国内外の事業周辺における貢献活動

双日グループは、地域社会と共に行う社会貢献活動を世界のさまざまな地域で実施しています。双日グループにとって、「人とのつながり」は重要なテーマの一つであり、人に直接かかわる教育支援などの社会貢献活動を行っています。

双日の歴史資産を活かした地域への貢献

  • 双日は、鈴木商店、岩井商店、日本綿花を源流としています。このうち鈴木商店は、明治・大正期に個人商店から始まり、財閥を凌駕して日本一の総合商社へ上りつめるなど、その物語は今でも多くの人々を魅了しています。
    当社は「神戸開港150年」を迎えた2017年、鈴木商店記念館(辰巳会運営)と協力して、神戸市の鈴木商店本店跡地にモニュメントを設置しました。また、神戸大学での寄附講座や奨学金制度の設置、「お家さん」(原作:玉岡かおる)の舞台・ドラマ化にも協賛するなど、創業の地における次世代教育と、鈴木商店の歴史を地域活性化につなげる活動にも協力しています。

  • 2022年にグランドオープンし、当社が神戸市と連携しながら運営しているエキソアレ西神中央では、鈴木商店の紹介コーナーを設け、地域の文化や歴史を大切にしながら、地域に親しまれるショッピングセンターを目指しています。

  • 2023年には鈴木商店を題材とした舞台「彼の男 十字路に身を置かんとす」を特別支援し、神戸市と共同事業を実施しました。招待事業「鈴木よねさんからの贈り物」として、教育関係者、港湾関係者、観光ボランティアを舞台に招待。

  • また、シンポジウム「神戸港と鈴木商店を語る会」のほか、神戸市立図書館、三宮図書館にて「鈴木商店関連展示」が開催され、双日も鈴木商店ゆかりの企業とともに支援しました。

  • 双日は、次世代を担う子どもたちに、郷土の歴史と神戸港から世界へ羽ばたいた総合商社について学ぶ機会としてもらいたいとの思いから、当社が2022年6月に発行した歴史マンガ「総合商社 双日 未来を創造した先駆者たち」を「こども本の森 神戸」をはじめとする神戸市の図書館などに寄贈しました。寄贈式では、社長の藤本が「こども本の森 神戸」名誉館長である俳優の竹下景子さんにマンガ冊子を贈呈しました。

    双日の源流である鈴木商店、岩井商店、日本綿花の3社は神戸港を起点に成長を遂げました。竹下さんのご推薦もあり、「こども本の森 神戸」以外の神戸市内12カ所の図書館にも寄贈。また、鈴木商店の店主鈴木よねの寄付によって設立された現・神戸市立神港橘高校、神戸大学などにも寄贈しました。

solvadisが植林プロジェクトに参加

欧州域内で化学品の物流・販売事業を展開するsolvadisでは、気候中立の実現を経営の重要課題のひとつとし、2021年度に第三者認証機関の査察を経てEU規制に基づくカーボンフットプリント*を取得し、温室効果ガス排出量の削減に向けたさまざまな取組みを行っています。

2022年4月には、森林保護や再生、さらに地域への貢献などの観点も意識し、環境NPOとドイツ林野庁が推進する植林プロジェクト「Planet Tree」に参加し、フランクフルトに隣接するHanauの森に5,000本のオークの苗木を植えました。これらの苗木が成長し、将来的に年間約63トンのCO2を吸収することになります。

Hanauの森で行われた植林の様子
  • カーボンフットプリント:商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算し表示する仕組み

豪州における双日操業炭鉱での活動

双日は2018年に豪・クイーンズランド州のグレゴリー・クライナム炭鉱権益の100%を取得し、製鉄用原料炭を生産しています。これは、双日が2010年にミネルバ炭鉱権益の過半を取得し炭鉱操業を開始して以降、2018年のメテオダウンズサウス炭鉱の開発に続く、3つ目の双日の操業炭鉱です。

また環境配慮型の炭鉱採掘を目指し、グレゴリー・クライナム炭鉱では今後、同州内で双日が開発中のエデンヴェール太陽光発電所からクリーンな電力の供給を受ける予定です。

炭鉱従業員の多くは地元のEmerald、Capella、RollestonやSpringsureなどの町に住んでおり、地域コミュニティーの発展と炭鉱との共生の観点から各町での農業祭や競走馬大会などのイベントを後援し、次世代教育の観点から小中学校での技術プログラムへの協賛やスポーツチームの後援など教育分野での支援も行っています。

また、乳がんの早期治療や先端研究の重要性を伝える世界的な活動であるピンクリボン運動に賛同し、ピンク色の炭鉱ユニフォームを採用したり、ピンク色のトレーを載せたダンプトラックをグレゴリー炭鉱で運用しています。前立腺がんに関する同様のブルーリボン運動の啓蒙として、青色のトレーのダンプトラックも稼働しています。

環境に配慮しつつ、地域コミュニティとの共生を図り、従業員、そして世界中の人々の健康を願いながら、炭鉱を操業しています。

  • Breast cancer awareness活動の一環で、ピンク色ユニフォームを採用
  • 地元の小学生ラグビーチームへのスポンサーシップ。双日ロゴ入りのユニフォーム

商業施設における社会貢献活動

双日および双日商業開発は、全国の商業施設を運営し、地域に親しまれる場を目指し、さまざまな社会貢献活動や地域に密着した取り組みを行っています。

ブラインドサッカー支援の取り組み

  • 双日は日本ブラインドサッカー協会のパートナー企業として、パラリンピック公式種目であるブラインドサッカーの普及やインクルージョン社会の実現に向けた協会の活動を応援しています。

    2022年8月には、モラージュ佐賀内においてブラサカ体験会を開催し、サガン鳥栖のホーム試合前にピッチ上でのブラサカ体験会も開催しました。

那須塩原市の活性化への取り組み

  • 双日商業開発は、2019年より「那須ガーデンアウトレット」を取得・運営し、2020年には那須塩原市と包括連携協定を締結し、行政と一体になったさまざまな取り組みを行っています。

  • 正月には、那須町のホテルと那須ガーデンアウトレットを回る無料トローリーバスの運行や、地元観光施設と協力した那須の魅力をお得に楽しめる「リゾレットクーポン」などを発行するなど、那須の魅力を丸ごと伝える那須エリアの玄関口として地域の発展に協力しています。

  • 新型コロナウイルス感染症の拡大により地元の那須全体の観光産業が大きな影響を受けた際には、地域の活性化の観点から、塩原温泉PRイベント「那須応援企画 塩原の天然温泉水プレゼント」を実施し、また事前予約ドライブスルー方式による地元特産の野菜などの販売会「Loco Style Martドライブスルー八百屋」を開催しました。

  • また、東北復興支援事業として、風評被害に遭った宮城県石巻の牡蠣を多くの人に食べてほしいとの思いから東北石巻の牡蠣を中心に全国で出張カキ小屋を展開している「牡蠣奉行」を毎年期間限定で出店しています。

生理用ナプキンの無料提供

  • サンストリート浜北(静岡県浜松市)では、2021年末より、オイテル社が展開する生理用ナプキンの無料提供サービス OiTr(オイテル)を女性トイレ個室と多目的トイレに設置しています。

  • OiTr は「トイレットペーパー同様に無料で生理用ナプキンが常備される世の中にしたい」との思いから生まれたサービスで、サンストリート浜北はオイテル社の「経済格差やジェンダーギャップといった不均衡の是正に寄与したい」という理念に共感したことから、導入を決定しました。

<外部サイト>

本まぐろの養殖事業を通じた次世代育成活動

双日は2008年、長崎県松浦市鷹島町に双日ツナファーム鷹島を設立し、本まぐろの養殖事業を行っています。

2021年5月からは、次世代育成の観点から、共立女子大学と東京家政大学の学生の皆さんに実際のビジネスの場を体感してもらうために、当社の本まぐろ養殖事業をテーマとした学びの場を提供しています。「鷹島本まぐろ」を使ったメニュー開発などの認知度向上にも取り組んでもらい、学生の皆さんに一次産業の現場を理解し、日本の水産業界の特徴や課題に触れてもらうことも目的としています。

また双日ツナファーム鷹島では、毎年11月に地元鷹島町の小学校5年生によるまぐろ加工場見学を受け入れています。生徒たちは普段見ることができないまぐろの水揚げ後処理や出荷作業を間近で見たり、現場の説明を聞いたりして、養殖事業について学んでいます。

さらに松浦市鷹島町では年に3回ほど、若手漁師が中心となって「海の市」を開催して獲れたての魚の即売会を開催。双日ツナファーム鷹島も同イベントに協賛し、まぐろの解体ショーを行っています。鷹島本まぐろは地元松浦市のふるさと納税返礼品としても定着しており、双日ツナファーム鷹島は地場に根付いた取り組みを推進しています。これからも、たくさんの人から「美味しい」と愛されるまぐろを作り、鷹島本まぐろの認知度をさらに高めながら子供たちや地元の方々に貢献できる活動を続けていきます。

  • 大学生に学びの場を提供
    (共立女子大学へのオンライン講義)
  • 小学生によるまぐろ加工場見学の様子

パラオにて空港見学会を開催

  • 双日は、パラオ・インターナショナル・エアポート(株)に出資参画し、2019年4月より、パラオ国際空港ターミナルの運営を行っています。

    2020年1月には、現地日本語補修学校の生徒22名を招待し、「空港の表と裏丸わかり体験ツアー」を実施しました。生徒たちは、普段見ることが出来ない空港施設や滑走路を見学し、空港職員の業務を学びました。

  • 本空港は、2020年に空港ターミナル施設などの改修・拡張工事を終える予定で、更なる観光客数の増加など、今後、パラオの基幹産業である観光業へのますますの貢献が期待されています。

    今回は、将来日本の架け橋として期待される日本語補修校生を対象しましたが、今後、現地の短期大学や高等学校などパラオの次世代を担う若者を対象としたプログラムを検討し、地域に親しまれる空港を目指していきます。

  • また、毎年ハロウィン当日に空港内ARRIVAL HALLを装飾し、子どもたちが遊べるイベントを開催しています。

    2020年10月末のハロウィンイベントは、当初の想定を超える約400名の地元の方が参加し、用意していたトリートもすぐに無くなってしまうなど大盛況でした。

  • 今後も地域に親しまれる空港を目指していきます。

KMIにおける社会貢献活動

PT Kaltim Methanol Industri社(KMI、双日85%出資)は、1998年よりインドネシアのカリマンタン島ボンタンにおいて同地域で産出される天然ガスを原料にメタノールを製造し、同国の雇用創出や双日グループの販売ネットワークを利用した輸出により外貨獲得にも貢献しています。

本事業は地元から産出される天然ガス、現地の労働力、インフラなど地域社会のサポートによって支えられており、KMIは、地域の課題に対して積極的に関与し、社会貢献活動を行っています。

教育面では、2017年より地元の中、高、大学生2~3名に対し毎年奨学金を支給しています。また、地域の英語教育推進にも注力しており、地元の中学生62名(32校から参加)を対象に英会話力の向上を目指し、毎週末週1回、合計15回の英会話教室をKMIの社員を交え実施し、成績優秀な生徒には、表彰も行っています。地元のボンタン市長に教室を視察いただいた際、深い感謝のお言葉をいただくなど高い評価を得ています。

環境面では地域における環境の保護や整備、生物多様性の保護に関する取り組みを行っています。地元ボンタン市行政からの要請により市街地にある不毛の地に、「Methanol Park」プロジェクトと称して、カリマンタン島に生育する木々を植林し、最終的には植物園とするプロジェクトをガジャマダ国立大学森林学部と共同で推進しています。また、オランウータンを含む多様な動物の生息地でもあるクタイ国立公園における自然環境や生物多様性の保全活動を支援するための寄付を行っております。

ボンタンは赤道直下に位置していることから、地域観光振興として2011年にKMIより赤道記念モニュメントをボンタン市に寄贈、その後も地元の方々と共同で清掃、メンテンナンスを行っています。

  • KMI英会話教室の様子
  • KMI英会話教室の様子
  • Methanol Park での植樹の様子
  • 赤道記念モニュメント

また、KMIはコロナ禍において、地元ボンタン市の医療機関向けにシリンダー80ボトル(480Nm3)の気体酸素と2トンの液体酸素を無償提供しました。さらに、酸素不足が深刻となっていたジョグジャカルタ市の病院に対しても合計137トンの液体酸素を無償提供しました。

天然ガスを主原料とするメタノールは製造時に大気を取り込み、分離した酸素を副原料として使用しますが、その酸素を一部有効活用すべくKMIは酸素圧縮機を新たに据え付け、医療状況に応じて随時、近隣医療を応援できる体制を構築しました。

  • 医療機関へ酸素を納入
  • 酸素圧縮機を新たに設置