中期経営計画2020におけるサステナビリティ目標
双日は、中期経営計画2020において「サステナビリティ経営の推進」を掲げ、従前以上にサステナビリティの考え方(※)を経営に取り込み、環境・社会課題に関わる課題解決と双日の事業との更なる融合を図っていきます。(※『2つの価値』の最大化、およびサステナビリティ重要課題)
その施策の1つとして、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)ごとに中期経営計画2020を対象期間とする「サステナビリティ目標」を設定しました。各目標の設定は各事業・取り組みの推進により戦略的にサステナビリティを高めていくことが目的です。
サステナビリティ目標の達成に向け、各本部、コーポレートが、年度毎にアクションプランを定めており、社長を委員長とするサステナビリティ委員会がその進捗をモニタリングしています。また、それぞれの取り組み実績は毎年ステークホルダーの皆様に開示していきます。
サステナビリティ 重要課題 |
サステナビリティ 目標 |
事業領域 | 取り組み方針 | 結果 |
環境 | 事業活動のCO2を定量的に把握 | 全社共通 | 定期的、継続的に、双日グループ全体の事業活動から直接的に排出されるCO2排出量の調査を実施。 セクター毎に改善目標の設定を検討。 |
ステークホルダーダイアログにて外部有識者の意見も反映し、当社として脱炭素化を推進すべく新たな方針を策定、開示。 |
客観的な気候変動シナリオに基づいた、双日グループのバリューチェーンも含むCO2排出量や影響等の分析を実施。 | CO2排出量の多いセクターである火力発電や石炭権益は、1.5℃のシナリオ分析を実施。 | |||
脱炭素を見据えた低炭素事業の推進 | 再生可能エネルギー | 太陽光発電や風力発電などの開発・事業運営や関連設備・機器販売を通じて再生可能エネルギーの普及・拡大に取り組む。また、新たな再生可能エネルギー分野への事業参画を目指す。 | ◆再生エネルギー事業では、国内太陽光発電事業は商業運転を開始。台湾洋上風力発電事業は、操業開始に向け徹底した建設進捗管理を実施。 ◆次世代エネルギー社会の形成に向けて、太陽光発電システムの開発・販売・設置・管理等および、電力小売り事業を展開するLooop社と資本業務提携を締結。 |
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天然ガス・LNG | 化石燃料において比較的CO2排出量の少ない天然ガス・LNG発電の開発・事業運営に加え、受入基地事業など中流事業への参画や関連設備・機器の販売を通じて低炭素社会の実現に向けたエネルギー基盤の拡充に取り組む。 | 石炭からガスへの燃料転換PJとして、ベトナムの子会社2工場とガス供給契約を正式に締結。 | ||
EV普及関連 | 生産設備・原料供給や新たな関連事業の組成などを通じてCO2を排出しないEV車の普及促進に貢献する。 | 電池組立て装置や、新型ニッケル水素電池開発用の充放電検査装置を受注し、工事が完了。 | ||
循環型社会の形成への貢献 | リサイクル | 退役航空機を活用した中古部品の再利用・販売をはじめ、双日が取り扱う幅広い商品に関連するリサイクル事業を拡充し、商品ライフサイクルの重複によるCO2排出の削減を促進する。 | TES-AMM JAPAN社へ出資。今後、IT資産の再利用・再資源化事業を推進。 | |
低炭素原料 | 最終商品の燃焼時に生じるCO2排出をオフセットする植物由来の原料拡販により、石油由来原料からのシフトとCO2削減に貢献する。 | サトウキビを原料としたグリーンポリエチレン事業は販売が順調で、今後更なる用途展開を加速する。 | ||
人権 |
人権デュー・デリジェンスの推進
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全社共通 | 世界の環境・人権リスク発生事例(英国NGO「ビジネスと人権リソースセンター」提供)に基づき分析したリスクの高い事業分野にあてはまるグループ会社およびサプライヤー100%に対し、リスク評価を実施する。 | 当グループの事業における事業分野固有のリスク調査やマネジメントの体系化に注力。対象は全連結子会社の約300社とし、うち59社(含、持分法適用会社23社)がリスクの高い事業分野に該当したことから、環境・社会の各課題への対応状況を確認。また、2020年12月に「パーム油調達方針」を制定。 |
資源 | 将来、需給がひっ迫する恐れがある資源の生産・供給 | 食料資源 | 食料の安定生産・品質確保に欠かせない肥料製造・販売事業、および肥料プラント建設事業を中心に、将来の人口増加を見据えた食料資源の確保に貢献する。 | ◆当社肥料事業の主力対象作物であるコメの各国内外相場も安定しており、事業も好調に推移。 ◆客先・農家へのセミナー等、肥料品質・施肥方法等の普及・啓蒙活動を継続。 |
水資源 | 水資源の需要拡大が想定される新興国を中心に、生活水を安定供給する事業の組成・拡充を目指す。 | 海外向け水処理膜販売が好調に推移。 | ||
水産資源 | 水産事業にて培ったノウハウを活かし、人工孵化した稚魚を成魚に育てる『完全養殖』に挑戦していく。 | 完全養殖魚出荷が順調に推移。 | ||
林産資源 | 2020年度までにトレーサビリティが確認できる調達木材の取扱いを100%にすること、及び将来的に、トレーサビリティに加え、環境・社会面にも配慮した森林管理の適切性が確認できる調達木材の取扱い100%の達成を目指す。 | 認証材(レベルA)、及び認証以外で環境配慮が出来ている材(レベルB)の取扱い比率は目標の80%以上に対して92%達成。 | ||
地域社会 | 新興国と共に成長を図る事業の推進 | 交通・輸送インフラ | 受託した空港の運営事業において、円滑な施設運営に努めるとともに、空港利用者の満足度向上を図る。 | コロナの影響により工事進行に制約があるものの、引き続き早期完工を目指す。 |
新興国を中心に鉄道の敷設や車両メンテナンス事業によりCO2削減につながるモーダルシフトや地域の経済成長の促進を図る。 | コロナの影響により工事進行に制約があるものの、アフターコロナへ備えた取り組み・下地作りを推進中。 | |||
医療インフラ | トルコでの病院運営の確実な実行、および将来的には医療インフラの向上が求められている他国での事業展開を目指す。 | 病床不足解決のため、トルコ/イキテリ総合病院を4か月前倒しで開院。 | ||
都市インフラ | 新興国における工業団地の開発・運営事業など、企業の事業活動の土台となるインフラの整備により、企業の海外進出促進や事業国における地域経済・産業の発展を促進する。 | インド・チェンナイ市近郊の工業団地にて第1期レンタル工場の賃貸開始。 | ||
先進国の課題解決に繋がる事業の推進 | 社会課題を解決する取り組み | 日本をはじめとする各先進国での環境・社会課題に対し、そのソリューションとなる事業の構築と拡大に取り組む。 | 3ヵ年で保育園を新たに24園開設。 | |
新興国における社会貢献活動の実施 | 社会貢献活動の基本的考え方(※)に則り、国内外の既存活動の見直し、および新たな活動の組成に取り組む。 (※)社会貢献活動:基本的な考え方 |
ベトナム理工系大学生の人材育成・確保に向けた支援を開始。 | ||
人材 | 経営人材の育成 | 全社共通 | 候補者を適正に選抜し、計画的に育成するシステムを構築する。通常の集合型部長・課長への研修に加え、経営人材に必要な戦略的思考等を身に付ける選抜型研修を実施・継続する。 合わせて、事業運営・意思決定の経験を積むべく、計画的なローテーションを実施。 |
◆組織マネジメント力向上のためのコーチング研修、年数名の経営幹部候補者に対する選抜型研修を実施。 ◆一定の経験を積んだ社員をローテーションで事業会社等へ派遣、現場経験を成長に繋げられる機会を提供。 ◆2021年4月には初めて女性社員が執行役員へ昇格(1名)。 |
次世代管理職の育成 | 年齢にかかわらず、意欲と能力の高い人材に機会・経験を与え、次世代管理職の早期育成を図る。 | ◆2018年にタレントマネジメントシステムを導入。組織ニーズや本人志望のキャリアパスを踏まえ、適材適所を目指した人材配置に活用中。 ◆本部や部を跨いだ海外事業会社・現地法人の経営層の補佐業務を通じて組織を超え目線の醸成と現場経験を積ませるトレーニー派遣制度を2020年度に新設。 |
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挑戦し続ける人材の育成 | 挑戦を促す目標管理制度、挑戦を適正に評価する評価運用を継続実施。 一部管理職への360°評価、社員意識調査結果を活用し、挑戦する人材と組織の育成状況をフォロー。 |
◆挑戦し続ける人材の育成に向け、機会提供とそれを支援する社内制度の拡充を図った。 ・新規事業創出を目指す「Hassojitzプロジェクト」の新設(2019年度)と継続実施 ・副業や起業を可能とする新会社設立(2020年度末) ・OB/OGと現役役職員との人的ネットワーク形成・拡大によりビジネス領域の拡大を促進するプラットフォームとしての「双日アルムナイ」の設立(2021年4月) ・独立・起業支援制度導入(2021年4月) <詳細はこちら> |
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多様な人材の獲得と活躍推進 | 多様な人材が心身ともに健康で、最大限能力を発揮する為の働き方改革、組織が一人ひとりの個性と強みを活かすダイバーシティマネジメントを推進する。 また、そのための環境整備を継続実施。 |
◆新卒採用では女性総合職比率2018年度から3年連続で30%以上を達成。 ◆キャリア採用では、多様な経験と知識を持った管理職候補人材として毎年25名程度のキャリア採用を実施。 ◆女性管理職数54名(目標54名)達成。 ◆社員の多様化を支える取り組みでは、出産からの早期復職支援制度や事業所近隣保育園での法人枠確保など、仕事と育児の両立支援の拡充を図った。 ◆2020年1月にはテレワーク制度を開始し、多様化する社員の働き方に対応した勤務体制の拡充も進めている。 <詳細はこちら> |
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生産性の向上 | 働き方改革、ダイバーシティマネジメントを進め、社員一人ひとりと組織の業務効率化、生産性向上を図り、5つの行動指針に謳う、新たな取組みへの挑戦、スピード感・機動力を高める。 | ◆RPA活用による業務効率化を進め、2018年度から3年間で27,000時間分の業務を削減。 ◆有給休暇取得を促すトップメッセージや社内周知の継続、勤怠システムからの長時間労働アラートメール通知等の取り組みを通じ、中計2020期間において有給休暇取得率の向上や残業時間の削減(2018年度から3年間で約6時間減少)を実行。また、勤務制度としてコアタイムを撤廃したスーパーフレックス制度を導入、社員の生産性向上を進めた。 <詳細はこちら> ◆その他、紙保存文化から電子保存に変えるレコードマネジメント活動を全社展開し、一人当たりの紙保存量を半減、印刷費用を4割超削減。 |
サステナビリティ目標の総括
1) 環境分野:新たな方針策定と低炭素事業の推進やリサイクル事業への参画
当社事業活動のCO2排出量の調査、および火力発電や石炭権益における1.5℃シナリオ分析により、当社の気候関連に関わる「リスクと機会」を踏まえ、脱炭素化を推進すべく新たな方針を策定しました。
再生可能エネルギー事業、石炭からガスへの燃料転換プロジェクトなどの脱炭素事業、および脱炭素を見据えた低炭素事業展開が加速しました。また、各分野におけるリサイクル事業への参画により循環型社会の形成に向け体制を整えました。
2) 人権分野:サプライチェーン上の高リスク分野の特定
中計2020では「サステナビリティチャレンジ」の準備期間と位置づけ、優先度の高い当社にとっての「高リスク事業分野」の特定、確認を行い、双日グループ、及び仕入先を含むサプライチェーン全体に対する調査、評価を実施しました。
3) 資源分野:環境・社会配慮材の取扱い推進と持続的食料システムの実現への貢献
木材分野では、木材調達方針に則り、環境・社会配慮材の取扱い量が比率が増加しました。食料分野では完全養殖魚の取扱いを開始するなど、持続的な食料システムの実現に貢献しました。
4) 地域社会:新興国と共に成長を図る医療交通インフラ事業の推進
トルコにおいて病床数が最大規模となる病院の前倒しでの開院や、インドの工業団地でのレンタル工場の賃貸開始など、医療・インフラ分野での事業展開を加速しました。中計2023では、新型コロナの影響を受けた空港運営事業や鉄道事業についても挽回を図ります。
5) 人材:多様な人材の獲得と挑戦し続ける人材の育成
経営人材の育成や、多様な人材の採用、社員一人ひとりの特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備、管理職層への研修の強化などを通じ、新しい価値創造に向けた人材育成の取組みを加速させました。