化学本部

顧客企業の成長に向けた価値を提供し、産業を循環させ発展に寄与する

化学本部は産業界における血液として、世界の多様な産業を循環・活性化させていく存在です。各バリューチェーンの中で、顧客企業の成長を実現すべく、市場に対して提案を重ね、付加価値を生み出し続けることが使命と考えています。

「衣」の分野では機能性繊維素材の開発、「食」の分野では食糧増産に向けた化学合成農薬や食品包装資材の提供、「住」の分野では太陽光発電・部材の供給や車両部品を金属から樹脂にすることによる軽量化・燃費改善などに取り組んでいます。

メトン(poly DCPD樹脂)事業

自動車産業における世界的な環境規制強化を背景にさらなる車体軽量化に貢献

Metton America Inc.で製造するpoly DCPD樹脂は、軽量および高い耐衝撃性といった特性を活かし、主に大型トラックの外装パーツ用途に販売を拡大してきました。

自動車産業では世界的な環境規制強化(CO2排出量抑制や燃費効率向上)を背景にさらなる車体軽量化が不可避となっています。

当社では将来の需要拡大に応えるため、これまでに構築してきた実績をベースに、顧客ニーズに応じた材料および用途開発機能とグローバルなカスタマーサポート機能を強化し事業拡大を進めていきます。

※ボンネットや風切り板にpoly DCPD樹脂を採用した大型トラック

石油樹脂原料事業

高品質・高機能化が加速する衛生材料用新製品を展開

Cymetech Corporationでは2008年の出資参画以来、poly-DCPD樹脂とのバリューチェーン強化に加え、新たな製品および用途開発に取り組んできました。

その結果、紙おむつなどの衛生材料用接着剤などに使用される石油樹脂の原料開発に成功し、世界的な人口増と生活水準の向上に伴う今後の需要拡大に応えるべく安定供給体制を整えました。当社では引き続き新たな製品・用途開発を進めており、さらなる事業拡大を進めていきます。

※Cymetech Corporationのプラント

メタノール事業

インドネシアでメタノールを製造し、日本・アジア市場に安定供給

メタノールは、接着剤・合成繊維・高機能プラスチックなどの化学原料、DME・バイオディーゼル・ガソリンへの直接添加などの燃料用途として使用されています。最近では、メタノールから基礎化学原料であるオレフィンを製造する新しい技術(MTO/Methanol to Olefin)も出現しており、需要が拡大しています。

当社は、インドネシアのメタノール製造会社、PT. Kaltim Methanol Industri(KMI)に85%出資しており、製品であるメタノールをアジアのお客様を中心に販売しています。KMIは成長市場であるアジアに近いことから、短納期で、小ロットから大ロットまでさまざまなデリバリーに対応できるため市場で高い評価を得ています。当社は、KMI品と市場からの外部調達品を両輪に、アジア市場におけるプレゼンス強化を図っており、メタノールビジネスで蓄積されたマーケティング・物流機能を利用し、他液体化学品の拡大も進めています。また、伸びゆく市場ニーズに対応するため、競争力のある原料が確保できる地域において、第二のKMIの立ち上げを目指しています。

※インドネシアにおけるメタノール製造工場

マリンケミカル事業

工業塩、アルカリ製品、塩素関連商品の取り扱いで商社トップクラスの実績

当社は無機化学品の基幹原料である工業塩をはじめとして、それを用いて生産されるソーダ灰・苛性ソーダといったアルカリ製品、また製紙用薬剤であるクロレートやプール消毒剤などの塩素関連商品の取り扱いにおいて、いずれも商社トップクラスの規模を誇っています。

工業塩に関しては、過去数度の投融資により供給ソースを確保、長年にわたり古くは豪州塩、近年ではインド塩を中心に取り扱い、日本をはじめとするアジアおよび中東市場に供給し、拡大する需要に応えています。

2011年2月には、インドの長年の有力パートナー、アーチャングループと共同で、硫酸カリ、臭素および工業塩の製造会社を設立し、事業を開始しました。工業塩の市場は、製品である苛性ソーダや塩素の需要増に伴い拡大傾向が続いており、輸入市場の中心であるアジアでは年間2,500万トンが取引されています。このうち、双日はインドを供給元として年間400万トンを販売する国内トップクラスのプレイヤーであり、さらなる安定的な収益基盤の構築に向けて、工業塩の供給ソースの拡張に注力しています。

※出荷前のインド塩在庫

レアアース事業

国内トップクラスの輸入実績

レアアースは、電気自動車から液晶テレビに至るまでさまざまな産業で使用されている一方、その供給の90%以上を中国に依存している希少資源です。当社では、40年以上にわたる中国からの輸入実績に加え、2011年に出融資を実行した豪州 ライナス社製品の取扱いを2013年より開始し、日本のレアアース輸入量の50%超の取扱いを目指しています。また、レアアース・リサイクル事業を展開する企業にも出資しており、中国内外からの安定調達、希少資源の再利用などにより日本のレアアース産業の発展に寄与しています。

※レアアースを使用したネオジム鉄ボロン合金

合成樹脂事業

樹脂コンパウンド製造拠点・樹脂販売子会社を通じて樹脂原料を世界に販売

合成樹脂は一般的に「プラスチック」と呼ばれ、自動車部品、家電製品、OA機器、包装資材などのあらゆる分野で使用されている石油化学製品です。当社は、100%出資子会社で業界トップクラスの合成樹脂専門商社である双日プラネット株式会社を通じ、ビジネスを展開。ポリプロピレン、ポリエチレンといった汎用の合成樹脂原料、高機能のエンジニアリングプラスチック、合成樹脂原料を使用し作られるゴミ袋やレジ袋に加えて食品用フィルム、太陽光パネルといった製品や部品製造に必要な合成樹脂成形機・金型まで、幅広い商品を販売しています。

※ブラスケム社のグリーンポリエチレンプラント

今後の展望

当本部では、環境変化をいち早く捉え、事業投資を積極的に行いながら、グローバルトレードの拡大を図り価値創造を実現していきます。本部としてさらなる世界的なプレゼンスの確立を目標に、従来中心となっていたアジア・日本だけではなく、インドやメキシコといった自動車産業の集積地での需要拡大の取り込みをはじめ、中国や北米など幅広く拡大を図ります。

具体的な戦略としては、メタノール事業、石油樹脂事業、合成樹脂事業、マリンケミカル事業、希少資源事業という当本部の強い事業を、事業投資を絡めてバリューチェーンを強化し、さらに強く、大きな収益の塊にしていく構えです。これまでの事業投資案件については、いずれも順調に進捗し成果が顕在化してきています。インドで進めたマリンケミカル事業では、拡張投資も奏功し、工業塩の取扱量は順調に増加。年間400万トン規模まで拡大しています。合成樹脂事業においては、全世界で年間100万トン規模の樹脂販売を行っていますが、「量の拡大」に取り組み、150万トン規模への拡大を目指します。

新たな事業展開としては、2017年3月にドイツの大手化学品商社ソルバディス・ホールディング(以下、ソルバディス)を買収しました。当本部では、アジア地域において年間100万トン規模でメタノールを生産・販売してきましたが、今回の買収により200万トン規模の取扱量となります。また、機能化学品においても、ソルバディスが有する強固な販売基盤を通じ、グローバル規模でのシナジー創出を図っていきます。

当本部では、各社員がリーダーシップを発揮しながら、顧客企業の成長に向けて新たな挑戦を続け、その結果、事業が育ち、拡大していく。そうした本部となることにより、双日の企業価値向上を実現していきたいと考えています。

PROJECT STORY

インドネシア メタノール事業
-メーカー機能を持った商社 ― インドネシアでつくってアジアで売る-

双日は、インドネシアのKMI(PT. Kaltim Methanol Industri)社に85%を出資し、そこで製造したメタノールを化学品原料やエネルギー用途としてアジア諸国に販売する事業を行っている。総合商社が、トレーディング・マーケティングだけではなく、生産オペレーションなどのメーカー機能を持ち、自ら製造にまで関わるケースは珍しい。

本格生産が始まった98年当時、アジアは通貨危機の不況の真っただ中にあった。需要の冷え込みでメタノール価格が最低水準まで落ち込むなか、販路をほとんどゼロから開拓していく必要があった。工場のタンクには6万トンしか貯蔵できず、販売できなければ工場の稼働を止めなくてはならない。台湾に飛び、インドネシアへ移動、そこから韓国に渡り、また、日本で売り先を探す――。かたっぱしから売り込み行脚を行った。そうした努力の末、2003年に入って情勢は大きく変わる。成長期に入ったアジアの経済は上向き、新興国を中心に、接着剤・合成繊維・高機能プラスチックなどの化学品分野に加えてエネルギー分野での需要も順調に伸びていったのだ。

しかしその後、2008年に起こったリーマンショックは、アジア通貨危機以来の逆風に。売れ残った製品が在庫の山となり、タンクの貯蔵量を超えてしまう危惧から工場の稼働を止める日も迫っていた。売り先探しに奔走するなか、メタノール販売を始める前から取引があり、長年の信頼関係を築いていた台湾の顧客が、双日の窮地を知り、救いの手を差し伸べてくれた。大量受注――、向け先は中国だった。この取引を機に、それまでほとんど取引がなかった中国市場の開拓が始まった。結果として双日は、この危機をも切り抜け、巨大市場に販路を開拓することができたのだった。化学原料としてのメタノール消費は、中国の生活水準やGDPに比例して伸びていく。エネルギー用途としての需要も伸びていった。

2017年には、ドイツ大手化学品商社であるソルバディス・ホールディング社(ソルバディス社)を買収。同社は1881年に設立された老舗企業をルーツに持ち、ドイツを中心とする欧州域内に販売拠点・物流基地を保有している。また、年間100万トン以上のメタノール取扱数量を誇るほか、現地の優良化学メーカーと長年にわたり安定した取引関係と信頼関係を構築しており、欧州に根付いている企業である。

度重なる危機を乗り越え、双日は現在、メタノールを年間約200万トン(うちKMI製造分66万トン、ソルバディス社取扱量100万トン)販売している。アジアでの販売ネットワーク、ソルバディス社とのシナジーを通じ、業界内のグローバルプレイヤーとしてのポジションを確たるものにしていく。