リスク管理

リスク管理の基本方針

当社グループは、総合商社としてグローバルかつ多角的な事業を行っており、展開する事業の性質上、さまざまなリスクにさらされています。

リスクの管理は「リスク管理基本規程」に則り、リスクを分類・定義した上で各々のリスクの性質に応じた管理を行っています。このうち、計測可能なリスク(市場リスク、信用リスク、事業投資リスク、カントリーリスク)に関しては、リスク量(リスクアセット)を計測し、経営に報告しています。また、法務リスク、コンプライアンスリスク、環境・社会(人権)リスク、資金調達リスク、災害リスク、システムリスクなどといった、計測を行わないリスク項目に関しても、計測可能なリスクと同様にリスク管理責任者(各担当役員)を任命し、当責任者が策定した「リスク管理運営方針・運営計画」に基づいて、管理状況を経営に報告しています。

リスクの計測とコントロール

リスクを計測する目的は、①数値化されたリスクアセットを自社の体力(=自己資本)の範囲内に抑える経営を行うこと、②リスクに見合った収益の極大化を図ること、との認識の下、安全性と収益性を両輪として管理しています。当社では、「リスクアセット自己資本倍率を1倍以内に収める」ことを目標としており、2017年3月期における同倍率は0.6倍と、目標内に収まっています。リスクアセットを四半期ごとに計測し、取締役会および経営会議に報告するほか、リスクアセットの増減要因の分析結果について各営業部にフィードバックを行い、日常のリスク管理活動に活用しています。引き続き1倍以内に収めるように、リスクコントロールしていく方針です。

投融資については、中期経営計画に基づき、①機能の獲得・拡大 ②マーケットの拡張・獲得・創造 ③各本部の幹を太くするための新たな領域拡大、以上の「3つの基本方針」を軸に、よりスピードと実現性を高めて実行していきます。そのため、全社・現場それぞれにおけるリスクマネジメント力を強化するとともに、従来実行してきた資産入替も継続して行うことで、資産の質の向上やポートフォリオの改善を同時に図っていきます。

世界政治の不透明性や地政学的リスク、マクロ経済、マーケット(為替・金利・株式・コモディティなど)のボラティリティは高まっており、当社のビジネスを取り巻く外部環境も、日々変化しています。そのような外部環境に対して、スピード感を持ちつつ、適切にリスクマネジメントを行っています。具体的な対応としては、株・為替のボラティリティ、カントリー格付にストレスを加えたリスクアセットを試算し、ストレス環境下においても、リスクアセットが自己資本の1倍以内に収まることを確認しています。加えて、テールリスクへの対応策として、主要事業のストレスシナリオを作成し、ストレス発生時の事業ポートフォリオへのインパクト分析を行っています。

リスク管理の組織

リスク管理の組織である、リスク管理企画部、リスク管理部、コントローラー室について説明します。リスク管理企画部は、リスク管理全般にかかる規程・制度、リスク管理運営方針の企画・立案、ならびにリスク計測、カントリーリスク管理を行っています。リスク管理部は、事業投融資案件の審議や実行後のモニタリングをしています。また2012年から、営業組織内にリスク管理機能を持つコントローラー室を設置しています。コントローラー室は、営業本部内に席を置き、営業部と密に情報共有を行うことで、案件構築のスピードアップやリスク管理ノウハウの営業現場での共有を実現しています。

投融資案件

投融資案件は、社長が任命した議長、審議員で構成する投融資審議会で審議を行っています。リスクを可視化して議論を行う目的で、ベースケースだけでなくダウンサイドケースも検証し、投資可否を判断しています。具体的には、キャッシュ・フロー計画を含めた事業計画全体を精査し、事業性を評価するとともに、内部収益率(IRR)のハードルを設定、リスクに見合ったリターンが得られる案件を選別する仕組みとなっています。各コーポレート部署はそれぞれの専門的見地から事前に審議を行っています。

投資実行後の事業会社経営では、「2つの価値」の実践として、「双日が得る価値」と「社会に還元する価値」も意識しています。事業の競争力と収益力強化を実現し、事業価値向上(事業のバリューアップ)を図っています。実行済みの事業投資案件については、外部環境の変化にも注意しつつ、事業性や収益性の評価を行うなど、プロセス管理を徹底して、事業継続判断の意思決定をしています。実行済み案件の問題点を早期に把握し、撤退・整理損を極小化する目的で撤退基準を設定し、リスクに見合った収益を生まない投資から撤退するための意思決定に活用しています。

リスク管理研修

全社のリスクマネジメント能力向上には、ルール整備だけでは不十分であり、リスクマインドを社員全員に浸透させることが必要です。社内研修に関しては、ルールの周知を目的とした研修に加え、実際に起こった失敗事例を取り上げたケースメソッド研修、カントリーリスクの抑止・軽減策に関する研修、在庫取引などの市場リスクが内在する取引の抑止・軽減策に関する研修などを行っています。入社3~10年目の若手社員、管理職昇格前の社員、管理職社員、グループ会社管理者といった多様な階層に対して研修を実施しています。現場社員の知識・経験を基に構成されており、実務に裏打ちされた内容となっています。これまでの受講者数は延べ1,800名となります。そのほかにも、商社パーソンとして、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できる力を養うため、外部講師を招いた政治・経済情勢などの勉強会を定期的に開催しています。また、営業部や海外拠点現地スタッフからのリスク管理部署への受入れや、本社リスク管理部署と関係会社間の人材交流を通じた、リスク管理マインドのさらなる浸透にも取り組んでいます。

 

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