018年4月にスタートした中期経営計画2020(以下、中計2020)の初年度を終えました。当期純利益は704億円と、期初に計画した630億円を大幅に超え、双日設立以来、最高益となりました。2013年3月期から7期連続の利益成長を続けているとともに、ROAは3.0%、ROEは11.7%となり、中計2020の定量目標として掲げた「ROA3%超、ROE10%超」についてもクリアできています。石炭をはじめとする資源分野の市況の高まりが業績を押し上げた面もありますが、過去最高益の達成は着実に稼ぐ力がついてきたことの表れであり、持続的成長に向けて本格的なステージに入ったと実感しています。

当社は中計2020において、資源価格の上昇に依拠しない成長を実現しながら、前期比10%程度の利益成長を毎年積み重ねていくことによって、最終年度に当期純利益750億円以上の達成を目指し、中計2020最終年度の計画達成と、その先のさらなる成長に向かって邁進していくことをお約束したいと思います。

2019年3月期の年間配当に関しては、期初の当期純利益計画630億円を期中で700億円に上方修正したことに伴い、当初予想15円から17円に引き上げました。その結果、配当性向は30.2%となりました。中計2020の配当方針に従い、今後も安定的かつ継続的な配当の実施を目指し、配当性向30%程度を維持していく予定です。

2019年3月期の成果

資産の質の“良化”がROA・ROEの向上につながった

ROA・ROEの目標を初年度でクリアしたことには、個人的な感慨もあります。中期経営計画2017(以下、中計2017)の期間、私は経営企画担当として策定から携わっていたのですが、その当時に描いた総資産の内容を現在と比較すると、想定した以上に飛躍的に資産の質の“良化”が進んだと思います。

これは、キャッシュ・フローと利益効率を重視した経営方針のもと、非資源を中心とした3,000億円レベルの新規投融資を実行し、着実な成長をしっかりと進めることができた結果であると考えています。

中計2017以降、新規投融資のうちの約8割は非資源分野に振り向けており、当社がすでに強みを持っている鉄鋼や肥料、メタノール分野に加え、新たに投融資を実行した航空機関連事業、再生可能エネルギー事業、ASEANリテールといった分野が、着実な成長に結実し始めています。同時に、IPP事業や病院事業といった開発案件・オペレーション事業も、収益の底上げに寄与しています。

資産入替については、資産効率の低い案件を中心に見直しを進めたことで、一過性の損失影響を足元で最小限に抑えることができています。非資源分野に関しては、規模が大きく、かつ不採算の案件を早くから処理してきました。資源分野については、石油ガス権益の保有資産について順次売却を進めているほか、サステナビリティの観点を踏まえて、保有する石炭権益のうち、インドネシアの一般炭権益の一部を売却していく方向でパートナーと合意済みです。一方で、石炭事業については新たにオーストラリアの原料炭権益を獲得しました。当社が保有する商社唯一の炭鉱オペレーター機能を活かし、将来の大きな収益源にしていくべく取り組んでいきます。

このように、資源事業については当社が培ってきた機能を十分に発揮できる分野に絞り込み、一方で非資源事業を積極的に強化・拡大してきたことで、資産の質の“良化”が着実に進んだと考えています。その結果、ROA・ROEの大幅な改善も実現することができました。

2020年3月期に向けて

本部ごとに収益力の拡大に取り組む

当社グループを取り巻く事業環境がますます不透明さを増しているなか、2020年3月期の当期純利益は前期比16億円増益の720億円を見込んでいます。石炭をはじめとする市況前提を下期にかけて保守的に見通しに織り込んでいる一方で、中計2020で掲げる「着実な成長」に向けて、順調に進捗している投融資からの収益貢献や、既存事業の伸びを計画化しています。これらの伸びは、中計2020策定時の市況前提に置き直すと前期比10%程度の利益成長となります。

成長ドライバーである投融資を計画通りに実行していくためには、各本部が自らの事業環境を精緻に分析し、機会とリスクを見極めながら迅速な判断を継続していかなければなりません。なかでも、未だ本来の力を十分に発揮できていない本部については、私たち経営陣が営業本部長と密に対話を重ねながら、中計2020の残り2年間で収益力の底上げを着実に果たしていきます。

POST中計を見据えて

総合力を発揮し、新たな領域へのチャレンジによりさらなる成長を推進する

この中計2020は、ポスト中計2020で純利益1,000億円レベルを目指していくための準備期間という位置づけでもあります。当社が持つ機能を拡大させ、事業を一層強くしていくことに加え、本部や組織に捉われることなく9本部が持つそれぞれの強みを融合して「総合力」を発揮していくことが、収益の拡大に貢献する新たな機能の創出につながると考えています。すでにいくつかの新規案件で複数の営業本部が互いに機能を補完しながらクロージングを進めており、継続して強化・推進していきます。

加えて、デジタル革命や新技術によるビジネスモデルの変化も、新たな事業機会として認識し、対応を進めています。当社は昨年、ビジネスイノベーション推進室を設置し、先端技術を活用した新領域へのチャレンジと生産性向上の双方を見据えて、イノベーションに関する情報を集約しつつ、経営とタイムリーに共有しています。

さらに当期は、世界各国のスタートアップ企業を投資対象としたコーポレートベンチャーキャピタルを米国に設立したほか、イノベーションに資する投融資の枠組みを新たに設けました。加えて、世界有数のスタートアップ集積国であるインドのベンチャーファンドに出資し、多くのIT技術者や起業家が集まるベンガルールに新たな出張所を設置、米国サンノゼに続くイノベーション活動の重要拠点と位置づけています。これらを活用して、これまでに培った事業創出のノウハウを、発展の余地が十分にあるアジアで発揮していきたいと考えています。

同時に、生産性向上に向けては、「働き方」のイノベーションが重要になります。そこで一部の業務に取り入れているRPAの導入範囲をさらに拡大し、定型業務の効率化と質的向上を図っていきます。これによって、従業員の創造的な活動に充てていく時間を増やし、“新たな発想”の実現に挑戦するための環境を整備していきます。

双日のミッション

自然環境との共存を意識し、「2つの価値」を最大化していく

当社が常に目指しているのは、「2つの価値」の実現です。「双日が得る価値」と「社会が得る価値」の最大化を図り、豊かな未来を創造することが、当社の使命です。

私は、元々商社というのは、必要な人に必要なものを届けることで、サプライチェーンに関わる全員に“ハピネス”を届けたいという想いで始まったのだと思います。商社活動で収益を得ることが、地球環境や社会の利益を損なうことになってはいけない。すべてのステークホルダーにとってベストな選択をしていくことが、総合商社の経営を担う私のミッションであると思っています。

2018年7月に運営に参画した下地島空港(沖縄県宮古島)の開所式に出席した際に、その思いを一層強くしました。空港運営で収益を上げるためには、できるだけ多くの観光客を誘致する必要があり、それは地元の経済を潤すことになります。一方で、人が多く来るということは、きれいな海を汚したり受け入れ施設が増えるなど環境破壊のリスクも負うことになります。収益と環境破壊の利害をどうやって調整していくのか。私は、そうした局面こそが、多様な機能、ノウハウ、人的ネットワークを用いて、さまざまなリスクをステークホルダーの長期的な成長機会にしていく総合商社の存在価値を発揮する時だと感じました。

また、今後の世界的な人口増加を念頭に置くと、農業や水産の分野において、“穫って売る”だけではなく“つくって売る”という技術も追求していくべきだと考えています。つくって売るとはすなわち、天候や地域、経験値に収穫が左右される農業や水産の“工業化”です。日々のオペレーションやこれまでの知見をビッグデータ化、AIやIoTを活用してあたかも工業製品のように市場動向を見据えた計画的な生産・出荷ができるようになれば、サプライチェーン全体が効率化し、ステークホルダーの収益を最大化していけると考え、新たな挑戦を始めています。

近年、企業にはSDGsの達成にどう貢献できるか問われていますが、総合商社の得意技である、リスクを機会に変えて長期にわたって継続するビジネスにしていく力は、SDGsの17のゴールに直結する活動であると確信しています。一つひとつの事業を通じて収益を積み上げつつ、すべてのステークホルダーにとっての価値を最大化して「2つの価値」を実現していくことこそ、社会における双日の存在意義にほかなりません。

社会と双日のサステナビリティ

TCFDに賛同を表明、2050年を見据えた長期ビジョンを推進する

当社は昨年、従来から進めてきたサステナビリティに関する取り組みを進化させるべく、2050年を見据えた長期ビジョン「サステナビリティチャレンジ」を発表しました。その達成に向けて、中計2020においては「サステナビリティ経営の推進」を柱の一つに掲げています。その推進に責任を持つべく、自らサステナビリティ委員会の委員長に就任し、社内浸透と戦略立案、情報発信に取り組んできました。

例えば、営業本部の事業計画の立案においては、全本部長とミーティングを持ち、各分野におけるリスクと機会を精査しつつ、それらを踏まえた戦略について議論しています。一方、全社の投融資審議においても、サステナビリティの観点で収益性を徹底的に議論して報告するように指示しています。

また、気候変動対応については、2018年8月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しました。気候変動が収益にもたらす影響の開示と、それらを克服するための具体的な計画の策定を開始しています。投資家から開示要請の多い一般炭権益取得に関する方針についても議論を重ね、当社が保有する一般炭権益を新規に取得せず、2030年までに同資産を半分以下にすることを決定しました。

こうした継続的な活動を発展させていくことで、双日が掲げる「2つの価値」を世界のステークホルダーに広げていきたいと考えています。当社のサステナビリティに関する外部評価は着実に上がってきています。

これからの双日

新しい発想に挑戦して「双日らしさ」を研ぎ澄ましていきます

変化の激しい今の時代において、リーダーシップを発揮する人材の育成は、商社にとって最も重要な課題です。そこで、当社では次代の経営を担う人材を育成するべくサクセッションプランの立案を進めています。

一方で、現場で的確な判断を下すことができる若手人材の育成も進めています。当社は近年、100名単位で新卒採用を実施しており、「若い会社」になりつつあります。彼らを早く戦力化するためには、国内外の現場で経験を積んでもらうことが大切です。商社の仕事は、世界を舞台に展開するダイナミックな仕事である一方で、さまざまなステークホルダーの利害を調整する、ある意味泥臭い仕事です。しかし、“世の中を変えていく”商社の仕事に気概をもって挑戦し、さまざまな経験を積み重ねていくことで、確実に現場でのマネジメント力がつくと確信しています。

幸い、当社には以前から積極的に若手に挑戦の場を提供する企業風土があります。また、若いうちに失敗しても会社の業績に大きなダメージを与えるようなことにはなりませんから、「自分の人生に責任を取る」、つまり、自分が決めたことについては最後まで自分が責任を取るという覚悟と自立心を持って取り組んでもらいたいと伝えています。従来の事業モデルやものの見方にとらわれず、新しい発想で新しい価値を創出してもらいたい。そのような願いを込めて、今、若手社員を集めて2050年に双日がありたい姿を議論する「Hassojitz」プロジェクトといった取り組みを行っています。

「双日らしさ」とは、フラットな組織と、若さと、スピードと、現場力です。今後も現状に満足せず、新しい発想に挑戦しながら、「2つの価値」の創造に邁進してまいります。

CFOメッセージ(HTML版)

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