エネルギー本部

エネルギー資源の確保および多様なエネルギーポートフォリオの実現

日本をはじめエネルギー資源が乏しい国にとって、経済・産業に不可欠なエネルギーをインプットするには、他国からの供給に頼ることしかありません。石油・ガス、LNG、原子力などの第一次エネルギー資源の確保および多様なエネルギーポートフォリオの実現に努めることは、エネルギー本部の重要な責任だと捉えています。

石油・ガス事業では、米国・英領北海・中東・アフリカなどの地域で、バランスの取れた権益資産ポートフォリオを形成しているほか、LNG事業ではインドネシアLNG のパイオニアとして同国からのトレーディングを担っています。また、原子力事業では、世界最大の原子力産業複合企業である仏・アレバグループの対日総代理店として、日本の原子燃料サイクルビジネス全般に関与しています。

石油・ガス事業

オペレーターとしての知見と機能を活かし、優良な権益資産ポートフォリオを構築

石油・天然ガス上流分野では、当社独自のネットワークを活かし、英領北海、米国、カタール、エジプト、ブラジルなど、幅広い地域への分散投資で、優良な権益資産ポートフォリオを構築。これらの在来型開発権益に加え、当社がこれまで培ったオペレーターとしての知見を活かし、埋蔵量リスクや開発リスクをマネージしながら米国の非在来型タイトサンドガスなどの開発にも取り組んでいます。

※カタール国沖合 東南第一鉱区

LNG事業

高まるLNG需要に対応し、安定供給に貢献

日本ならびにアジア諸国の高まるLNG需要に対応し、安定供給に貢献できるLNG事業への取り組みを強化。上流分野では、エルエヌジー・ジャパン株式会社(当社50%、住友商事株式会社50%の出資)を通じて、アジア・中東地域において競争力のある大規模LNG事業に参画しています。さらに、低廉なガス調達価格によってコスト競争力の見込めるアフリカなどの地域や、シェールガス開発が進む北米地域からのLNG輸出取り組みの可能性を検討していきます。

※LNG輸送船

原子力事業

原子燃料サイクルにおける総合的サービスを提供

当社は1970年代より世界最大の原子燃料メーカーであるフランスのアレバ・グループの対日総代理店として、原子燃料サイクルにおける総合的なサービスを国内電力会社各社に提供。また、関係会社を通じて、原子力関係の機器・燃料・材料販売なども行っており、今後も国内外の原子力関連産業においてビジネスの幅を広げていきます。

※フランス ウラン濃縮工場 GB-II

今後の展望

当本部では、供給源の一つである北米と、新興需要地であるアジアを結び、バリューチェーンを構築することで、ビジネスチャンスを追求していきます。同様に、日本と需要期が逆転する南米地域、ガスに流動性がある欧州市場とのネットワークを整備し、アジア地域の需要に対応可能な供給体制を目指していきます。

さらに、LNG生産工程の随伴ガスから抽出できるヘリウムについても、取り扱っているからこその知見を有しており、その希少性も認識しています。エネルギー史においては、代替品の登場によって業界構造や市況は変化してきており、例えばLNGも当初石油の代替品として登場しました。一方、ヘリウムは世の中に存在する2番目に小さい分子であり、代替不可能な存在としてニッチな市場の中で確かなプレゼンスを発揮しています。当本部では、すでに北米においてヘリウム製造プロジェクトに取り組んでおり、今後は新規事業の創出にも取り組んでいきます。

エネルギー資源の事業環境は今後も変化していきますが、経済発展に伴いエネルギー需要が途絶えることはなく、そのためのエネルギー供給を果たしていくという当本部の責務も変わることはありません。需要地におけるエネルギーの受入、供給にあたってはエネルギーインフラの構築を伴い、一連のサービスを最終エネルギー需要家に提供することで、今後も一定の収益を確保することは可能です。私たちは、これら上流関連と、安定した収益を確保できる中・下流領域における事業創出を通じた強固な事業ポートフォリオを構築していかなければなりません。

PROJECT STORY

インドネシア・タングーLNGプロジェクト
-拡張プロジェクトの最終投資決定(FID)-

双日は、LNG分野のパイオニアと呼ばれている。先般、拡張が決定したインドネシアのタングーLNGプロジェクトはこの先20年、長期にわたる収益貢献が見込まれる「安定的な収益基盤の拡大」を実践するプロジェクトだ。

プロジェクトの企業連合は7社。オペレーターのBP社を筆頭に、日本勢だけでもJX、三菱商事、INPEX、三井物産とそうそうたるメンバーが並ぶ。これに中国政府系企業とスペインの企業が加わり、全パートナーによる全会一致でなければ本拡張プロジェクトを進めることはできない。エルエヌジージャパンの株主である双日と住友商事、LNGプラントの建設資金を融資する国際協力銀行などの銀行を含めると関係企業は20社を超え、それら企業間の調整は苦労の連続だった。

「プロジェクト全体を分かっていないと経済性計算の妥当性が分からない。関係各社各様の事情や指摘事項も膨大にある。さらに、インドネシア政府からファイナンスのストラクチャーに関する承諾を得るのに時間がかかった。だから、ストラクチャー決定後、投資決定までの短期間で契約書を完成させる必要があった。これには関係者全員が苦労した」と、当時のファイナンス担当は語る。

「適切な情報把握と株主へのフィードバックが私たちの重要な任務の一つ。特に、BP社が契約書で多用する独特な略語の壁には苦労した」と、2016年の2月からプロジェクトの詰めに関わった上流開発・プラント担当も振り返る。

一方、「拡張する年間生産量380万トンのうち、100万トンは関西電力へ、150万トンはインドネシアの国営企業PLN社へ、20年にわたる長期販売契約が決まっていた。ただ、残りの3割強に相当する130万トンの販売先が2016年に入ってもまったく決まらない。運が悪いことに、電力自由化による価格競争の影響を受けて、日本の電力・ガス各社のLNG購買希望価格はかなり低く、拡張プロジェクトの経済性と合致しなかった。販売先が決まらなければ、ファイナンスもつかない。この状況で拡張を進められるのか、タイムリミットだけが迫っていたが、2016年4月、PLN社が残り全量の追加購入を決定し、販売先がやっと固まった」と、マーケティングを担当した当時の課長が語った。

拡張プロジェクトでは、「埋蔵量の確認」、「上流ガス田の開発」、「海上プラットフォームなどの上流施設の開発」、「陸上の液化施設の開発」、「融資契約の交渉」、「LNG販売先の確保・交渉」、すべてが同時並行で進んだ。

エネルギー開発には数十年を要する。メンバーが定年を迎えるまでに一つの新規案件が確立できればいい方だというくらいに、気の遠くなる時間と労力を要する事業だ。

1994年以降ガス田が発見されたタングーは、2020年央の生産開始を目指して、現在第三液化系列の建設を進めている。3年後の東京オリンピックの年に生産が開始され、オペレーションが始まる。拡張プロジェクトは、まだスタート地点のゲートをくぐったばかりだ。この先20年、長期収益貢献を続けるプロジェクトに期待が高まっている。