内部統制システムに関する基本方針及びその整備・運用状況

内部統制システムに関する基本方針及びその整備・運用状況

基本的な考え方

当社は、規程・組織・体制などの内部統制システムの整備に努めており、会社法及び会社法施行規則を踏まえ、2015年4月24日の取締役会にて、「当社グループの業務の適正を確保するための体制の整備に関する基本方針」を以下のとおり決議しております。

  • 1.当社取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
  • 当社の取締役会議事録及び稟議決裁書等、当社取締役の職務の執行に係る重要文書は、当社の取締役会規程及び文書管理・情報管理に関する社内規程に従い、法定の保存期間に対応した保存期間及び保存責任部署を定め、必要に応じて閲覧に供せる体制とする。
  • 2.当社及び子会社の取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
  • 当社は、双日グループ・コンプライアンス行動基準及びそれを実施するためのマニュアル並びに双日グループコンプライアンス・プログラムを策定し、当社グループの役職員による法令及び定款並びに社内規程の遵守徹底を図る。
  • 当社は、当社グループにおける関係諸法令の改正等の把握及びその遵守の徹底を図るために、コンプライアンス委員会を中心にコンプライアンス体制の整備を促進するとともに、当社内各部署の職務分掌及び当社グループ会社の主管者を明確にする。
  • 当社は、反社会的勢力とは取引を含む一切の関係を持たず、不当な要求に対しては、法的対応を含め、毅然と対応するものとし、当社グループにおいて、その徹底を図る。
  • 3.当社及び子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  • 当社は、当社グループの損失に結びつく信用リスク、事業投資リスク、市場リスク、災害リスク等様々な社内外のリスクを識別・分類し、それぞれについての社内規程ないし対応手順と主管部署を定め、当社グループの損失発生を防ぐとともに発生時の損失極小化を図る。
  • 定められた社内規程や対応手順については、不断にその実効性を確認・改善するとともに、事業環境の変化に伴って当社グループに新たなリスクが生じる場合には、速やかにこれに対応する責任者、主管部署、社内規程等を定める。
  • 4.当社及び子会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
  • 当社は、当社の取締役及び執行役員の役割分担、社内各部署の職務分掌、指揮命令系統、権限及び意思決定のルールを明確に定める。
  • 当社は、取締役会で決議すべき重要事項は取締役会規程に明定し、それに準ずる重要事項・分野の審議もしくは決定を行う機関として、経営会議の他、それぞれに対応する審議会あるいは委員会を設置する。また、取締役会に報告すべき事項も取締役会規程に明定し報告せしめる。
  • 当社は、当社グループ会社の管理運営体制を統轄する部署を設置し、当社グループ会社の経営の健全性確保に努める。
  • 当社グループの経営方針は、当社の経営会議、経営企画部又は主管者により速やかにこれを当社グループ会社に知らしめるとともに、他の口頭及び文書による方法も加えて、当社グループの役職員への浸透に努める。
  • 当社は、連結ベースでの経営計画を策定し、経営目標及び経営指標を当社グループで共有し、グループ経営を推進する。
  • 5.子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制、並びに、当社及び子会社における業務の適正を確保するためのその他の体制
  • 当社は、グループ経営基本規程において、当社グループ会社を主管する主管者を必ず定めることとする。主管者は重要事項について、当社グループ会社に対し事前協議を求め、事業年度報告及び営業活動報告等について当社への定期的な報告を義務付ける。
  • 当社は、連結財務報告に係る内部統制評価の観点からも、当社グループ会社の業務プロセスの検証・整備を図る。
  • 当社監査部は、当社グループ会社の内部監査を実施し、業務の適正を検証する。
  • 6.当社監査役の職務を補助する使用人及び当該使用人の取締役からの独立性、並びに当社監査役から当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する体制
  • 当社監査役の職務を補助する部署として監査役業務室を設置し、所要の使用人を配置する。
  • 同使用人は当社監査役の指示に従い職務を遂行するものとし、その評価、異動には当社監査役の同意を要するものとする。
  • 7.当社及び子会社における当社監査役への報告に関する体制
  • 当社取締役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合は、直ちにこれを当社監査役に報告しなければならない旨、当社取締役会規程にて定める。
  • 当社グループの内部通報制度の担当部署は、当社グループの役職員からの内部通報の状況について、コンプライアンス委員会等を通じて、定期的に当社監査役に対して報告する。
  • 当社監査部は監査終了の都度、内部監査報告書の写しを当社監査役に配布することとする。
  • 当社監査役会は、必要に応じて、会計監査人、当社取締役もしくはその他の者に対して報告を求めることができる体制とする。
  • 8.当社監査役へ報告した者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
  • 当社は、内部通報制度等(当社監査役等への報告も含む)を通じて報告を行った当社グループの役職員に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行わない。
  • 9.その他当社監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
  • 当社は、監査役監査の効率性及び適正性に留意しながら、必要と認める費用を支出する。
  • 当社監査役は当社取締役会に出席して、必要に応じて意見を述べ、当社経営会議その他の重要な会議にも出席して重要事項の審議ないし報告状況を直接認識できる体制とする。
  • 当社代表取締役は当社監査役と定期的に会合を持ち、会社が対処すべき課題、監査役監査の環境整備状況、監査上の重要課題等について意見交換を行う。

2023年3月期の整備・運用状況

内部統制システム全般

社長管下の業務執行機関である内部統制委員会が、内部統制システムの整備及び運用状況のモニタリングを実施し、内部統制体制の維持・高度化を図っております。

(運用状況の概要)
内部統制委員会は、内部統制システム全般の整備・運用状況の全体俯瞰と定期的なモニタリングを実施し、社内制度・体制などに関する全社的な課題の抽出と対応策の検討、担当部署への指示、改善を行っております。また、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制評価の進捗を監督し、財務報告の信頼性の確保に取り組んでおります。なお、個々の分野での具体的な施策については、各委員会(コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会、安全保障貿易管理委員会、品質管理委員会、DX推進委員会、情報・ITシステムセキュリティ委員会)・検討部会(開示検討部会、事業継続マネジメント検討部会)において取り組んでおります。
内部統制委員会は当期に5回開催し、その内容を取締役会に報告しております。

また、当社グループ内のルール・ガイドラインの新設・変更、注意事項などに関する重要情報の一層の周知・共有を図るため、国内外の全グループ会社を対象に、主要情報をまとめた「内部統制通信」の定期配信を実施しております。

コンプライアンス

当社グループでは、「双日グループコンプライアンス・プログラム」にコンプライアンス徹底のための手順を定めると共に、「双日グループ・コンプライアンス行動基準」を策定し、当社グループ役職員の拠りどころとなる世界共通の判断基準を示しております。

また、チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心に、当社グループ会社及び海外拠点においても、それぞれコンプライアンス責任者やコンプライアンス委員会を設置するなど、グループ全体が連携して法令・企業倫理遵守を推進する体制を構築しております。コンプライアンス違反の防止や早期発見に向けては、CCO及び社外弁護士へのホットライン(内部通報制度)、委員会事務局につながる相談窓口及び24時間365日活用できる多言語対応の「双日エシックスホットライン」を当社グループ役職員に周知しております。また、当社ホームページ内にコンプライアンスに関する対外的なお問い合わせ窓口を設置して、社外からの通報を受ける体制としております。

加えて、腐敗行為を防止するために、「双日グループ腐敗行為防止規程」及び「双日グループ腐敗行為防止要領」を制定し、海外現地法人並びに国内外の当社グループ会社においてもこれに準じた規程を導入しております。なお、当社は、贈収賄防止マネジメントシステムの国際規格であるISO37001を日本企業として初めて取得しておりますが、現在同規格を取得・維持する中で培ったノウハウを内製化すべく、新たな体制作りの検討を行っております。

また、「双日グループ制裁対応・輸出管理基本方針」を制定し、国内外の制裁・輸出規制違反リスクへの対応体制を構築しております。

従業員の有給休暇、健康診断に関しては、業務効率化や職場風土醸成などを通じた積極的な取得・受診を奨励しており、法定義務の確実な履行のためにも、徹底した進捗状況の把握に努めております。

また、当社グループでは、世界各国で事業展開をするにあたり、税務コンプライアンスの遵守、税務コストの適正化及び税務当局との関係に関する「双日グループ税務ポリシー」を定め、適時適切な納税義務の履行に努めております。

そのほか、法令遵守はもとより、あらゆるハラスメントの存在しない、良好な就業環境を維持・継続するためにeラーニングを含む研修などの運用面での活動を、継続して実施しております。

(運用状況の概要)
コンプライアンス委員会で策定した活動計画に基づき、コンプライアンス事案に関する再発防止策の協議や行動基準の実践に向けた当社グループ会社に対する支援・指導を継続的に行っております。当期における具体的な活動は以下のとおりです。

  • CCOによる営業本部長及び当社グループ会社社長との面談
  • 当社グループ会社コンプライアンス担当者連絡会の定期開催
  • 海外拠点コンプライアンス担当者との定期連絡会議開催
  • ハラスメント防止、腐敗行為防止などの重要課題に関する研修・セミナー・説明会の実施
  • 新入社員向け、キャリア入社社員向け、海外赴任者向けなど各種研修の実施
  • 「ハラスメント撲滅」「飲酒に起因する不祥事」への注意喚起レターの発出
  • リスクベース・アプローチによる個別の国内事業会社へのコンプライアンス体制強化支援(調査協力、カスタマイズ型の研修の実施など)
  • 「双日グループ・コンプライアンス行動基準」の改定(2022年4月1日付で改定、以降グループ会社で順次改定中)

なお、当期においてコンプライアンス委員会は四半期毎に計4回開催いたしました。

安全保障貿易管理に関しては、安全保障貿易管理委員会で策定した活動計画に基づき、委員会事務局が制裁・輸出規制違反防止のための活動及び当社グループ会社に対する支援・指導を行っております。当期における具体的な活動は以下のとおりです。

  • 新入社員向け、キャリア入社社員向け、海外赴任者向けなど、各種研修の実施
  • 海外拠点の現地安全保障貿易管理関連規程の改定・制定を支援
  • 安全保障貿易管理委員会を2回開催
  • 安全保障情勢の変化(米中関係悪化、ミャンマー軍事クーデター、ロシアによるウクライナ侵攻など)に伴う制裁強化などに呼応した対応支援

リスク管理

当社グループでは、総合商社の事業運営においてさらされる様々なリスクに対処するため、「リスク管理基本規程」に則りリスクを分類・定義し、リスク項目毎に管理責任者を特定し「リスク管理運営方針・運営計画」を策定しております。「リスク管理運営方針・運営計画」の策定、実行、モニタリング、総括のPDCAサイクルを実践することで、継続性を担保し、リスク管理体制の高度化を図っております。

(運用状況の概要)
当社グループでは、全社リスクの洗出しを行い、重要性評価を通じて主要なリスクの見直しを定期的に行っており、現在12の主要なリスク(市場リスク、信用リスク、事業投資リスク、カントリーリスク、資金調達リスク、環境・社会(人権)リスク、コンプライアンスリスク、法務リスク、システム・情報セキュリティリスク、災害等リスク、ウェブサイト・SNSを介した企業情報発信に関するリスク、品質に関するリスク)を定め、リスクの特性に応じた「リスク管理運営方針・運営計画」を策定しております。

「リスク管理運営方針・運営計画」の策定については、取締役会で決議し、その運営状況を内部統制委員会での討議を経て、四半期毎に取締役会に報告しております。また、事業環境の変化などに伴う対応策の全社周知や新たなリスク領域への対応が必要となった場合は、課題や対応状況について適宜、経営に報告のうえ対処しております。

なお、分類した12のリスクをさらに細分化し、よりきめ細かく網羅的なリスクの把握に取り組んでおり、各リスクに対する責任部署(リスク主管部)、リスク管理責任者(担当本部長)を定め、それぞれの重要性評価を行った上でPDCAサイクルを展開しています。

なお、「中期経営計画2023」において、内部統制の基本的な考え方である3線ディフェンス(第1線:営業本部、第2線:コーポレート、第3線:内部監査)における第1線、及び第2線のリスクマネジメント力の強化に加え、新たな事業領域への参画に伴い発現するリスクへの対応強化を進めています。

期中で新たなリスクが識別された場合には、都度全社的なリスク体制、対応状況の確認を3線ディフェンスの考え方に基づき行うことで、リスク対応の検証を実施しています。

また、品質に関するリスクについては、事業領域が拡大・多様化していることを踏まえ、2021年度に品質管理委員会を設置すると共に、当社グループにおける品質管理の基本方針として「双日グループ品質管理ポリシー」を制定し、品質に関するリスクへの取り組み強化を図っております。

引き続き、当社グループ役職員のリスク管理意識の浸透に向け、多種のリスク管理研修を通じた恒常的な教育・啓蒙活動を実施しております。

2022年4月には、リスクの多様化やサプライチェーンの広がりに対応するため、トレードビジネスにおけるリスク管理組織を再編し、サプライチェーンリスク管理部を設置しています。同部では、個々のリスクをサプライチェーン全体で捉え、突発的なリスク発現時においても速やかに影響度合いを把握し、機動的に対応することを通じた、レジリエンス(回復力)強化に取り組んでいます。2022年度には、地政学的リスク、災害リスク、品質リスク、環境・人権リスクそれぞれについてシナリオを策定し、営業本部・コーポレートとの対話ならびに経営会議での議論を通じて、リスク発現時の対応策等を確認しています。

グループ会社経営管理

グループ会社の経営管理については、「グループ経営基本規程」、「グループ経営運営規程」に定めた当社グループの経営管理体制に基づき、各グループ会社が体制の整備を行っております。また、各社の体制整備状況については、定期的にモニタリングを行っております。加えて、当社取締役は、主管者又は当社がグループ会社に派遣した取締役、監査役などを通じ、グループ会社の経営状況を把握するものとしております。

(運用状況の概要)
当社がグループ会社に派遣した取締役や監査役などを通じ、適正な経営基盤やガバナンスの整備及び運営などに対する経営監督を行い、年度事業報告・月次営業活動報告などの定期的な報告を受けております。また、重要事項については当社への事前協議を求め、グループ会社の重要な業務執行について適切に管理しております。

このほか、グループ経営を推進するために、主管者を通じグループ経営方針の説明を行うほかに、当社グループ会社の役職員向け研修などにおいても当社グループの経営理念、方針について浸透に努めております。

当社監査部は当社取締役会で決議した監査計画に基づき、内部監査小委員会の管轄のもと、グループ会社の監査を実施し、組織体のガバナンス・リスク管理・内部統制が適切に機能しているかを検証すると共に、損失の未然防止や問題解決に向け、実効性のある改善提案を実施しております。

さらに、グループ会社におけるガバナンス強化の一環として、各グループ会社における取締役会の実効性向上のために、「取締役会運営ガイダンス」を策定し、各社の取締役会の運営状況のモニタリングを実施、経営会議及び取締役会に対し、定期報告を行っております。

また、新任の取締役・監査役向けには毎年研修を実施しております。

情報の保存及び管理

取締役会議事録などの重要文書をはじめとする職務執行に係る文書の取扱いについては、文書保存規程などに基づき責任部署が法定保存期間に応じて適切に管理すると共に、必要に応じて閲覧に供せる体制としております。また、職務執行に係る情報については、その重要性・秘匿性に応じた区分や管理方法を規程に定め、運用状況のモニタリングなどを実施、さらにはCISOを議長とする情報・ITシステムセキュリティ委員会を定期的に開催し、情報セキュリティに係る体制を強化しております。

(運用状況の概要)
職務執行に関わる情報については、規程に定める情報の区分や管理方法、保存期間などについて定期的に見直すと共に、適切な管理の徹底に努めております。なお、当社グループでは、特に厳格な管理が求められる情報を「特定の管理が必要な情報」として、具体的な管理・運用方法のガイドラインを策定しており、保有状況の調査や必要な改善指導を継続して行っております。その他、グループ全体のセキュリティガバナンス強化に取り組んでおり、手口の高度化・巧妙化が進むサイバー攻撃を早期に検知し影響を抑え込むソフトウエアの導入やセキュリティリスクアセスメントの実施及び改善指導等、従来より本社中心に取り組んでいたセキュリティ対策をグループ全体に展開し、セキュリティ対策の継続的な強化に努めております。

監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

監査役への報告体制については、取締役からの報告に加え、内部統制委員会、コンプライアンス委員会などの各種委員会や監査部などを通じた当社グループに関する事項、連結子会社からの事業報告など、監査に必要な報告が適宜行われる体制を整備しております。また、監査役への報告者が不利な取扱いを受けないよう、関連規程に規定しております。

会計監査については、監査役が会計監査人より監査計画の説明及び定期的な監査実施状況の報告を受け、相互に情報を共有し、効率的な監査が実施できる体制を構築すると共に、会計監査人が独立性を保持しているかの監視及び検証を行い、また監査の品質管理状況などについても恒常的に評価しております。

(運用状況の概要)
監査役への報告は適時に行われており、監査役と取締役との面談、監査役と会計監査人との面談も定期的に実施され、意見交換が行われております。

また、2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響が続く中でも規制が緩和された一部の国・地域の海外連結子会社などに対しては出張による往査を実施するとともに、web会議システムを活用したリモート監査を継続し、国内外連結子会社などと十分なコミュニケーションを図り、監査を実施しております。