食の安全と安心
2008年08月
双日グループでは、従来の品質管理体制を刷新、総合商社初の「品質管理室」を設置して”食の安全・安心”への取り組みを強化しました。
2007年度、当社の子会社である双日食料株式会社が輸入手続きを行った冷凍食品を食べた消費者に重大な健康被害が発生し、警察による調査によって当該商品から有機リン系農薬が検出されるという事態が発生いたしました。当社では今回このような事態が発生した事実を真摯に受け止め、グループを挙げて“食の安全・安心”のための体制強化を従来にも増して進めておりますので、その取り組み内容を報告いたします。
品質管理室によるグループ一元管理
双日グループでは従来、「双日グループ・食品安全確認確保規約」を基本として「食の安全・安心」への取り組みを行ってきましたが、その実効性をより高めるため、2008年4月1日付で食料本部内に「品質管理室」を設置し、グループ全体の「食の安全・安心」を一元的に管理・指導する体制を整えました。
品質管理室では、財団法人日本冷凍食品検査協会(※1)の専門家を室長として迎え、専門性の高い品質管理体制を構築。以下のような取り組みを行っています。
※1 財団法人日本冷凍食品検査協会は、食の安全と安心を守る総合食品検査機関として試験・検査・品質保証を3本柱に多様なニーズに対応している公的機関です
※2 主要項目のみ記載しています。
品質管理教育研修
1.農薬等の検査体制を整備しました
従来の検査体制は「製造段階」に対するものが中心となっていましたが、その対象を「原料段階」さらには「産地」にまで広げた体制を確立し、安全性を検証していきます。
2.工場監査の項目を拡大しました
工場監査のチェック項目を従来の約100項目から約150項目に拡大し、より厳格な監査を実施するための基準を整備しました。従来は、製造工程管理等の「フード・セーフティ」に関する項目が中心でしたが、これらに化学物質等の管理体制・監視カメラの有無といった「フード・セキュリティ」に関する項目を追加し、安全・安心の強化を図ったものです。
3.工場監査・生産立ち会いを強化しました
従来、グループ各社で行ってきた工場の監査を、統一した判断基準に基づき、原則、品質管理室が実施し、監査業務と工場情報の集約化を図ります。また、同室に監査員6名を配置、定期監査を実施します。さらに、新規工場の審査や新商品の初回生産の際には、同室の立ち会いを原則とするなどの強化を図りました。
4.中国分室を設置しました
2008年5月8日、双日大連会社の事務所内に「品質管理室中国分室」を設置しました。双日グループと取引のあるすべての中国生産工場を対象に、1)生産工場の管理および生産工場が使用する農・畜・水産原材料のリスクの実態調査 2)安全・安心な原材料確保のための産地の確認・改廃・指導 3)品質管理レベル向上のための生産工場幹部社員向け品質管理教育研修などを行います。今後、当社では、生産工場の多い東南アジアにも分室を設置し、海外における生産工場の管理体制の強化を図っていきます。
5.クレームレベルの判断基準を見直しました
問題発生時の早期対応と被害の最小化をより確実なものとするため、クレーム発生時、5段階からなる「クレームレベル判定表」に基づく対応基準の厳格化と対応項目の見直しを行いました。
双日では、以上のような取り組みを通じ、消費者の皆さまにより安全で安心な食品をお届けできるようグループを挙げて努めています。
「品質」と「リスク」に対する知識と意識の向上に努めます
品質管理室では本文で述べる5つの項目を柱に「食の安全・安心」の向上に取り組んでいますが、こうした体制・制度の整備に加え、大切なのは、やはり「人」だと思います。お客様により安全で安心な食品をお届けするために必要となる、「品質」と「リスク」に対する高いレベルの知識と意識を備えた「人」を育てる、ということです。
このため品質管理室では、グループ各社を対象とした教育・研修プログラムの整備と実施に力を注いでいます。また、「食品安全連絡会議」を設置し、定期開催することを通じて、品質管理情報のグループ内共有を図るとともに意識の向上に努めています。
食料本部
品質管理室 室長
伊村 衛